ダヤン
初代の猫
ここから9匹飼った。母が革の教室を始めたんですね。店を出したときにシンボルのキャラクターを出したのがダヤン。私が作りたい世界はある程度あった。そこにこの猫を送り込めばいい。そこでいっぱい小話が生まれて、それを拾って。ダヤンのおかげで世界が固まった。
今度は小説になったら一方ではそっちの心情を語り、一方ではこっちの心情を語り。ふたつの心情が行違ったり、ガッチンコしたり。ダヤンはさらに性格がはっきりしてきました。そういうのが独り歩きっていうのかもわかんないわね。描いていくうちにセリフとかがどんどん出てくんだよ。
スケッチって時間かけるから、その分すごく気が付くことが多い。流れる時みたいなものを閉じ込めることができるから、描いた時のにおいとか、すごく感じる。
あんちゃん
お姉さん猫・6歳
複雑でね。呼んでも来ないのね。割とヒエラルキー。その代わり、りんちゃんが欲しがるものは割とあげる。
りんちゃん
妹猫
夫の知人から譲られた。捕まえちゃったら大丈夫。平気な猫なの。触られるの好きだよね。犬ってそっちの世界に行かなそうじゃない。やっぱ猫しかないんじゃなぁい
満月の夜の猫集会
朗読・竹野内豊
猫ってね、人やほかの動物には見られない、不思議なものを見る力がある。
猫をようく観察してみると、虚空の一点をじぃっと凝視していたり、いきなり何かに取り憑かれたかのように、鳴きたてたりすることがある。あれはここではない別の世界の物音を聞いているからに違いない。
わたしが絵本の世界にダヤンという猫を送り込んだのは、猫にはこういう不思議な力があると思ったから。それからもうひとつ。視力こそ人間に劣るものの、聴覚、嗅覚、第六感は、はるかに猫が優れている。時計もないのに2匹時間を合わせて猫集会を開くことができるのも、猫ならでは。
あっ、ほら、居間でくつろいでいたあんちゃんが、急に首をもたげてロフトへ続くらせん階段を見上げている。りんちゃんも、お姉ちゃんの真似をして見上げるなり、目を丸くして「にゃあ」と小さく鳴く。
「やあ、あんちゃん」
らせん階段から小さく顔をのぞかせ陽気に笑いかけてくるのは、4年前、急に死んでしまったチビ。
「チビ...まさかチビなの?」
あんちゃんは、すごい速さで階段を駆け上がると、チビに飛びついた...
「あんちゃん、大きくなったなあ。いきなりいなくなってごめんよ」
そう言ってチビは、あんちゃんを抱え込むと、ぺろぺろぺろぺろ、なめてなめて、
「ずいぶん心配しただろう?」
チビとあんちゃんは、いつも抱き合って眠り、お互い寄り添い合う猫だった。
ちょうど今の、あんちゃんとりんちゃんみたいに。
朗読のミカタよりスーッと入っていける。てか、あの番組はなぜ始まったのだろう
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