仕事がなくなる危機感
NHKを辞めて感じること
有働 NHKのドキュメンタリーとか見てると「やべ、これNHKにしか作れない。ここにいたら、これもできたのかもしれないな。もうできない、やば。大失敗だ選択したん、うう...」それを自分でためきれなくなって、人生の先輩とかに「いや~今見てたらこうで、やっぱ...大丈夫ですかねあたし」みたいなの送りすぎて、すごい優しい先輩なのに「もう、ちょっといい加減イライラするわ」(笑)しばらく距離を置かれて。やばやばやば、確かに戻れないのになにやってんだろあたし、っていうぐらいグズグズしてて。初めてそれを個人になって心細いもんだなって。それを考えると二人共最初っから保証されてるお仕事じゃないじゃないですか
評価について
角田 それこそデビューした時から今も、仕事が無くなったらどうしようってのをずーっと考え続けていて
有働 ないでしょだって
角田 ありますよだって。書けなくなるとかオファーが来なくなるかもしれないとか。コンビニとかは(バイトが)38歳ぐらいまでなんですよ。ほかのことをしなきゃいけない状況になってもおかしくないってのは、ずっと思ってますね
石田 評価はあまり気にしないです。水物というか。ワーって持ち上げられるときもあれば、全然そうじゃない時もあるのを知っているので。そういうものを頼りにしないようにしよう。じゃないとどんどん流されて、自分がダメになるのが分かるので
有働 心揺れたり、不安になったりしないんですか。自信が揺らいだり
石田 デビューしたての頃は何にもできないまま始めたので、森田芳光監督に「お前はやめてしまえ!!」18歳の時に。(88年「悲しい色やねん」)その時にああなんかすごく悔しいと思って、いつか絶対褒められたいと思っていたらもうその機会はないまま、亡くなられてしまったのですけど。そんなことだらけです。
角田 デビューしたての頃は、評価がとっても怖い、辛口の人ばっかりで。5~6年ずっと、何を書いても「馬鹿、無知 馬鹿 無知」をもっと高尚な立派な言葉で。傷つきますよね。
有働 どうリカバリーするんですか
角田 一時期ほんとに書けなくなってしまって。料理ができなかったので、その機会に覚えようと思って、毎日ご飯作って酒を飲んでを3ヶ月やってたら、馬鹿でもいい無知でもいい、書きたいと思って。書いて克服しました。
有働 基本的に視聴者からはダメ出し。来ない日あるんかってぐらい。そうすると、それを言わせないような放送をしてやろうと「今日はがさつな言い回し、絶対言わない」とか「感情が表に出すぎ」出さないぞ!でガチガチになる。どの敵と戦ってんだろってなる。
石田 それこそどう克服を
有働 これやってちゃいけない、ニュースでこの情報伝えるだけで、あとはわたしはどうでもいい、ってなるんですけど、また来ると、また抱えて...ほとんどの社会人生活を月-金の生放送でやってきたので。逆にそれがなかったらこの半年余りが不安で不安でしょうがない。何時に起きてもいいよって言われると。15分遅く起きたら人として大丈夫かなってぐらいに。結局そうやって縛られるのが好きなのかもしれないですね。
書くこと、インスタ、twitter
ネットの世界は怖い
有働 角田さんってちゃんと仕事場行って、時間を決めて書くんですね
石田 9時5時って
角田 今、朝だけフレックスにして(笑)何時でもいいって
石田 誰かが管理してるわけではなく、ご自分でルールを作って。それがすごい素敵な....毎日起きる時間も寝る場所も行く場所もやってることも違うので。だからもうクタクタです(笑)独特な疲れってあるじゃないですか、世代的な。自律神経がついていかない
有働 インスタでも疲れが取れないって
石田 学校に行ってた時みたいに決まってると体が楽なんじゃないかなって、少し思ったりします
有働 でもインスタはちゃんと上げてるじゃない
石田 インスタは遊びなんです
有働 (フォロワーが)100万超えたら遊びじゃすまなくなるよ
角田 そんなに顧客が(笑)
有働 顧客がすごくて。ネットニュースの上の方に載っちゃう。そんなの怖くない?
石田 ネットの世界は怖いです。一度も会ったことのない人が、私におしかりの言葉を下さったり。え?誰かわからないけど、わたしの暮らしそんなにまずいんだろうか。
有働 角田さん、SNSは同じ文字でもどう思ってらっしゃるのか,,,SNSの社会は
角田 書いてお金が貰えることと、もらえないこと。つまり仕事と遊びを自分の中で分けてて。遊びの時には絶対真面目なことは言わない、書かないを微妙に心がけてます。震災の後って、大震災の前年ぐらいからツイッターやってたんですけど、割と文字が怖いなって思って。絶対真面目なことは書かない。
有働 ああいうとき文字が怖いのなんでなんですかね?
角田 正義が怖いような気がします。誰かを中傷するとかじゃなくて、すごく真面目に、まっとうなことが書かれてたはずなんですけど、多分そこに増えてくる、本当にまごうことなき正義が、私は怖かったんだと思うんですよね。
石田 インスタに求めてるものは、笑い。クスッと笑える、やさしい気持ちになるとか、ニコッてすることが意義だと思ってるんですけど。みんな勝手に論じ合うっていうか...ねえ。あれはなんなんだろう。すごい攻撃性を感じて怖いなと思うこともある。確かに正義とか思い込みとか怖いですね
有働 私やったら、夜中に酔っ払って、絶対いけないものを書いたりするんで、自分で禁じてます。
角田 わかります。私も酔ったら、絶対にケータイを触らないルールにしてます。怖いですもんねえ
有働 ありえない人に電話してダメ出しとかしてるんですよ。朝起きたら「昨日のアレですけど、どういう意図でおっしゃってるんですか」思い出して嫌な気持ちになるので、もうやらない。報道の時代もやってたんですけど、正義って怖いってずっと思ってました。自分で探せたらいいって思って。何が正しいとか何が正義って。そのあと、一生懸命考えた自分の正義が全然違ったり。あんなに考えていろんな人の意見聞いたのに。どうやって見つけるんだろって。
角田 ないと困るんですよね
有働 最低限の正義は、社会のどこにあるんでしょうかって(中略)入社したときは男社会なので、たぶん、セクハラ問題とかMe too問題、うちら世代が許してきちゃったから...許したっていうか、男脳で仕事しないとめんどくさい人としてイジられたり。どんな下ネタ話でも(流して)さっさとやる、みたいにしてきたことが今のいろんな問題を残してきたのだろうなって反省がすごいある。今は声高に言いますけどね「更年期気味なので早く帰ります」って。風邪気味じゃないんだから(笑)