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SWITCHインタビュー達人達 横尾忠則×瀬古利彦 グラフィックから絵画へ

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横尾忠則

初期の作品を今見てもらうのはあまり嬉しくない。

瀬古 絵の具を投げつけただけみたい
横尾 そうですよ。筆にたっぷり絵の具をつけて投げてるわけです。
瀬古 ぼくでもできるじゃないですか?僕がやると芸術に見えないですけど、先生がやると芸術に見えちゃうじゃないですかこれ?(笑)←※利彦なんてことを

子供の頃~

呉服商の養子。
一人っ子でね、講談社の絵本ていうのがありまして、その絵本の模写ばかりやってましたね。宮本武蔵だとか、新田義貞日本武尊とか。絵はそういうもんだと思ってた。小学校の時はマンガ家になりたかった。雑誌社に出すんだけど、なかなか入選しない。中学の時、江戸川乱歩の挿絵を描いてる山川惣治って人のを見て、挿絵画家になりたいと思って。高校になってから油絵を始めるんです。だけど絵の道に進みたいとは思わなかった。郵便屋さんになりたかったんです。郵便に関することがすっごい好きだったんです。例えば切手集めたり、スタンプ押したり、文通とか、アメリカのスターに手紙出すとか。高校2年ぐらいかな、エリザベス・テーラーに手紙出したの。ファンレターを。返事が来たんですよ。返事と、プロマイドに僕の名前を書いてサインして。親戚の人が全部燃やしちゃったんです。

瀬古 うわ~もったいない。売れるでしょそれ(笑)むちゃくちゃ高く。僕に言ってくれりゃ良かったですねえ ←※コラコラッ

画家になった理由

横尾 なろうとしてなったというよりも、バイトで町の商工会の人のポスター描いて、それが高じてデザインの仕事に入るんです、最初はね。生活に迫られてなったんですよね。将来画家になりたいなんて全然思ったことないですね。
瀬古 画家ってそんなにお金、お金にならない
横尾 描いた絵が全部売れることはありえない
瀬古 すごく心配じゃないですか。画家になって奥さんもいるし
横尾 いやあ心配したことはなかったですね。その前にグラフィックやってたでしょ。グラフィックは描けばお金になるんです。クライアントがいるから。グラフィックで稼げばいいやって。画家に転向してからはグラフィックに興味がなくなりましたからね。

努力は嫌い

瀬古 僕も絵大っ嫌いなんですけど、全然描けないんですよ。描く人すごいなって思ってて。あれって天才なのか努力なのか、どうなんですか?
横尾 僕は努力って嫌いですね。努力はほとんどしてないですね。怠けるのが専門ですからね。いかに怠けるか。ただ描くのが好きだから、好きが積み重なって、それを努力て言えば努力なんだけど。努力のための努力はしたことないですね。
瀬古 僕ね、先生の本を読んできて。僕とソックリなんですよ。理屈をこねない、無頓着で暮らすのが一番!

横尾 へ?
瀬古 無頓着
横尾 はいはいはい
瀬古 先生いい性格だなと思って。ぼくとおんなじ。最近の子供は理屈ばっかりこねるんですよ
横尾 理屈じゃ絵は描けない
瀬古 そうですよねえ。マラソンも理屈じゃ走れない
横尾 僕はマラソンに興味があって。マラソンが好きなのは、瀬古さんが出場されたのはほぼ100%見てますから。テレビの番組の中で一番好きなんですよ。

