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SWITCHインタビュー達人達 ヤマザキマリ×中村勘九郎(抜粋)

稽古場で

漫画の力、歌舞伎の力

ヤマザキ バレエダンススタジオといったような

勘九郎 そうなんですよ。この稽古場で、生でバーンと鳴った瞬間の音と興奮は今でも忘れないですね
目の前に怖い人たちが並んでんですよ。床についた棒のあととか。歌舞伎座の昔の床はきたなくて、よく歩けたなと。いい跡なんですよ。新しい床は、これから俺たちが跡を付けていくんだな、と。

「春興鏡獅子」父・十八代目勘三郎が最も愛した演目の一つ。小姓弥生の持っていた獅子が勝手に動き出し、翻弄する。

鏡獅子

父から子へ

ヤマザキ 褒められたことは?
勘九郎 ないですね・・・
ヤマザキ 私の前ではあんなにほめていたのにね。
勘九郎 いいことはいいといってくれます。悪いことに関しては人格否定にまでやられる。真剣に怒られてもいいことは「よかったよ」と言ってくれるんで信憑性がある。父の背中に迷いを感じたことは一度もない。上を見せてくれた。他から受ける影響なんて零にひとしい。父と、どこで会ったんですか?

ヤマザキ 彼は、テルマエ・ロマエの一番最初の読者ですよ。名刺代わりに(テルマエ・ロマエを)見せたら「なんだこりゃぁぁ!!」げらげら笑って、これ、阿部ちゃんぽくない?って言ったんです。心理眼すごいなと思って。リスボンでたまたま勘三郎夫妻に引き合わされた。たまたま帰国した時も「法界坊」やってた。「法界坊」古代ギリシャ人に見せたい。荒唐無稽さがあって。強烈な形で演出されてるじゃないですか

勘九郎 結構いじめられる役なんですが、台詞で僕を攻撃するとお客さんが笑う。舞台上でやってると、ものすごく精神的にキツい。攻撃の笑いだからこんな風に役を攻撃するんだな、と。悪を倒して終わる芝居じゃないから

ヤマザキ ギリシャ悲喜劇の笑いと恐怖。道徳観念を宗教でないものから養っていた時代。ギリシャローマとは違う意味での深み。


シネマ歌舞伎『法界坊』 - YouTube

夏祭浪花鑑

急病で倒れた父の代役

俺たちに明日はない、って感じで終わっていく。
台詞も動きも全部入ってたけど
お客さんは父を期待してたんですよ。だからチケットも払い戻しが多かった。
「やってやろうじゃないか」と思ったけど、最終的な熱がなく終わってしまった。
できることはできる。だけど中身がない。
ミケランジェロの言葉に
「危険なのは完成できないことじゃない。目標を低く置いてやすやす完成してしまうことだ」
その通りだなあと思った。すごく染みいる。だからやりたい。
あの経験が大きな一歩だとすごく思った。

「天日坊」
笹野高史 一枚皮がむけたっていうか「ああいっちゃった」ってくらい伸び伸びと。常にお父様の影を背負いながら、だったと思うけど。代わりに俺がやっていく責任感。手足の伸ばし、気持の伸ばし方が突き抜けちゃってて。面白くて面白くて。あんな生き生きとした舞台は久しぶり。勘三郎さんは悔しくて「俺が今度天日坊やる」って。父のライバルなんだからすごい

勘九郎(父が)メールで「誇りに思うよ」最上級のほめ言葉だなって。いまもケータイに残ってる。おれ、メール嫌いなんですよ。これでこんな嬉しい。それを保存して違う機器で見てもなんか違う。このケータイじゃなきゃ。

歌舞伎役者の仕事

おんな、男、動物、神様、歴史上の人物にもなれる。
歌舞伎役者は何にでもなれる。
生きていることはすべて芝居につながっている。

ヤマザキ 役者は人類史上最も古い職業のひとつ。
勘九郎 ノアの箱舟に絶対乗れない。乗る人を健康にして、送ってあげないと

ヤマザキ ギリシャ歌舞伎:脚本島田雅彦、美術ヤマザキマリ、出演中村勘三郎 
計画がひそかに進んでいた。ギリシャローマを歌舞伎化しても面白いと思う、と言ったらお父さんが「面白い、絶対面白い、やろうやろう」

勘九郎 ああ、それで全てがつながった。今年の8月にやる予定だったんですよ。早急さがすごかった。なんで死んだんだよぉ。この人から聞かないとやっちゃいけないよってことだったんだと。やりましょう。

後半

勘九郎さんは週刊誌の漫画を読むのが好き。
感動の大きさが違うんですよ。開いた瞬間見開きでバーンと。
舞台なんだなと思いました。

描く方もわかっててつぎまで引っ張っていくんですよ。

「来週はお休みさせていただきます」・・・読者は「ふざけんなよ」ってww

ナマの声聞くと、多少大変でもやっていこうって思う。

あたしねぇ、洗濯物干してる家見るとほっとする。人の暮らし。

勘九郎 あのブリーフでかすぎるでしょ

テルマエ・ロマエの撮影に使われた「稲荷湯」で。

富士山ってベスピオ火山に似てる。

日本人はお風呂に入る感覚って慣れてるじゃないですか。
でもヨーロッパや中東には、なかなか湯船がない。あっても下が水受けみたいな。
遺跡がいっぱいあるわけですよ。公衆浴場の跡とか。
でも遺跡だから機能してないじゃないですか。くやしい。
お風呂に対する枯渇感。壁のなさ、人が解放される瞬間が銭湯にはある。それがすごくやりたかった。
ハドリアヌス帝は公衆浴場が好きだった。
外に出れば自分の立場や寝る家があるけど、素っ裸って闘えないじゃないですか。
古代ローマの強さは風呂のおかげじゃないかって思うんですよ。
テルマエ・ロマエでも書きましたけど、いろんな地域に軍隊を渡らせるが
一番最初にやることはお風呂を作る事。
疲れても風呂に入れば次のエネルギーとして癒される。

シャンプーハットは日本だけ

ラーメンを食べる時に髪が濡れない・・・汁飛ばない・・・ラーメン屋に置いといてほしい・・こういうおかしいものを描きたかった。

破天荒な母

「立っている者は母(リョウコ)でも使え」に詳しい。鼻息の荒い親だから子どももそうで。あだ名が「馬子」だった。
なにかしたくてたまらない。

阿部寛 いないですよ、あんな女性。あれだけ動き回る人。自由。テルマエの時はそれ一色。熱いんですよ。いま違う作品を描いてるんだろうけど、あんまり会ってくれない。没頭してるんだと思う。少女のような人。
そこを見たらそこに向かってだーっと走っていく。

勘九郎 今までで一番過酷だったのは?
ヤマザキ シングルマザーを決断し、イタリアで一人で出産したとき。強烈な助産師が来た。おしんの国日本から来てるけど、冷や汗が出て。タクシーも「ここで産まないでください」「7時から別のとこで仕事なんだけど、それまで何とかして産んでくれない?」サバンナでも人は産めると思って、7時までに産んだ。その一人息子は現在18歳。

譲れないもの、極意

私だから出来てしまった経験は、絶対出して教えなきゃ。ファンタジーはできない。旅をしなきゃ得られない。

面白かった。ヤマザキさんしゃべり倒して疲れたんじゃなかろうか。

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