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人生案内メモ、文字起こし、感想。

ボクらの時代 村田沙耶香X又吉直樹X尾崎世界観 文章を書く感覚、子供らしさとは

コロナ禍に書く難しさ

村田:喫茶店で書いてたので、ファミレスに移動しても8時には閉まりますと言われて。すごい追い詰められてます

尾崎:人の音が気になるんですよね。誰かがPC使ってると途中で止めて「すみません、ちょっとやめてもらえませんか」(笑)言っちゃうんですよ。自然の音とかだったら納得できるんですけど。誰かが出してると思うと止めたくなっちゃうんですよね。不規則に来るから、自分のリズムを阻害される感覚があって。

又吉:僕は移動して書くのがすごい好き。2時間やって移動して、って。僕も少し難しくなってますね。多分こういう時期やからてのもあって、PCとかお控えくださいて紙が貼ってあって。書きに行ったんですけど、早く書かなあかんねんのにただただコーヒー飲んで、何してんのや(笑)ただただ美味しくコーヒー飲んで帰ったりとか。環境かわりましたね

文章を書く感覚

原体験

村田 通ってた小学校で、ホチキスで雑誌作って。いろんな人が連載したりとかが流行って。漫画も描いてたんです。ご存知のとおり酷い絵で、みんな左向いてるんです。会話しててもみんな左向いてる(笑)

又吉:なんかわかります。こっち側向いてる人間は描けるけど逆は難しいとかありますよね

村田:漫画はもうやめようって。小説をホチキスで留めて。その時(自分の書いた)字が邪魔って思ったんです。少女小説がすごい好きで、表情がない明朝体に自分の文章がなって欲しいと願って、ワープロを5~6年生の時に母とお金を半分ずつ出して、ものすごい書いてました

尾崎:又吉さんは、文章を書く感覚は

又吉:やっぱりみんなが笑うことってどんなことかなというのを考えちゃってましたね。遠足とか行くにしても一番の楽しみは、遠足が終わったあとに作文を書く。感想が一番好きやから、行く前から作文が面白くなるように、ちょっと弁当とか全部忘れていこうかな(笑)持っていかへんやったらどうなるんやろと思って忘れていく。今の方がまだ自然かもしれません。

尾崎:作文はすごく考えさせられましたね。小学生の時にクラスの代表に選ばれたりすることもすごくあって。自分が目立てるのはそこしかないなと思って。だんだんエスカレートして、ビデオ屋に行って裏のパッケージとか見て、それを使おうと思って。あるときマラソン大会があって、給食のおばちゃんがたまたま通りかかった時に「がんばれ」って言ってくれたので「僕は頑張れという言葉の本当の意味を知りました」と書いたんですけど、めちゃくちゃ怒られましたね。そういうので勉強してきましたね。これはやりすぎてるなとか。(音楽に興味は)なかったです。早く小学生を終えたいと思ってた。つまんなすぎて。スポーツできなきゃダメだし。出来る人だけがモテる。あと、公園で遊ばなきゃならない謎の時間があるし。なんかつまんないなと。夏休みはすぐプール行けって言われるし。お小遣いもらっても必ず「これでどっかいけ」どっかで時間潰してこなきゃいけない。そういう感覚がすごく苦しくて

又吉:子供らしさがあんまりなかったんですかね
村田:子供らしさを求められることがありますよね。園長先生に「サンタだよ」って言われて入ってきたら一応喜ばないといけないとか

又吉:保育所やったんですけど、近所のお兄ちゃんがゴリラの覆面をかぶって入ってきて、みんなすごい喜んで「ありがとうね」とか言ってるんですよ。ゴリラや思って逃げてて、先生はゴリラにお礼言うてるし。僕も一緒に楽しめたらいいのに、その高校生のお兄ちゃんたちが、給食室、職員室に入っていこうとしたら、そこは入ったらあかんから、グラウンドだけにしといたほうがええで、とか思ってしまう子だったんですよ(笑)なんか楽しめなくて。無邪気になりきれない。

執筆スタイル

尾崎:打ち込みますね。iPhoneのメモで。あのフォントじゃないとダメですね。
村田:自分の字が邪魔ってこと?
尾崎:そうですね。いい感じの言葉になっちゃうじゃないですか、自分の手で書くと。その愛着が気持ち悪いんですよね。もっと無機質な感じで、それでもいいかってところで判断したいので

又吉:村田さん、まず絵を描いたりするの好き?
村田:そうなんです。まず主人公の似顔絵を描く。本当に下手な似顔絵。
又吉:1回見たことあるんですけど、なんて下手なんやろ(笑)村田さんの言葉の方がより鮮明にその人物をわかるのに。でも村田さん的には描くほうがいいんですね
村田:一応あれを描いて、主人公の心情とか靴とか決めるのが好きなんかな。文字だけより図解して。急に走るシーンがあった時にヒールなのかスニーカーなのか。たとえ小説書いてなくてもわからないと。

尾崎:人物の視点で書きたいので、主人公(容姿は)ほぼ決めないようにしてる。見えてきそうになってもぼやかしたい。逆に主人公以外の人を描写したい。自分以外の他人の見え方で主人公を書く事が多い

音楽と文学の間で

歌詞と小説の違い

又吉:尾崎さんの書く歌詞もすごい好きでずっと聴いてきたんですけど、小説書くっていうのは違いありましたか

尾崎:ひとことで逃げられる感覚がるんですね、歌詞に関しては。なんとなくいい感じになってしまうのが不満でもあったんで、小説書いたんですけど。小説は小説で難しすぎて。その間で今は結構悩んでますね。小説の中でも思いっきり振りかぶってパンチする瞬間が、自分でもわかるんですよ。「ここで感じてほしい」が出ちゃってるなあって。歌詞を書いてきたせいなんですよね。歌詞って全部の行で決めなきゃいけないので、それがどうしても離れないんですよね。歌詞で染み付いた大ぶりのパンチを止めたいと思ってますね。そのあとにかなり隙ができる気がして。小説の、ここだ!って書いた文章の後が崩れがちなので。今後の課題ですね。

又吉:村田さん歌詞とか詩とか書いたことあります?

村田:全く書けなくて。短い文章も苦手で。帯とか頼まれても「20字から80字でお願いします」(笑)結構難しくて。200字書けて好きなとこ使ってくださいにしたいな(笑)

尾崎:邪魔な時ありますね。音が鳴ったり。基本的にはそこが自分の強みだと思ってるんですけど、終わらせてしまうんですよね。書いててもなんとなく音楽的に感じてしまって「あ、ここでいいな」ちょっと早めに切り上げてしまうことが多い。終わりが自分で見えてしまうから。わかりやすく積み重ねて。ライブは1曲1曲終わりがあるんですけど、それは小説にとってよくないなと思います。キリよく区切ってしまう瞬間があるので、なるべく減らしていきたい。