ケルン市警オド
ペンタッチ
青池:絵がゆがんだりするのを必ず鏡で確認して、おかしいところを直すようにしてるんです。(修正前と後で)どこがどう違うんだろうって感じですよ。
浦沢:でも説得力のある顔になってますよね
※ミリペンでふき出しから描く。重線はGペンでゆっくりと。
浦沢:このペンタッチから何からがオドのまじめさを表現する(笑)実直なペンタッチ。やっぱり、ありますよね?まじめな人を描いてるときはペンタッチも真面目みたいな
青池:ああ...それはわかります。手堅いっていうんですか「ミスをしないようにしよう」
浦沢:でも基本、青池さんの作品の中に出てくる男たちはみんなまじめですよね(笑)すごく。見習わなきゃいかんなっていう真面目さがありますよね
青池:そうですね。みんな真面目に職務に忠実で...
※表情は細い丸ペンで。
浦沢:以前...それこそ70~80年代の絵を見ると、もっとスーッと入れてるように見えるんですけど
青池:指の力がなくなっちゃって、スーッと抜けなくなってるんですよ。だから重ねて描かないと1本の線にならなくなっちゃっているんですよね。
浦沢:でも紡ぎだすようにツッツッとやってるところが、今のオドのキャラクターに合ってるというか「この人にはこのペンタッチだよな」という感じがありますね。僕は口を描くのが本当に苦手なんですよ
青池:慣れてはいるけど動きが違うんで、ハンコで押せればいいんですけど
浦沢:でも(髪は)ちょっと薄墨っぽい筆ペンですよね?
青池:いや、墨がなくなってるんですよ
浦沢:へたってきてるんですかね。でも薄墨状態になってきてるのがとってもきれい
生い立ち
イブの息子たち
73年フリーに転身
主人公3人組は、大好きなロックバンド、エマーソン、レイク&パーマーがモデル。
ELP / Karn Evil 9 1st Impression Part 2 / 1974 California Jam - YouTube
ナットロッカー/エマーソン、レイク&パーマー The End Nutrocker/Emerson Lake & Palmer - YouTube
おじさんを描く
浦沢:コミケって自分の好きなもの、それこそ好きな漫画でも二次創作とか。あそこってなんか“好きなものの塊”みたいに僕には見えるんですよ「好きなことをやって、好きなものを好きなように描く」コミケの前身が、当時青池さん世代がやられていた「ロックミュージシャンを登場させて描きたい」そういうものからつながってる感じがあって
青池:ええ、分かります
浦沢:好きなものを好きなように描く、描いてて楽しい、それが読者も楽しくさせる。その連鎖がこのころ始まったような感じがしますね。ひそかにね、僕は革命だと思いますよ。おじさんたちがみんなかわいい
青池:おじさん描くの好きです。いろんな表情が描けるんです。やっぱり美形キャラってどうしても、あんまり顔が壊せないんですよ。それがちょっと、人間としての顔が...
浦沢:やり放題ですもんね
青池:(笑)そうです。描けるので
エロイカより愛をこめて
登場人物はレッド・ツェッペリンのメンバー
ドリアン・レッド・グローリア伯爵はボーカル、ロバート・ブラント。ジェイムズはジミー・ペイジ、ボーナムはジョン・ボーナム(そのまんまですやん)
(レッド・ツェッペリンの存在は)大きいですね。美意識としても最高でしたね。
少佐の影響力
浦沢:職務に忠実、キレイ好き、まっとうに生きる。それで「貴様らなにやってるんだ!」度が過ぎた真面目なんですよね。言葉遣いとかも「えーいうっとうしい」のちにオタク世界のところで侍言葉みたいに定着しますけれども、その先駆け
青池:そうかもしれないですね。いわゆるおやじ言葉、軍人の言葉というか
浦沢:のちの漫画界に対する影響力。すごいことをされていたのでは「この言葉遣い今みんな使ってるな」
青池:使ってますよね
「アラスカ行き」は「パタリロ!」エーベルバッハ少佐は「金田一少年の事件簿」猪川将佐、大友克洋「猫はよく朝方に帰ってくる」もパロディー
浦沢:大友さんがものすごいパロディーを繰り広げてた
青池:いや面白いな、と(笑)びっくりしましたね。ちゃんと日本人になっていて
浦沢:私立探偵で
青池:驚きました、私も本当に。なんて上手なんだろうと
浦沢:エーベルバッハは現象なんだと思いますよ
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