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あさイチ プレミアムトーク おおたわ史絵 母、矯正医療、依存症について

生い立ち

異常ないびつな日常

子供の頃は肥満に悩み、母親から体罰を受けた。研修医時代は体調を崩し、半年間ひきこもり。

私は実の母親を薬物依存(鎮痛剤)で亡くしている。ひどい時には家の引き出しやテーブルに、注射器や針が散乱している状況。当時の私は、彼女に薬をやめさせること、ゼロにすることのために必死になっていたんですけど、自分のやってきたことは間違ってたかもしれない。
母は子供の頃に盲腸をこじらせて腹膜炎に。手術の大きな傷がある。大人になっても痛みは続いた。父が医者だったので鎮痛剤を投与しているうちに、父も母も気づかない間にどんどん依存症になってしまった。最後の方は自分で1日4~5回打つようになった。家族にも葛藤や闘いがあった。彼女も看護師の資格を持っていたので、そこに注射があれば自分で打てる。止めるものが何もなくなった。
幼稚園のときから、帰っても睡眠薬で寝てることが多かった。いつも母親の顔色を見てハラハラしていた。どんな母であれニコニコしてると嬉しいんですよ。明確に(依存症だと)わかったのは大学生になった時でした。
母のことは家の中の恥部なんですよ。言えない。(大学の頃からの友人にしか言ったことはない)
スーパーファザコン。(結婚式の写真も母とは少し離れている)母は私のやる事なす事、人間関係すべて反対してくる。お前なんか出てけ、早く死ねとも言われたので。異常ないびつな日常になってしまってた。それを乗り越えるのではなく、その中で普通に生きていかざるを得なかった。人間はどんな境遇であっても生きていかざるを得ない。父も仕事があったし、私も受験、仕事があった。蓋をして生きていくしかなかった。

矯正医療

きっかけ、ジレンマ

法務省から声をかけていただいたとき、最初に驚いたのは受刑者の犯歴。多いのは薬物と窃盗と聞いた。クリプトマニア、窃盗は依存性と大きく関わっている。病的な盗みがある。依存性と背中合わせなんだと知ったときに、この仕事向いてるかもしれない、いつか依存症に関わる仕事ができたらいいなと思っていたので、来るべきところに誘われた(いざなわれた)と思った。この年になって。

2018年から矯正医療。医者の中でもあまり知られていない。普通の医師免許でできるが、なり手の少ない仕事。
違いは、患者は受刑者であること。また、診察時は、准看護師あるいは看護師の資格を持つ刑務官が立ち会う。患者は黄色い線から出てはいけない。パーテーションが無いので密室状態ではない。

刑務所で働く医師の本音|法務省矯正局|医師転職を支援するMediGate(メディゲート)

おおたわ (刑務所勤務は)全然怖くなかった。もっと言うと、刑務所の中だろうが外だろうが、悪いことをする人はいますし、怖い人は怖いですし。患者さんと二人になることに慣れてはいたので。刑務官も付けば、逆にいろんな人たちの目もありますから。なんといっても受刑者は刃物も拳銃も持ってないですから、捕まってる間は。外では知らないですよ。何も持ってない丸腰なんで、結果的に怖くないです。
日本はいま、医療がすごく進んでいて、保険でできる診療、保険外、たくさんいろんな診療や検査が受けれたりするんですけど、どうしても刑務所の中は、みなさんの大事な税金でまかなわれているんです。だからお金を使っていろいろなことができるのではなく、最低限、必要十分なことを彼らができて、作業を行える健康状態を維持してあげるのが目的。刑期の間ちゃんと出来て送り出すのが目的ですから、健康を維持してあげないと働けない。そのせめぎあいで高度な医療を行うことができないのがジレンマ。
受刑者の高齢化も重要な問題。高齢になって刑務所で最期を迎える人もいますし、罪を犯すと外に出てからなかなか更生の道が開かれない。そうすると刑務所に戻ったほうが楽だから、また何か犯罪を起こして戻って来る。要は累犯。何度も何度も繰り返して、7回とか10回の受刑者も多いので、そうしているうちに高齢化が進んで、大きな問題になっていますね

※2019.9.2に亡くなった安部譲二さん思い出した。ヤクザから足を洗うまで前科14犯。国外3犯。刑務所生活通算8年

被害者の方々を考えると、殺人とか、許しがたい人はいっぱいいますよ。だけども更生、矯正させていくためには、やはりまず、人と人として接することが、もしかしたら彼らの矯正につながるかも知れないと思ってやっているんですけどね。性善説とか、我々の努力が徒労に終わる可能性もあるけど「だって無駄じゃない」と言ってやらなかったら、そこで終わってしまう。100回やってダメでも、101回目に変わる可能性がある。どこかでそういう気持ちを持ってやってる
受刑者を笑わせたい。笑いヨガ。運動だと思ってやってほしい。

依存症

家族のための病院

患者さん本人よりも家族が健全な状態を作り直すために、1回入院しなさいと勧められ、驚いた。父と一緒に、家族のための病院で二週間入院。家族の会に参加して、グループミーティング。状況は違えど家族の心はすごく似ている。やめさせられないことへの苦しみ、自分のことも痛めつけて見えない闇でもがいている。同じ気持ちの人たちがこんなにも世の中に居るのにすごく驚いたと同時に、家族と話すと心がラクになる自分がいた。

家族が快復時期にすべきこと

正しい知識を持つこと
家族の快復体験談を聞くこと
仲間を作ってください
自分をよくすることに集中しなさい。自分が変わること。
徹底してやってみること

自分が快適に幸せに暮らすことを覚える。変わらない人を変えることに必死だったので、自分が変わるなんて考えたこともなかった。

依存症患者に共通した特徴

関係する人6つの問題

自己評価が低く自分に自信を持てない
人を信じられない
本音を言えない
見捨てられる不安が強い
孤独でさみしい
自分を大切にできない

自分は親からでさえ受け入れられない、他人から受け入れられる価値がないと誤解している。
依存症は6つ全部当てはまる人が多い。
昭和と令和では時代背景、医療が異なる。依存性というだけで門前払いになったり。

ハームリダクションアプローチとは

依存症の人は当たり前のことが生きにくいので、ギャンブル、アルコール、薬によって気持ちを落ち着けたり奮い立たせる。
溺れそうな時に浮き輪があったら、死ぬ気でつかみますよね。依存症の人にとってそういうイメージなんですよ。取り上げることに必死になるのではなく「浮き輪はいらないからこの手を掴んでください」そういう考え方。人を信じられないので、まず信じられるところから始めましょう。自然に手を離す時が、浮き輪を離す時が来ますよ、というのがハームリダクションアプローチ。令和の時代の大きな変革。
いつか離す時がくるからそれまで手を差し伸べ続けよう。