energy flow('99)
「ポップさ」は意識的なものなのか
清塚信也:和音や音色は非常にポップでキャッチーだが、構造自体はピアノ1本のクラシックに近い楽曲。ベースラインにはカノン進行に似た進行が取り入れられていて、心に刺さる仕掛けがちゃんと作られている。
坂本さんの音楽は、どんなジャンルであろうと「ポップさ」を含んでいると思いますが、意識的なものでしょうか?それとも、そもそもご自身の音楽性がそうなのでしょうか
坂本:自分ではわかりません。「ポップであること」はものすごく難しくて。僕も90年代は「ポップ」であろうと目指してみたことがあって、いろいろやったんですが、成果は全くなかったですね。ポップであろうとした作品も、そんなことは全く考えずに作ったものと、ビジネス的にも全く変わらなかった。
自分のキャリアの中で最高に売れた「energy flow」、ポップであろうなんて1ミリも考えたことがなかったのに、売れちゃってびっくりしました。ポップを定義することは本当に難しいこと。
ただ、自分の作品の中で一つのヒントになることは「Behind The Mask」かと思っています。元々はポップなことなど1ミリも考えずに作った自分の曲。それを、マイケルジャクソンがカバーしたり(事情があってスリラーには入らなかった)
あの曲には、フレーズとコードが合わさった4小節の繰り返しの中で、人をグルーヴさせるもの、ロック(揺さぶる)ものが、なにがしかあるんだろうと思うんです。それでいろんな人に取り上げられるんだと思う。そこに何かしらヒントがあるんだと思うんです。
Michael Jackson - Behind the Mask (Official Video) - YouTube
昔のバッハやモーツァルトだって、聴く人の評判を気にして作っていたわけです(そうではない曲もありますが)
戦場のメリークリスマス
海外から日本を見つめること
昔はNYもクリエイティブな街だった。
何人でもないコスモポリタン(国籍に左右されない人)でありたいというのは、10代の頃からずっと思っていたことです。地球のどこでも暮らしていける人間になりたいと、ずっと思っていました。
清塚:日本のポップスのミュージシャンが、もっとこうなってほしいということはありますか
日本のマーケットだけを考えているような感じがするんですが、それはダメだと思います。もっと広い聴衆をイメージし、世界というマーケットでやっていかないと。
そう考えると、当然、作るものも歌詞なんかも少しずつ変わっていくんじゃないかな。「世界マーケット」というものを考えて活動してほしいです
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