辻堂ショック~執筆ペース
夫の話も
新川:(4年の時に)新潮賞獲られましたよね、やべ~って思った(笑)これがいわゆる「辻堂ショック」です。
結城:学食かなんかで友達とラーメン食ってるとき「小説家デビュー決めたらしいよ」みんな「へぇー」僕だけラーメン食う手が止まって「は?出し抜かれた!」(笑)同世代、同じ学部にこれだけいるのは珍しいですよねって言われるんですけど、珍しいのは珍しいんですけど、そのきっかけとして辻堂さんの影響がある。必然っちゃ必然。触発されて後に続いた。あそこで出てなかったら、月9二期連続新川帆立はなかった(笑)よくかけるなと思ってビビってる。新川さん何年目でしたっけ
新川:まだわたし、1年と半年なんですよ。この中で一番後輩です。1日何時間とか、決めてらっしゃる?
辻堂:二人目生まれてから5時間に減って、どんどん自分に甘くなってる。会社員として働いてた時は、定時が当たり前に8時間あるわけじゃないですか。そこからなるべく落とさないようにと、なぜか強迫観念があって。フルタイムで働く会社員の気持ちが抜けきらないまんま、専業作家になっちゃった節がありますね。家のダイニングテーブルとかで書いてます
新川:私も家派。どこでも書けるんですけど、家が一番疲れない。シカゴと日本を行ったり来たりするとき、搭乗口の前の椅子で書く。ルーティーンをできない。何時に起きて何をして、毎日のルーティーンを守れないタイプ※夫の仕事の都合でシカゴ在住
辻堂:やり始めると止まらない性格。止めないと生活にひずみが出てきちゃう。家族に迷惑かけてもいけないし
新川:家族に迷惑かけ続けてる。追い詰められてるとき,家事が全くできないので、だいたい夫が全部やってくれる。夫が一緒にいると書ける枚数が増える
セブンルール 小説家 現役弁護士 新川帆立 元彼の遺言状、生い立ち、ミステリー小説の書き方 - 別館.net.amigo
タイトルのつけ方
SNSでバズるか
辻堂:夫が全く小説読まない人で。私が話しても興味もないので。1回相談したのは、タイトルに悩んで「悪女」って言葉入れようと思ってるんだけど、浮かばないって言ったら「じゃ、オレが考える」30個ぐらい書き出して。その中で「悪女の尊厳」がなぜか自分なりにしっくりきて、尊厳を品格にした
新川:「#真相をお話しします」すごくいいタイトルなんですけど
結城:元々#拡散希望をそのままタイトルにしようかとおもったんですけど、混ざって分からなくなっちゃうので
新川:検索性が下がる
辻堂:そういうとこまで考えてなかった。新しいですよね、小説でSNSでバズるかどうかを考えて作っていく
結城:姑息な手の気もしてる
辻堂:そんなことない。今に合ってる気がする
作品ができるまで
新川:作品書かれるときは相談したりするんですか
結城:しないですね。割と自分の中で抱え込んでる。新潮ミステリー大賞の原稿は、両親に読んでもらってて。誤字脱字の修正とか「ここ説明が足りないから言葉を尽くしたほうがいい」フィードバックが来て、ちょっとケンカみたいになった。でも本気でやってくれたのはありがたかった
新川:自分の子供が小説書きたいって言ったら、親の半分ぐらいは止めるというか、大丈夫か?みたいになると思うんですけど、そんなのなかったんですか
結城:もう、全然なかったです。なんとなく、小説書きたいってことは伝えてましたし。ホントに書いてたんだってところでちょっとあったかもしれないけど、まあすんなりと読んで指摘が返ってきた
子どもの頃
先生が嫌いだった理由
辻堂:4歳ぐらいの時から黙読してたらしいんですよ。だから作家になりたいって言った頃はいろいろ読んでた頃だったので
結城:幼稚園でなりたいっていうのは、だいぶ精神的に成熟してるなって。どこにでもいる悪ガキで、人を笑わせるのが好きだった。その場でとっさにしゃべってウケるかどうかやってた。
新川:小学校6年で、先生のこと「国家権力の犬ね」って思ってましたから。めちゃくちゃ嫌いでした。長く生きてるだけで偉そうだなとか(笑
結城:直接的にそう感じたきっかけは
新川:日々あるんですけど、生意気だと思われてて。親が面談の時に「うちの娘が結構怒られてるみたいなんですけど」って言ったら「いえいえ、あなたのお子さんの場合は学業ができますから、そういう面でしか指導ができなくて言ってるだけです」とか大人受けなこと言い出して(笑)「いやいやいや、対大人になると急に丸くなるなコイツ」相手は子供だし、お客様満足度とか無いわけじゃないですか。だから保護者にだけニコニコしてるんだなと。
きっかけ
辻堂:小学校の教員免許は、取れる大学が限られているので、東大じゃ取れないんですよね。免許取ったのは卒業して、通信教育です。社会人3年目ぐらいの時、免許の取得と大学生と作家、全部やってた時期がある
結城:中3の時、卒業文集に、バトルロワイアルのパロディー小説をのっけたのがたぶんきっかけ。すごく狭いコミュニティですけど世に出た。同級生たちも面白がってくれた。保護者達も読んでくださって。世に出て、リアクションが返ってきたのが純粋に気持ちいいし面白いなと。
新川:高1の時になりたいとおもった。それまで海外小説ばかり読んでたので、高校生になって日本文学読まないと恥ずかしいかなと思って、夏目漱石「吾輩は猫である」面白いなと。
辻堂:どうして東大に入ろうと思ったんですか
新川:医者になろうと思ったんです。森鷗外コース。小説家になりたいとは常に思ってたんですけど、時間かかるなと思って。当時出版社数を調べて、全投稿者数とデビューした数を割ると、だいたい5%ぐらい。てことは20年ぐらい続ければ取れるはず。とりあえず20年ぐらい見とけば小説家になれるだろうと。その間食べなきゃいけないので、医者かなと。東大、理科Ⅲ類があるんですけど、受けて前期試験落ちて、専門職で安定して働くところで、法学部で弁護士になれれば同じかなって、資格とろうと思って
結城:明確に東大じゃなければならない理由はなくて、都内の中高一貫の男子校(開成)。周りは自然と東大目指してて。その波にあえて逆らう、自分のやりたいことがあるわけでもないし(勉強)やって、ある程度の成績はあった。
新川:私の場合は、性格とかできること好きなことが、圧倒的に男寄りなんですよ。理系だし。男だった方が生きやすかったかなと思うんですよ。