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SWITCHインタビュー達人達 一青窈 演出家・美術作家 やなぎみわ

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一青窈:吐き出すものが、絵なのか写真なのか立体なのかの違い。近いところがあると思いますけど。
やなぎ:外見は透明感があって綺麗な人だけど、歌を歌われているときは情念的。多面性を持った人。歌のこと、詞のこと、言葉のことを聞いてみたい。

裸足の人

一青窈:ライブの時に、足袋を履いてないとステージに上がっちゃダメと言われた。でもそのライブの時だけは許してくれた。緊張を外すために裸足で歌っていたのが、いつしか「裸足の人」みたいになっていた。割とやんちゃに裸足でやってると、みなさんがいつしかステージをなめしてくれるようになる。「足怪我しないように、布貼っときました」そういうのはいらない。やさぐれたところで血を流しながら歌う。ドメスティック。毎回お客様が楽しめる何かがないか。ゴロゴロしながら見れるとか。足のにおい問題「におわれる方はどうしましょう」「それはもういい」(笑)お客さんを混ぜ込みたいんですよね。

もらい泣き

やなぎ:サビの部分・・
一青窈:「ええいああ」母音ですよね。祭りとかの「いよっ!」
やなぎ:気合?

一青窈:そうそう、合いの手(笑)餅つくときの「おらさ!」「こらさ!」感情的に出てしまった、原始の雄叫びみたいな感じ。言葉より先に涙が出る。「あいうえお」を組み替えて、いい言葉にならないか。言葉遊び。
やなぎ:あれすごいなって思って
一青窈:できたとき「やった!」ってのもなんですけど一番書き直した詞であることは間違いない。元々そこにいろんな言葉が入ってた。やっと生まれた感じ。

やなぎ:悲しいというか、泣ける。「ええいやあ」開放感。ネガティブポジティブって分けるけど、そこを飛び越えた開放感。合いの手って聞いてすごく納得が行きました。朝、からテレビにかじりつく夜光虫先に文字?それとも音ですか?

一青窈:もし曲を先に頂いてたら、どうしてもここのメロディにはめたい音を入れます。「ちゅう」は「焼酎」かな「最中」かな、小さい「ゅう」自分の中で作った辞書がある。ingとか小さい「っ」の入ったファイル。この韻の踏み方面白いって単語を全部パソコンに入れてって「じゃんけん 高倉健」「一緒」「残暑」ここはどうしても「ゅう」的だなって思ったらそこから出して「夜光虫」だ!数学的に入れて行ってる。
やなぎ:想像だにしなかったです。
一青窈:なるたけ英語を使わないようにしている。自分の役割担当が「和」を任されているような気がする。

やなぎ:でも中国語や台湾語は、たくさん歌詞に使われている。
一青窈:はんぶん台湾の血が流れているのもありますけど、英語を丸呑みして理解するより、日本語、漢字や平仮名のほうがしっくりくる。挫折や悲しい時に言葉に励まされた

やなぎ:「もらい泣き」「月天心」情念的な曲がすごく心に残った。


月天心 - YouTube

一青窈:大学の頃フリーペーパー作ってた。自分で書いた詩をプリントアウトして、街のカフェとかにまいてた。その詞を見た作曲家が曲をつけてくれないかなと。住所も電話番号も書いて。誰からも連絡なかったですけど。あの頃そういう子達多かったんですよ。読みにくい小説、読みにくい詩。自分の打つ句読点とリズム感が合わない。その作品がダメなのではなくテンポ感が合わない。違う軸でこの世界を見てるんだなと。テンポ感は私の中で重要。

やなぎ:日本の伝統芸能はそういう呼吸で出来上がっている。
一青窈:いま、小唄を習っていて。楽譜がなくて先生の口を見て歌う。
やなぎ:まさに「口伝(くでん)」なんですよね。
一青窈:口伝えが理にかなっている。人間が共有している間合いがすごく気持ちいい。美空ひばりさんの「リンゴ追分」カバーしたんだけど、どうも自分のものにならない、うそくさい。あだっぽい女、粋な女が音をキュッと下げるのが色っぽさになるときいて、ひばりさんは必然であの口の形をなさってたんだなって。唱法として。

やなぎ:自分自身のことを笑えないとモデルにはなれない。欲望、希望、絶望から一定の距離を置いて、おかしみに変わっているとモデルになれる。
一青窈:この妄想感は女の人特有のもの。男の人はもっとリアリスティック。
やなぎ:男の人は「死に様」になっちゃう。生きざまじゃなくて。そこが美学なのかわかんないですけど。