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【抜粋】ボクらの時代 加藤雅也×北方謙三×吉川晃司 作家になるために 

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勉強すること

水滸伝

加藤 全部一個ずつにサイン書いてあって(読むのに)二年半かかったよ
北方 だって奥さん2ヶ月で読んだ。贈る時にね「こりゃ読まねぇな」と思った(笑)
吉川 加藤さんはまた趣向性が違う
加藤 歴史あんまり好きじゃなくて。勉強してなくて中学も高校も。大っ嫌いだった。今やらなきゃと思って演じる上で。因果応報だなと

志した理由

吉川 典型的な理系。物理とか。数学も好きでしたけど幾何学の方が好きだった。もともと絵かきになりたかったの
北方 え?それ聞いたことないぞ
吉川 僕は小さい頃から絵を習ってたの。要するにデザインとか。両方をうまく使える職業はなんだろなと思った時に「あ、歌手だ」と。音をデザインするのも一緒じゃないですか。体現したりして。ステージングっていろいろあるじゃないですか。ダンスもあるけど武術も使えるし。うまくミックスすると使えるんです。アートじゃないですか、ひとつの。体現するという
北方 言ってる意味はわかるけど、それが幾何学とどう
吉川 デザインですよ
加藤 じゃ歌が好きだからじゃなくて
北方 表現が好きだったんだな
吉川 音楽の点数は悪かったです

北方 加藤君は苦労したの?デビュー
加藤 モデル時代が。
北方 モデルって苦労すんのかい
吉川 しますよそりゃ
加藤 事務所によってカラーがあるわけですよ。CM中心の事務所と、ファッション中心の。僕はどっちかというとコマーシャルの事務所にいたんです。やりたいことはファッションだった。事務所を変えればバーターとかがあるんだけど、嫌だなと。何もそういうものがなかったらどれだけ評価があるのかなというのでやろうとしたから、ちょっと大変だった。
北方 だけどさ、役者を目指してるわけじゃないの?最初から
加藤 いやそれは目指してないです。モデルを目指すというか、モデルしか考えてなかった

吉川 そもそも加藤さん国立大学でしょ。そっからすぐにモデルだったんですか
加藤 あなただって進学校だったからわかるでしょ、周りからどこの学校に行くんだって、多分吉川くんも嫌だったでしょ。
吉川 敷かれたレールの上を走るのが嫌だった。脱線したから
加藤 大学時代にすかんぴんウォークって映画を見た時その通りだと思った。俺は嫌なんだということを言ったとき。逆にあれだけの進学校で、17で学校辞めてこっち出て来ようって凄いチャレンジでしょ。絶対に売れるって保障はないけど学校ぐらい出とこうって思わなかったの

吉川 カラ自信。賭けですよ。ただ不安には思ってなかったです。変な説得力が自分にあって。水球で高校一年生の時多分一番になった。だったら他でもそこそこ行けるだろうと信じてました
北方 今の強みになってるかもしんないなぁ

吉川 真面目な話、無人島で10日間暮らした時本当に2~3回死にそうになったんですよ。でもなんとかクリアした。芝居で対面して強敵が来るじゃないですか。百戦錬磨の先輩が。対決するときに「この人は10日間無人島で生きてられるか」考えたとき、死ぬなって思った瞬間に反撃ができる。自分を信じてりゃいいの。
加藤 自分が一所懸命やってることがあれば、そこをやっとけばある意味自信になるのね

北方 おれ吉川と二人芝居を見たいんだよね。
吉川 うわ、勝ち目ないなあ
北方 死ぬじゃない
加藤 歌えばいい。プールに行った時に、そんなに速い人もいないんですよ。あるとき泳いでたらすっごい勢いで泳いでる人間がいて。追いつけない。抜かれていくの。はええな、誰なんだろと思ったら吉川くんなの。まだ話してない頃
北方 俯瞰で、海で吉川くんを見た

