闇歩きのコツ 中野純
2022.8.29放送
・ガイドが同行すること
・懐中電灯必携
・長ズボン、トレッキングシューズ
中野:暗闇で物を見る力を「全体視力」って呼んでいる。小さい活字の「ぁ」なのか「ぉ」なのか見極めるんじゃなくて、全体がどんな感じになっているのかを漠然と捉える。暗闇で一点だけずっと見てると全然わかんないですよ。なるべく目を散らす。
片桐:今回それいちばん思いました。目を休ませるっていうか。細かいことを見ない、こんなに素敵なことなんだ。細かいことを見すぎてるよ今まで!もういいよだいたいで!っていう
中野:丁寧に見ないことを丁寧にやる。普段使ってないものを使って、使っているものを休ませている感じ
片桐:まさにそれを思いました。もっと闇に入ったら五感がピリピリっとなって、触覚みたいなものが出て、そういうものを想像してたんですけど、真逆でしたね。こんなにラクチンというか。いつもお疲れさまって感じ、目が。
少女まんが館?
あらやだもしかして。わーい。
女ま館2階の飾り窓前で、深夜に対談。明日夜の放映予定です。 https://t.co/00aR6gkdjG
— 少女まんが館(ooi) (@shoujomangakan) August 28, 2022
片桐:中野さんのにおいってすぐ覚えたんです。古本のにおい
中野:かび臭いってことですね(笑)
片桐:ホコリの(笑)別に悪い意味じゃなく。ホコリとかのにおいも含んだ中野さん。このにおいについていけば大丈夫っていうのがあって。いま「体験作家」でよろしいでしょうか
中野:はい。自分でつけた肩書ですけど。いまひとつ、なんだろこれはですけどね。体験をつくり、体験を書くという意味なんですけど、新しい体験を思いついて、それをやってみて、それを文章にして紹介する。
武術と演劇
2016.7 放送
甲野:武術と演劇ってすごい近い関係だなと。つまり演じきる部分。私が近づくと、片桐さんが「来ないで」押しても大体払われちゃう、払うほうが有利で。後ろの方に吸われていくと(はいりさんが後方に倒れる)片桐さんの後ろ1mのところに 空間に割れ目ができるんですね。アクション映画で、バズーカ砲でドア吹き飛ばすと中の人がみんな吸われてく感じ。
片桐:(ひっくりけぇって)今わざとらしくやってると思ってるでしょ。これ、いつ吸われるか私分かんないわけです。何かが変わるんですよ。
※本気で演じ切らないと相手は飛んでくれない
片桐:舞台で緊張しないための技は?
甲野:三本の指で、蓮のつぼみのようなものを作る。反対も同じように。薬指同士を絡ませて。どうですか?2~3回飛んで残留効果を消すんです。怖さの感じが違う。横隔膜が下がるんですね。人間びっくりするときって、キュンと縮み上がる。怖いと思う条件を、手を組んで止めてますから。どうしても怖い感情が沸かない
片桐:どうやって説明したらいいの?確かに見え方は違いますけど
甲野:指を組んで、高い所から下を見ると、巨大な画面を見てるような。リアル感がなくなる。
片桐:リアル感がなくなると、先生言ってくださったのが一番近かったです。
甲野:リアル感っていうのは感情を伴うじゃないですか。だから(手を組むことで)感情を止められている。
片桐:身体と感情がリンクしているって、なかなかわかりづらいものだと思うんですね。最近それが少しづつ見えてきたので。今のお話、ちょっとわかるかも知れない。
甲野:確実にリンクしてますよ。
鎮心の急所とは
片桐:母親が死んだ時、事故っていうか、お風呂で溺れてた。それを発見して、お葬式に至るまでが、完全に息ができない状態。ため息みたいなのが出てる。母親なくしたんだから、息ができないのは当然だったんですけど。いつも行ってる整体の先生に言ったら「それは横隔膜がブロックする。固まってしまう」ショックな映像とか、事件が起きた時に、横隔膜が固まって体が動かなくなることを知って。
甲野:打撲みたいなもんですね。精神的にガーンと来るのは。
片桐:その辺から、身体ってすごいなあと思い始めて。
甲野:子供が、何か起きた時に心的外傷というか、PTSDとか言いますよね。身体の状況を変えてやる。そうした方が効率よく、そういう状況から脱することができるみたい。「鎮心の急所」手のひらのまん中は心を鎮める所。手を絡めて肩を下げると、落ち着き方が違う。
片桐:パニックになるところからちょっと引いてるってことですよね。
甲野:やらないってことが大事なんですね。体もどう使わないようにするかが大事。
夢想剣:無念無想の状態で、殺気に反応して敵を倒す技。
甲野先生の子供時代は、人に接するのが苦手で内気だった。小学校時代の体育の成績は、ふたりとも「2」力抜いたほうがいい結果が出る。
甲野:人が人であり続けることがだんだん難しくなってきて、人工知能がものすごく発達してきて囲碁の人が負けてしまう。人間自体がロボット化されて受け入れる流れが今できている。若い人が数字で評価されたがって、そのまま受け入れちゃう。妙に数字に対する信頼性というか、自分が低く評価されても、受け入れてしまう雰囲気ができている。
片桐は:その反面、そうじゃない人たちもきっと出てきてて、私はその流れに入ってきてるのかな。
後半
片桐:おばあさんの目を意識した時に、目の力をちょっとなくしたいなとかいろいろ考えたんですけど、田舎を旅してたら、目がギラギラしてるおばあさんいっぱいいるんですよ(笑)おばあさんは目の力が弱ってるなんて、ほんとに私思い上がってたってちょっと最近反省した。一番悩んでんのは、死にそうな役とか病気とかやるとき、こっちも具合悪くなる。こないだウイスキーをボトルで飲む設定の時かなり長くやったから、烏龍茶で。家帰ったあと胃がひっくり返るくらい吐いちゃった。お酒じゃないのになんとなく喉に熱いものが通る感じをずっとやってると多分具合悪くなる。先生どうしたらいいんですか?
甲野:・・そりゃあしょうがないですよ。片桐さんって誠実な人なんですよ。