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【抜粋】SWITCHインタビュー達人達 養老孟司×山下洋輔 言葉と音楽 もけらもけら バカの壁

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ジャズ進化論

格に入って格に出ずる

山下 50年前かな、今までのジャズの決まり、音楽の決まりを、もう全部壊してしまえということをやりましてね。一切何かに似たような音は出すのはよそうと。結構強烈なのを始めたんですが、今になって考えれば何か別のやり方に移行しているだけですね。結局やり方そのものってのはいつまでもある。壊してしまうことよりも、何かに乗り移ったんですね。別のものに。そうやっていいよという法則ですね。ですからそれをやるうちに「ほかの法則のものを混ぜ込んでいただいた」ことになって今につながっています

養老 逆に言うと普段の規制が強すぎるんですよね。抑圧が強かった
山下 そうですね。いちどは解放された。
養老 思い切って壊さないと、という時期がある
山下 そうすると今度は安心して、前の決まりのあるものを扱えるんですね。それが前の自分ではないんですね。一旦そうなった自分がやっている。なにか不思議な感覚ですね

養老 たぶん「格に入って格に出ずる」格というのは形式ですね。形式に入って形式を学んだらひとりでに出ちゃうというか。壊してるんじゃなくて。
山下 壊すということではないんですね。別のことに入る
養老 理想というか、根本じゃないですか。進んでいくときの

山下 言葉の伝統がやはりジャズのもとになっている。新大陸でアフリカとヨーロッパが出会った。これは人類の歴史でたった一回しか起きなかったことですから。とても貴重なものが生まれたと、いつも思いますね。そこに日本人の僕がどうして関わっているのか(笑)誰でも入れるものにジャズがなっていったのが大きいと思いますね。どの国の人がどういうふうに参加しても、そこで自分の表現をやってもいいわけですからね。ジャズもそうういうふうになってると思いますね。ですから我々が、もう何をやってもいい時代になってると思います。

山下 養老先生は無意識とか夢に触れられていたのですが、夢というのは、ありゃあ、なんでしょうかね?私は夢の中で思いつくことがあるんですね。この間、メロディーがはっきりと出てきまして。それで、これはいいメロディーだなと思って、慌ててノートに...五線紙を置いてはいないので、ザーッと手書きで書きつけましてね。全部出来たんですね。果たしてそれが、何の曲だか自分で言えない。自分の、過去に作った曲であるのか、誰かが作ってやった曲を覚えてやってるのか、そのどちらかですよね。それがわからない。ピアノで弾いて、電話で聞いてもらいました。事務所の関係者に。大昔、コルシカの民謡をCDにしたんです。その中の1曲で「Thought of Beatnics」あたかも今思いついたかのように嬉しいなと思ってたんですよ

養老 普通の方はね、寝てる間は意識がないので。脳は働いてないと思うんです。全然違う。どうしてかというと、起きている時と寝ているときの、脳みそが使う酸素の量を測ればいいんです。そうすると、エネルギーは同じなんですよ。寝ているのは休んでるわけではない。別なことをしてる。
山下 じゃあ夢の中でなにか意味のあることとか考えつくというのはありうる
養老 十分ありうるんですね。後で覚えていればですよ
山下目が覚める寸前まで覚えてればいいんですね。それがあたくし、よく起きます

DANCING古事記

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もけらもけら

山下 いくつか本を出してますが、自分が面白いと思うのを、ただただ音楽の様に言ってるだけ。これが好きだと無理やりにでも思い込んで、人がなんと言おうと好きだと言い張るんだ。そうすると本当に好きになっちゃう。とても楽しく楽にできました。読み聞かせるとウケがいいそうです。
養老 これ日本語なんですよね。
山下 日本語なんでしょうか(笑)やってて自分でも音楽ノートだなとは思います。
養老 ベースは音楽なんですけども、音楽って言葉とかなりつながっていて。こういう擬音語が日本語にはたくさんある。使うと多分禁止するんですね。幼児語だ、早く大人の言葉を使え、って
山下 ばぶばぶとかそういうのと同じってことですかね
養老 そうです。ニャーニャーとかわんわん、感覚的要素を言葉の中に含めてはいけない
山下 あららら
養老 日本語はかなり感覚寄りだなと思っていますね
山下 かなり強いですね。言葉を言われれば曲がひとつできるぐらい考えるというか、音の抑揚をつけてしまう。「やわらぎ」奈良の人から曲を頼まれたとき、奈良だから古式ゆかしく五七五七七というリズムを音に変えて、そこから出発

バカの壁

養老 相手がバカというよりも、自分がそう(笑)あることが全然通じない。お互い様ですよ。壁でね。なんだこれ、って。そりゃあ子供でもそうだと思います。誰でも体験するから、ひょっとしたら売れたんだと思う。自分が興味ないことって、およそ理解しようとしない。僕はものすごく分かってるというか、慣れてるんです。解剖がそうでしょ。死んだことはあまり考えたくないから。そもそも解剖なんて話を持ち出した瞬間に昔の人は「縁起が悪い」相手にしない(笑)完全に壁を作っちゃう。それはその人がバカでわからないからじゃなくて、分かりたくないからブロックしてしまうんですね。そういう好き嫌いがちゃんと出来てくるのが、僕は中学生ぐらいからだと思ってる。音楽なんかでもひょっとすると、どうですかねぇ
山下 教えられるのが好きな子も当然いるわけで、教えられるのは嫌だけど好きなことはやりたい、僕みたいなやり方もありますしね。とりあえず好きだってことを続けてこられたのが幸い。好きなことにはなんの疑問もない
養老 それについては議論の余地もないですね。
山下 なんでお前はジャズが好きになったかっていうのは野暮(笑)
養老 マイナスですよね。好きだからしょうがねえだろって

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