かこさとしさんとは
1926年福井県生まれ。パイロットをめざし陸軍士官学校を希望するも、15歳の時視力の低下で試験を受けられず断念。
終戦。軍人に憧れ戦争に加担しようとした浅はかな自分を後悔するようになる。
目のいいやつは特攻機に乗ってみんな死んでしまって、僕も本当は死ぬべきなのに、死にはぐれみたいな。間違った判断をする自分は昭和20年で死んだんだと。
東大工学部に入学。就職後、手作り紙芝居のボランティアを始める。
生きるよすが、目標がなくなってしまったので、生き残ったのが目標ではなく、償いをしなきゃいけないと。償いは 僕のような間違いをしない、賢い、自分で自分の周りのことを判断できる、そういう子になって欲しい。
※よすが とは
身や心を寄せて頼りとするところ。よるべ。手掛かり。古くは「寄す処(よすか)」
子供達の生の反応に触れる機会が、かこさんの価値観を変えていった。
たくさん集まってきた子供たちが、一人減り、二人減り、自分たちが興味がないなら、付き合ってる暇はないよと子供に教えられた。彼らが無言で教えてくれた。
生み出した作品は600以上。
からすのパンやさん
紙芝居を元に作られた。
カラスをハンコで100羽、200羽と出しても子供さんはあまり感心もしてくれないし感激もしてくれない。
そうじゃなくて、ひとりひとり、1羽1羽が違うんや。ちょっと顔の丸いのと四角いのが描けると「これは面白い」非常に細かいところまでしっかり見て理解してくれる。そういうのが普通の子供だと思う。子供の力を育て応援してあげるのが一番いいと思う。
だるまちゃんとてんぐちゃん
「20年先も読み続けられる本を」とおっしゃったそうだが30年後に見つけたときは嬉しかった。子供の頃から好きだった本。おとなになってからも、坊主が小さい頃何度も読み聞かせた。
小学校の図書室で見つけた時は感動した。低学年の子に人気があった。
だいこくちゃんもかわいいこどものとうひょう、おとなのせんきょ
子供たちの間で、広場の優先権を投票で決めることにしたお話。民主主義について、単なる多数決でいいのか問いかける本。
1983年出版。一旦休刊したが18歳選挙権導入で話題となり、2016年緊急復刊
3歳を過ぎると個性が出てきて、同じ昆虫でもトンボの好きな子、ダンゴムシが好きな子に分かれる。それをどんどん追求して深いところにそういうのを子供達が望んでいる。子供たちは先生です。
出発進行!里山トロッコ列車 小湊鉄道公園の旅
2016年春出版。沿線の風土や歴史を美しい絵で楽しめる。トンネルの掘り方や形状も学べる。
単なる楕円ではなく、下がすぼんで力学的にもつように....
追記
2018.5.2死去、92歳。
2017年、巌谷小波文芸賞(いわやさざなみぶんげいしょう)受賞。
絵本作家 かこさとしさんが5月2日、92歳でお亡くなりになりました。MOEでは創刊以来、「だるまちゃん」「からすのパンやさん」など、かこさとしさんの絵本を何度も特集させていただき、取材でお伺いする度にとても素敵な笑顔でお話しくださいました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。 pic.twitter.com/NVVSOXtQTS
— 月刊MOE (@MOE_web) 2018年5月7日