作家になるために

自負はなかなかできない

吉川 ある程度、徒然なるままにってわけじゃないけど
北方 ないよ。方法論はないよ。
吉川 本を読むことが練習になるとか
北方 いや、ない。ひたすら、練習っていうより修練。文章を書く、小説を書く。自分で書くこと。人の本読んだってなんの勉強にもならない。
吉川 でもそのものさし、至るまでに自分が階段を上がっていく自負というか、ものさしはどこにあるんですか
北方 あのね、自負はね、なかなかできないです。例えば三十年経歴を積んだ作家が、書店の新作の棚にのる。端っこでも。いうときに二十歳の女の子が初めて書いた小説が話題作になったら、ど真ん中に来るわけだ。するとひとつ落ちるわけよ、三十年経歴積んだ人がね。内容的に見たら歴然としてるんだけど、でも落ちてしまう。そういう世界ですよ。だから完璧に書く必要はねぇんだよな。サシで勝負したら絶対負けねえぞって書いてる。

人生相談

試みの地平線

加藤 風姿花伝
北方 難しいこと言うねぇ
加藤 書いてあるんですよ。若い子には華があって、ベテランにはないけど、みたいな。人生相談始めた時はどうなんですか、あの「ソープに行け」
北方 ええ?相当前だよ。30年ぐらい前(笑)
吉川 あれほんとに面白かったですね
北方 あのね、そういうことじゃないんだよ。相談受けるんだよほんとに。童貞の男の子が相談してきて「ずっと昔から幼なじみの女の子が好きなんです。ずっと友達です。ずっと友達でいられるけど、なにか満たされないんです」だから俺が「ソープへ行け」って言ったの
吉川 先にソープへ行っとけと。そしたらいろんな意味で力も抜けるし
北方 出たら、もう1回好きな彼女を見直しとけと。ちゃんと前後の脈絡があるわけで言ったセリフでさ
吉川 脈絡聞かなかったほうが面白かったですね(笑)
北方 そういうことをね、回答きちんと出すんじゃなくて「お互いに頑張ろうぜ」最終的には自分で決めるんだから

吉川 顔も生き様が出るんじゃないですか。隠しようがないし変えようがない
北方 しわとか、苦労がいっぱい出てるじゃない俺
吉川 若作りしてツルッツルにする傾向強いじゃない日本。俺は理解ができない。イイって思ってる人たちがなんでこの国は多いんだろう。抗うって言うとかっこよくないけど。老化現象は止められない
北方 65過ぎてから老化してきたなあ。集中力が続かない
吉川 ものすごい連載持ってるのに「俺は楽しくてしょうがないんだ」いつも仰ってていつも悔しい思いしてました。最近ポロっと愚痴言うようになって。そのほうが人間らしくていいなと思うけれども。

北方 やっぱり表現物に接するのが一番いいと思うな。若い表現です。アイデアとかなんとか映画界にいっぱいあると思うんだ。カメラを止めるななんてさ、あんな簡単な、制作費もほとんどない映画が大ヒットしたわけじゃん。あそこになにか穴があったんだよな。創造物の穴。映画に関しては。俺最近聴いてるバンドがGLIM SPANKY。「大人になったら」とかさ。

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吉川 行間を増やしたい。メロディと歌詞が詰まってないとどうも落ち着きがないです。日本語で作るとやりにくい。ミックなんか黙ってるほうが長い。カッコイイです。歌ってる以外に全部出るんです、人が。歌ってる時には歌がうまけりゃなんとかもちますけど、歌ってない時持ってるかどうか。役者もセリフ言ってないとき持ってるかどうか。

北方 俺が学生の時サルトルが「飢えた子供の前では文学は無力である」と言ってノーベル賞辞退した。(アフリカを旅した時に)本当にそうだなと。小説書いてて本当にいいのだろうかって。

吉川晃司は最近家庭菜園にハマってる。北方謙三は運転をやめて愛車を手放した。

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試みの地平線 伝説復活編 (講談社文庫)

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大水滸伝シリーズガイドブック (集英社文芸単行本)

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初めて読んだのは黒いドレスの女。逃がれの街(どちらも映画先に見ちゃったもんな)夜を待ちながらも好き。
逃がれの街 (集英社文庫)

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