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【抜粋】視点論点 中江有里 本を読む楽しみ 荒川洋治「昭和の読書」

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読書の秋

といいますが、みなさんは読書を楽しんでおられますか?
私は幼い頃からの活字好きが高じて、読書が好きになりました。
現在は読むだけでなく、小説やエッセイを執筆したり
テレビや新聞、雑誌等で、おすすめの本を紹介したりしています。

私がご紹介した本を、読みたくなった、あるいは書店で買ったり
図書館で借りて読みましたという声を聞くと
とても嬉しく思います。

本を読む喜びを分かち合う

読書というのはひとりで行う個人的な楽しみです。
ですから、ご紹介した本が読まれることは、
誰かと本を読む喜びを分かち合う一歩になります。
本を読む喜びを分かち合う、それはひとりで行う読書が
誰かとのコミュニケーションへとつながる時です。

以前私が出演していた、NHKBSプレミアム「週刊ブックレビュー」という番組で
同じ本を出演者5人で評し合うコーナーがありましたが
同じ本でも読む人によってこんなにとらえ方が違うのか、と
多くの刺激を受けました。

人の個性というのは、その人の見た目ではなく、
読んだ本の感想に出るのでは、と思います。
こんなふうに読む人の個性があらわになる読書は、
限られた人の趣味となって久しいです。

なぜなら読書は簡単なものではなく、それなりの努力がなければできません。

※テレビ版とは若干数字が違う。2017年6月版

resemom.jp

読書は楽な娯楽ではありません。
読むという意思を持って読み進めないと、ページが進まないものです。
映画やテレビやゲームなら、自分が何をしなくても勝手に進んでいきます。
ここに、読むこととそうでないことの娯楽の大きな違いがあります
そして、読むのが習慣になることで、だんだんと読み上手になっていきます。
そういう意味では、毎日のように読書する小学生は、
読みなれているから冊数が多い。
しかし、一旦読書が習慣から外れると、読むことから遠のいてしまう

読書の楽しみ

読書は、好きな人だけがすればよい
そんな面倒なことはしたくない
という方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん本を読まなくても生きて行けますが、本を読まないままなのはもったいない。
本は身近にあって何度も楽しめる、そして思わぬ力をくれる
そんな読書の力をお伝えしたいと思います。

まず、読書の楽しみは読む前から始まっています
本を選ぶ際、どういう基準で選ばれていますか?
タイトル、装丁、なんとなく手にとった。
様々な理由があるかと思います。
私が小学生の頃は表紙を見て、冒頭を少し読んで
「あ、自分にも読めそう」と確認して読んでいました。

私が本を選ぶポイントは二つあって
ひとつは、表紙が親しみやすいか
もうひとつは、使われている漢字が読めるかどうか、でした。
自分の漢字じレベルで、その本があっているかどうか探っていたんですね。
本が難解すぎると、読み進めることができなくなるし
簡単すぎると読む気力がそがれる。
自分と本の相性が合わないと、読書自体嫌いになってしまうことがあるので
気をつけなければなりません。

現在も本を選ぶ際は頭を働かせます
今の自分の問題意識や、興味のあるもの、考えていることによって
手の伸びる本が決まってくる。
読書は読む前から始まっているのです。

読書力

次に、実際に読む段階になると、ただ読むだけなんですが
ここでつまずいてしまうのは、力が足りていないからです。

本を読むには、
読解力、集中力、想像力。この3つを合わせて
読書力と私は呼んでいますが
読書だけでなく生きる上で大いに支えになってくれるもので
読むことで読書力は鍛えられていきます

おすすめの本

荒川洋治「昭和の読書」

読書に関する一節を弾いてみます。

目の前に突然何かを示されたときほど
自分の能力が試される機会はない。
目の前の物を、あるいは人をどう見るか。
どこまでしっかり観察できるのか。
それは人生の内容にもつながる。
観察心をやしなうことはたいせつだ。
人の心を聞いたり、
読書を続けていくのもそのためなのだ。

いまお話してきたのは、読書を続けてきた私の結果ですので
本は楽しく読んでいただくだけで
全く構わないのですが
個人的に読書で不思議な経験があります。

わたしは20代前半、心身ともに不調の状態に陥っていた時に
偶然手にした本によって
徐々に落ち込みから脱することができました。
これは悩む人にだけわかる示唆というようなものを
本から受け取っているのだと思います

読書は山を登るのに似ている。

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