稲垣栄洋
そもそも雑草とは何なのか
折れない心、強い心というイメージ
雑草とは未だその価値を見出されてない植物のことである/エマーソン
稲垣:四つ葉は踏まれると出やすい。幸せのシンボルと言われるけど、踏まれるからこそ幸せになる。踏みつけられるところに雑草があるんですね。踏まれていじけたように見えるかもしれませんが、上ではなく横に伸びていく。踏まれても踏まれても立ち上がる、は嘘でして、何度も踏まれると立ち上がらない。それが本当の雑草。雑草にとって大事なのは生きること。生きて花を咲かせて種を残すのが大切。踏まれながら生きるのが本当の雑草魂。
三浦:何か勘違いしてましたね。打たれても打たれても生きて25年間。
稲垣:雑草の世界は正解がわからない。もしかしたら早く芽を出すのがいいかもしれないし、のんびりと出したほうがいいのかもしれないし。雑草は本当は弱い植物。他の植物との生存競争に負けてしまう。 ライバルが実力を発揮できない場所で勝負する。冬がすごくチャンス
三浦:野球選手もそうですね。人が休んでる時にどれだけ練習できるか。そもそも雑草って何?
稲垣:定義は結構難しくて。邪魔モノになりやすい植物を雑草という。調べてわかったのは、雑草ってどういう風に育つか、自由自在。環境によって変化する力がすごくある。
三浦:弱いからこそ、最低限のことで、自分が生きる道を探していく。コンクリートの隙間とかどうやって生えてくる。
稲垣:コンクリの隙間を乗り越えられれば天国。まさにそこがチャンス。ライバルがいない。
ハマの番長が軍手をはめて土いじりをするのを、じっと見られるなんて新鮮な感じ。
三浦:雑草って、儲かるんですか?ぶっちゃけ?
稲垣:儲からないですけど、何気なく生えてる雑草には意味があるので
三浦:金じゃなくて(笑)面白いんですね。
稲垣:雑草のチームって日本人は応援する。海外は邪魔モノにする。雑草ってすごく嫌な人に対して言う言葉。本来温室育ちはエリートに向けた言葉なんですが(日本では嫌がられる)
三浦:甘えてるとかですね。この先もずーっと雑草は生きていけそうですね
稲垣:人間が滅びない限りはね
三浦:根っこから抜かないと
稲垣:いや、抜いた刺激でまた生えてくるんですよ。一人勝ちするとバランスが崩れる。セイタカアワダチソウはアメリカからやって来た。根から毒のような物質を出して、日本で一人勝ちしてしまった。アメリカではそんなものでは植物は枯れなかったが、日本では初めてだったので他の植物が枯れてしまった。でもセイタカアワダチソウはだんだん勢力を弱めていった。 プロ野球も生存競争をしながら成り立っていったのかなと。
三浦:その過程が面白い。負け組はそれで終わりじゃなくて
稲垣:最後はひとつぶでも種を残せれば勝ちですから
三浦:いや~今日は勉強になったなあ
稲垣:雑草って育てるのがすごく難しい。野菜や花なら同じ時期に花が咲くけど、出てこない奴がいる。死んでるわけじゃなくまだ芽が出ない。個性ってこういう世界。みんなが言うほど簡単じゃない。
三浦:その世界に合った道ってあるはず
三浦大輔
宜野湾市立野球場で対談
スーツでグラウンドに立つのはある意味新鮮
最初の頃は来るのが嫌で嫌で。ライトのポールあるじゃないですか
多い時で100本走りました。自分では絶対走らないですよ
トレーニングコーチから出されたメニューをこなすので精一杯だった。
大体1ヶ月で2500球以上投げる
疲れてきたら無駄な力入れなくなる。追い込んだ先に見えてくると思って
このキャンプで根っこの部分を作った。
稲垣:野球人生には印象に残る逆境があったと
三浦:プロ入った時、あまりのレベルの高さに。
自分のレベルの低さにどうやって行けばいいのかと
ランニングの本数もこなせないしピッチングのキレもない
注目されて入ったわけでもなく、自分の存在価値をアピールしなきゃいけないと
この髪型で(笑)当時は監督コーチにも「切ってこい」と
当時はパンチパーマの人もいたからいいだろうと思って。
野球に取り組む姿勢はちゃんと真剣にやりましたから。
1991年ドラフト6位(1位は斎藤隆)
http://draft.main.jp/1991-draft.html
三浦:肝機能障害の時には勉強したり、肘の時も
この時間を無駄にしたくないと思って。
稲垣:二段モーションが禁止になったのはかなりの痛手だと
三浦:コーチと作り上げて10年やってきたので、最大のピンチかなと思った。
稲垣:具体的にどういう感じで修正されたのかと
三浦:1回目に足上げるのを省くのか、2回目を省くのか
僕の中では全然意味合いが違うので。最終的にはゆっくり軸足を上げて
でもなかなかできずに。なんとかシーズンには間に合いましたけど
稲垣:三浦さんは壁の向こう側を見えてるような感じ
三浦:不安はありましたよ。どう闘うか。自分が変わるしかない。
どう向き合うか。上位指名は何も思ってなくても注目されて
もっとしんどいだろうなと。
稲垣:ずっと強者の戦い方の人はいない。早いうちから両方身につけてた
三浦:いろいろ試しましたね。若い選手にも
合わないなと思って捨てるんじゃなくて置いときなさい、と。
2年ぐらいたったら合うかも知れない。引き出しとして残す。
それが後々助けてくれると思いますから
積み重ね行くしかないのかな。天才が努力すると勝てない。
努力する天才に勝つためには違う方向に行く。
この世界で生きていくにはどうすればいいか
雑草には共通するものがたくさんある
印象に残っているのはプロ初登板と、98年の優勝。
プロ入ったらいつかはビールかけしたいな、と。
もう1回優勝できると思ったのに、選手がどんどんいなくなって
ファンもいなくなって、悩んで悩んで
でもやっぱり横浜で優勝したい、でもできなかった。
若い選手を育てるというよりアドバイスをして、上手くなって欲しい
ポジション取られるのは嫌でしたけど
教えることの楽しさと難しさを経験しました。
個性を生かせれるような いろんなタイプの選手がいて
いろんな武器を用いて戦っていくチームが見たい
もちろん基本て大事ですけど、とらわれすぎてもダメ
固定観念にとらわれすぎないほうがいいのかな
こうあるべきと思ってしまうと周りが見えなくなる
何十年も前の指導方法が
じつは間違っていたというのもありますし。
三浦大輔はセコイのだ。
ルールの範囲内では何をしても勝ちたいと思っている。