アートにゴールはない

瀬古 そうですか、ありがとうございます。芸術家とマラソン選手の共通点ってありますか?
横尾 いやあ、あるんでしょうけども、ぼくの芸術観と言ったら大げさですけども、芸術観とマラソン観、かなり違うと思うんです。マラソンは最後、ゴールがある。そこまで走り通さなければならない。僕はしょっちゅう途中でやめる。だから作品がほとんど未完状態で終わってしまうんです。ゴールまでいく作品もあるんですけど、行ったからいい絵が描けたとは限らない。むしろ途中でやめた絵のほうがいい
瀬古 そうそう、なにか、完璧を頭から捨てるって書いてありました
横尾 完璧、そんなものは世の中にはないと思ってますから。
瀬古 完璧だと絵が重たくなるから
横尾 どっかに塗り残しがある、描き残しがある方が次の作品に入りやすい。達成感がないんですよ。その一歩手前でやめてる。どこがゴールってないです。僕の場合ゴールまで行く必要がない。僕はマラソンランナーにはなれない。違う生き方をしてるんです。でもマラソンが好きなの、なんだかわからない。自分にないものでしょうね。
瀬古 だと思います。いやあいいですね、先生好きになっちゃった(笑)
横尾 ありがとう
瀬古 おれこういう(視野の狭い)人は好きじゃないの
横尾 なれないですよ
瀬古 いやあいいなあ~。好き。

横尾 今でも年に何回か、マラソンの夢を見るんですよ。僕はたいてい、下手すると優勝するかなってとこ走ってんですよ。2位か3位ぐらい。夢の中でも1回も優勝してない。今度こそはするんじゃないかと思ってるのに、ゴールがどこにあるかわかんない。人に聞いたら、あるビルディングの一室がゴールだって。そこに飛び込んでエレベーターに乗るんだけども、わかんないんですよ。最後の土壇場で追い越されたところで終わるんですよ
瀬古 吉本新喜劇みたいですねそれ(笑)ちゃんちゃん、コテっ

画家に終わりは無い。82歳になっても。

瀬古 気楽ですね。いいなあ。おれ、画家になれば良かった
横尾 ぜひやってください
瀬古 今から遅いですよ
横尾 いや、遅くはないですよ。性格に向かないことは、なるべくしない方針って言うと大げさだけど。いつも遊びたい、怠けたい、できればしたくない
瀬古 絵描くの嫌いなんですか
横尾 嫌いですね。嫌いと好きが混ざってるっていうのかな。描き始めは嫌いなんだけど、描いてるうちに好きになる。また嫌いになる。1枚の絵の中に好き嫌いが同居してる。ライバルは、例えばダヴィンチ、ピカソをライバルにしたいですね。でも自分の中にいるもうひとりの自分。怠け者の自分にハッパをかけてやらせようとする自分がいるわけです。自分の中にちっさい自分がいる。それを大局的に上から見てる、そういうところがありますね。

瀬古 もしこの絵を買ったらハウマッチ?
横尾 トクナガさんいくらだっけ?NYの画廊の値段ってすごい高いんですよ。主要がNYなので、そこで決めるわけです。先の将来は分かんないです。今描いた絵を描き変えてみたい。ピックアップしながら描き変えていこうと思ってるんですけどね。絵は過去に帰れるじゃないですか。ああすればよかったっていうのを描いていきたい。完成にはしたくない。人間は未完で生まれ、未完で生きて、未完で死ぬんだから、未完でいいんじゃないかっていうのが基本的にどっかにある。完成を目指して生きていくんですけど、完璧は嫌だな

瀬古 おれも、完璧を目指してやってきたんだけど、疲れましたもん。
横尾 だから、モスクワオリンピックがボイコットされて、良かったんですよ。
瀬古 なかったから金メダル取れなかったんですよ
横尾 だからよかったんですよ
瀬古 そうですか?とりたかった(笑)金メダル取ってたら今頃左うちわ
横尾 そうでしょ?なかったことが今の人生をものすごく面白くしてらっしゃるじゃないですか。1番欲しかったものが手に入らないということ、すごく重要だと思う。そういう問題、テーマを持ってる人が重要。手に入れてしまった人は、そんなに魅力的な人生じゃないと思うんですよ。

瀬古 よーし頑張るぞ俺は。横尾さんに褒められたぞ
横尾 へっへっへ。
瀬古 無冠の帝王だ

前半笑った。後半の神宮外苑もよかった。

アホになる修行 横尾忠則言葉集

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  • 作者:横尾忠則
  • 発売日: 2018/07/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)