竹本織大夫
太夫、三味線弾き、人形遣いの三業。
三業でやっておりますので、太夫がアドリブ入れたら三味線弾きさんも人形も困ります。「それ言うんやったら先言うてえな」と。(笑)
後で怒られますんで。
毎日のように舞台に立ち始めて25年。
80代90代が現役ですから、私たちの世界では普通に40、50はハナタレ小僧。太夫の声ができてくるのは60から。自分のものになるまで大変時間がかかる芸能ではないか。先代を知る方がいるので、決心するまでたいへん悩みました。
太夫だけ尻引を使い、足の親指を立てる。クラウチングスタートみたいな要領。
礼二 正座よりきついんじゃないですか?
織太夫 一時間もやるときつくてね。立てた親指で踏ん張ると内転に力が入るんで、その体制でずっとやる。抜いていただいて普通に正座したら力が入らない。できそうな気がしないでしょ?全て諦めたみたいな感じになる。
子供の頃
4歳から三味線や事を習い始める
あんまりサボるから、家にお師匠さんが来るようになりまして。たまたま西川きよしさんの「素人名人会」子供大会に出てくれないかと。小唄歌って賞金(5万ぐらい)もらい、自転車買った。小3で太夫を志す。ニュースウイークリーに出たことも(86年)
織太夫(辞めたいと思ったことは)なかったですね。リトルリーグ入ったり水泳やったり、曜日曜日で習い事、絵画教室も行ったりして。じゃあそこでプロ野球選手なりたいとか、オリンピックでたいとかそういうのはなかったですね。高校入ってお洋服買いたいとか、ちょっと色気づきますけども。僕は「服は買って着るもの 売るものでも作るものでもない」思ってて。野球はクーラーや暖房の効いたところでアイスクリームでも食べながら見るものだと。やるもんでもない、と。なんかね、冷めてて、かわいくないんですよ。