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人生案内メモ、文字起こし、感想。

【Eテレ】岩井俊二のMOVIEラボ #5 ドラマ編 小津安二郎 大林宣彦 常盤貴子(抜粋)

映画=ドラマ

ドラマの語源

岩井:ある日、スティーヴン・セガール監督の家にお邪魔したことがあって。ホント、映画のような、セットのようなお宅で。マジかよ」っていうような姿で登場して。「映画監督か。何撮ってんねん。ドラマかい?」その時、ああそうか、ドラマって言い方があるのかと。彼は「アクションだったら何でも僕に聞いて。ドラマだったら勉強さしてくれ」冗談めかして言ってた。ラブストーリーもそこに含まれるんでしょうけど映画=ドラマなんじゃないかと思ったり。

古代ギリシャ語「ドラン」行動するという意味。

市民ケーン

岩井:世界の映画ベストテンみたいな時に、必ず1位2位を競う。変な感覚に陥ったんですよね「この映画知ってる」なぜかとよくよく考えたら「最初のニュースで見たじゃん」描かれてることが特に何も変わってなかった。すごいなと思った。人生って「スライス・オブ・ライフ」って言い方があるんですけど、瞬間を描いたり繋いだり。考えてみたら、人の人生は、まさにリアルタイムで80年間を描くことは不可能。結局半分なのか、2時間で描くからダイジェスト版ですよね。限界があるからすごいのかもしれない。

スライス・オブ・ライフ

フランスの劇作家 ジャンジュリアンが提唱。現在もCMなど広告で使われる手法。人の一生から、日常の断片を切り取り積み重ねることで人生を表現しようというもの。

レジナルド・ローズ監督作品。テレビを経て映画化

大林:すごいカルチャーショックがありましたね。スライス・オブ・ライフね。人生の断片だよ。人生は、生まれてから死ぬまでの縦軸があるんだけれど、その一部をスーッと切って差し出したのが「スライス・オブ・ライフ」

小津安二郎

父ありき

岩井:父が息子と会うところだけを切り取って繋いだ作品。会う少なさがすごいショッキングな。人生は切り取り方によってはすごい残酷。そこが映画の怖いところであり、すごいところ。
大林:岩井さんの切り口に、今僕は耳を傾けていたんだけれども非常に日常感覚があるね。ドラマでもなんでもない。普通の日常をそのまま描くだけ。親子が会ったところだけをスライスすると、そこだけの定点観測になるんだ。それが変化するのかしないのか。変化することで、親子の関係が見えるのだろうというね。

秋刀魚の味」は挙式シーンを出さず、挙式前と挙式後の姿を出すことで、父と娘の人生を表現。

常盤:正直、小津映画とかの俳優さんたちのお芝居の仕方がよくわからなかったんですね。というのは、インタビューを見ると「みなさん、ここで2歩前に行って、2秒たったら上を上げて。そしてスーッと出て行ってください」何を撮っていたかわからないって。俳優としてのプライドはどこにあるんだろうって不思議だったんですね。何も考えずにやっているって「えぇ?それでプロって言えるの」思ってたんですけど、テレビドラマでお芝居をやったあと確認チェック、再生する時間があるんですね。映画だと「チェックを見る人はダメな俳優、監督に任せない俳優」ドラマの世界だと「チェックを見ない不真面目な俳優」になるんですよ。
大林:女優は「映される人」、監督は「映す人」だから映す人が「OK」といえば「OK」。映される人は見なくていい。小津さんの映画は時間軸が。映画って時間芸術だからね。大事にしなきゃいけない。「お父様」言い終わって一定の間があって「なんだい」となる。ひとコマでも取れたら小津さんの映画にならないわけ。「お父様」言った娘がパチッと瞬きしてね、答えるお父さんも「(パチッとまばたきして)、なんだい?」だと「パチッパチッ」になるからダメなんだ。お父様は瞬きしない。何度も撮影するので30回にも40回にもなる。だから常盤さんが「何をやらされてるのか全然わからない」でも出来上がった映画を見たら名場面なんだよね。流れをスライスして取り出すから、情感が出てきてリアリティがあって「スライスオブライフ」をつないでも、それがドラマってことになる。

スライス・オブ・ライフの手法を使った作品

物語プラスアルファは想像力の中にある。想像力で観るから面白い。

ハリウッドドラマ作品の転機

ゴッドファーザー

それまでのアメリカ映画の集大成をやりたかった。映画は匂いがしない。想像力で作る、描く。

樋口尚文:「暗黒街の顔役」を見てしまうと「ゴッドファーザー」は映像主義の映画ですよね。
大林:「暗黒街の顔役」味も素っ気もないけど見事に切れ味のある映画。これぞハリウッド製ギャング映画。匂い抜きのきっちりしたものに、匂いを入れようとしたのが「ゴッドファーザー」ギャング映画というジャンルが崩壊して、ホームドラマになっちゃった。イタリア人が撮ったから、家族の問題や食べ物の問題が入る。でも完全な商業映画になっちゃった。岩井さんたちの世代はパート2のほうがいいんじゃない?
岩井:そうですね。

大林:パート2は全然違って、作家の映画になっちゃった。コッポラが芥川賞直木賞の作家になったような。敢えて自分の観客を捨てて、芸術的な作品を撮ったのがコッポラの冒険になったわけだ。

日本における映像主義

紹介された作品

「四季~ユートピアノ~」(1980)
ドラマ 四季~ユートピアノ~ | NHK放送史(動画・記事)

第2シリーズやってくれないかな。ここまで映画を語った番組ってそうそうない。今地上波で映画放送してんの、紹介の仕方がメタメタにひどいもん。解説いなくなっちゃったのかな。いるよね。いるけど出てこなくなったんだよね。