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SWITCHインタビュー達人達 吉本ばなな×森本千絵 世界を生む秘密(抜粋)

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ばななワールドの秘密

「書いてみよう」と思うとき

私ってホントに「取りに行かない」女なんですよ。ほっとくと、だんだんじわじわ素材が寄ってくる。で「もう書かなきゃいけないな」と思ってやっと立ち上がる。

森本:自然と対話して受ける力、感受性が強いというか、ちゃんと聞こえてないものが聞こえてくるのが好きで。小説に出てくる人は、現実世界でも身近に似た人がいたり、投影した人がいますか?だいたいいろんな人を足したような。主人公は、言いたいことがあって私のところに来たんですよ。「こういうことがあってこうしたんだよ、なんでこうなんだろうね?」と。
訴え掛けが3人ぐらいになってきたら「これはもう書かなきゃいけないな」と重い腰を上げて書き始める。

私とは違うから。私じゃないので「なんでこの人、ここでこんなことするのだろう?」って時には「なんでこんなことすんの?」て聞いたら「こうだからだよ」理解不可能なことを言ってくる。それを翻訳するのが私の仕事。なんでこんな書き方になったのかわからない。はじめは自分が作っていると思い上がっていた。「私が作ってる人物だから私が動かしてやる」と思っても動いてくれないから・・。

もっと素敵な言い回しで「勝手に登場人物が動き出したんです」みたいな話がある。そういう感じじゃなくてもっと向こうが強い感じ グイグイくる感じが多い。

よく「銀行勤めで横領してしまって、とか「どうして現実的な話がないんだよ?」て言われるけど、現実の事件よりも、その奥にあった心の動きが気になる。「なんで横領なんかしちゃったんだろうね?」彼に振り向いて欲しかったとかじゃなくて深い流れを書きたい。

5年もかかると(登場人物)全員どっかに行ってしまうじゃないですか。そのプロジェクトに関わった人達が。小説の中の人達がどっか行かないうちに書かなきゃ。気をつけてるのはそれだけ。「もう遅いよ」とたまに言われる。中の人に。いい形にしたいから時間かけたのに、容赦なく言われる。映像を浮かべているの。(カップの色や車の音は)「私はもう見たからいいや」って。
映像を精一杯書きとっている感じ。色付きで一人映画監督みたいな状態。

みんな全部生きていて欲しい。個性とか命とか全部使い切ってから死んでほしいのが願い。70%は生きている人へ。30%は死んだ人への供養で書いている。現実のことを現実のように書ける人は他にたくさんいる。自分は寓話を書いていると、常に言い聞かせている

リズムの付け方はすごく気をつけていて、たぶん、リズムが合わない人は私の小説が合わない。合う人にしか向けてないのが申し訳ない。生理的に合わないというか。「そして」は要らないんじゃないかと言われても「これはリズムだから崩せない」直さないでおくことが多い。

2003年、38歳で出産。

テツandトモが流行ってたのが良かった(笑)あの動きがすごく運動になって。安産・・動かなきゃと思って。やっぱりガクッと弱るんですよ。出産するといきなり一人分弱る感じ。いつも貧血で大変だし。こんなに弱っていいのかってぐらい。でも何かが補うんですよ。思わぬときにすごくスヤスヤ寝てくれたり。世の中に対する信頼度が増しました。なんとかなるじゃん、って。
意外にテキトーにやってると向こうから来る。より切羽詰ったから、よりありがたく思えるようになった。何よりも嫌いな人がいなくなった。こんなに手間をかけないと人間って育たないんだ、と思ったらリアルに嫌いな人がいなくなりました。
子供が出来るまではそうじゃなかった。前は人間に対してもう少し距離を持ってた。簡単に人を小説で殺したり、前はできてた。
周りの話を聞いて落ち込むばかりかと思ったら、そうではなかった。

親を看取ったから。親が死んでいく過程を見ている間に自分も1回死んだ。はっと気づいたら自分はまだ50歳。まだいけるじゃん。立ち直るというのではなく、生まれ変わった。合間合間にキラキラ楽しい事があって、意外と持つように出来ている。気づかないのは人間の傲慢。

出産・育児は楽しかった。楽しんでほしい。

白河夜船

映画化されたとは知らなんだ。

わかいころ読んだ。物語のように不倫ではなかったが二股をかけられ仕事も放り投げていたし、家にいるときはほとんど眠る。眠る行為は現実逃避。

この言葉は一瞬ちくっときた。

とにかく立って、手や足を動かすことをしなさい。心が疲れきっているの。そういう人はあなたじゃなくてもたくさんいるの。

ブラックアウト。

たしかに、読んでる時は頭とカラダが一体化してる。「TSUGUMI」はあまり好きじゃなかったなぁ・・

自分は産んでも、嫌いな人はいる。そういや大島親方の出産シーンで「産めない人のことも考えろ」っつのおかしくないかい?

難産だったから育児中はしばらく出産シーンを見ることは避けてたが、ある程度育ってくると、テレビで流すこと自体に抵抗を感じなくなった。嫌なら見なけりゃいい。昔、山本華世の出産シーン(福岡県民なら覚えてるかも)見たときはちょっと複雑な気持ちがしたけどな。あの時は若かった。

森本千絵

全部企画をして絵を描いて演出もする。自分が演出するにあたってブレないために、水彩画で絵を描くと「指輪は何色で・・」とか、決めなきゃいけないことがすごく多い。1枚の絵を描いたことで、演出の打ち合わせが自分の中で終了できる。衣装もヘアメイクも細かいところまで決まるんですごい楽。

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