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【抜粋】SWITCHインタビュー達人達 石井竜也 カールスモーキー石井× 指揮者 柳澤寿男 

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※2017.12.2放送。やっと見れた。

石井竜也

ハードロックと白鳥の湖

柳澤:石井さんは憶えてらっしゃらないと思いますけど、昔なにかの番組で自分がすごいむしゃくしゃした時に、ものすごいハードロックと白鳥の湖を同時にかけて聴くみたいなことを言ったことがあるんですよ。

石井:はい、それはどっから来たかというと、学生時代に下町の安い下宿にいたんです。そこに行くまでに、パチンコ屋さんから流れてくる音とか、雑踏がぶわーっと聴こえてくるんです。それを雑踏だと思わずに聴いてると、今流行りの歌があっちから流れてくる、こっち側では「ハイ、安いよ安いよ安いよ!!」言ってるわけです。雑多な歌が流れてくると、そこに違うメロディーが出てくるんですよ。それに気がついて、それが面白くて。自分が贅沢できる立場になってきてから「全然出ねぇや」ぶつかった時ですよね、そういう時に....部屋の中に煩雑を作りたいと、いろんなものを持ち込んで、スピーカーを何個も置いて。同時に全部違う曲をぶわ~っと。頭おかしくなる最後は。耳は一生懸命何かを追い求めている。「この曲を聞こう、あの曲を...」思えない状況を作るんですね。音楽もメリハリがありますから、同時にシュッとブレイクする時が出てくるんですよ。そんな時もありました。

柳澤:それを一人で実験してる石井さん、今思い浮かべちゃって
石井:(笑)おっかしいですね

柳澤:石井さんの作品の中で、アフリカの民族音楽みたいなのが鳴っててバサっと切れて、ピアノの音がいきなり始まる楽曲がありますよね。あれもまた面白かったりとか

石井:結局混じり合わないものを、人間は、特に日本人はジャンルが好きだから「これとこれは絶対混ざらないよね」思いすぎちゃってまだまだ僕らは「混じり合っちゃいけないんだよ」みたいなのが多かった。でも、混じり合わないからこそ出る面白さもあるわけで。そういうふうに考え始めたのは多分、80年代バブル期がすごく大きかった気がしますね。なんでも吸収、なんでもやっていいよ!みたいな大人たちが多かった。その時に米米クラブという、なにやってんのかわかんないバンドが出てきて。見てるとなんとも滑稽で面白い。なんだろこのバンドっていう途中で混ざってマーブルでいい、綺麗に混ざんなくていいよ、という。それでもひとつの絵になるのを見せつけた感が、米米だった気がしますね。ひとりひとりはすごいじゃないですか。ダンサーがいたり、全部違う。音楽の話すると、全く音楽の話にならない。初期の頃の米米の歌って、ほとんど歌になってないみたいな

柳澤:いえ、そんなことないですよ

石井:もちろん僕はメロディが好きな人間なので、作ってるのもありましたけど、ほとんどそれはみんなピンと来ない、みんながピンと来てないみたいな感じのが多かった。
柳澤:幅が広かったですからね
石井:やる人間たちが全部違うから。変なのしか納得居てくれないんだもんみんな。浪漫飛行持ってった時に「歌じゃん、これ」(笑)「いや、歌だよこれ、歌おうよ」

※エクセレント米米CLUB、「お願い編集長」あたりで再放送してくれないかな

ART NUDE

物販担当のかまやつさん、って...
ART NUDE 1998(from P-STOCK) - YouTube

柳澤:すごいライブ。ライブの途中でお客さんを30分待たせてってわけじゃないですけど、それもライブの一つですよね。30分オーケストラでなにか演奏しますか(笑)

石井:面白いですよ。音楽の感覚じゃないですよ。ホテルで腕上がんねぇ、みたいな。なんでこんないてぇんだろと思ったら、あ、そっか、ずっと描いてたんだもんな、それだけ集中してやってんですよね。よく考えてみたらあれは絵じゃないな、音楽だなと。筆の音とか、鼓動とか、筆を洗う時のバシャバシャって音とか音楽がただそれに合わせて流れていくわけですよね。これはひとつの音楽だなって。

柳澤:バッと塗って、これ、やめときゃよかったなっていうのも
石井:あります。やりすぎた~みたいなのもありますけど、きっとその時はやりたかったんだと思うし、それは止められなかったんでしょうね。自分で。後悔することはものすごい簡単で、これでよしと思うことのほうが500倍難しいことで。いまこれでいいんです、って言いましたね。これでいいんです。

柳澤:石井さんの舞台というのが総合芸術というのか、歌だけでもなくてオブジェだけでもなくて全部結びついて一つの舞台になってるところがすごく魅力がありまして

石井:僕はライブが好きなんですね。お客さんがいて自分が立った時に自分の世界観が、音楽や歌だけではなくて、その後ろ側に飾ってあるものだったりとか、そこにまで自分の息吹がないと、なんかこう、物足りないんですよ。何かが足りない気がして。舞台が自分のキャンバスのような気持ちでいつもいるんですよね。真ん中で見ているお客さんだけじゃない、横から見ている人もいるんだ。
人間は立体で出来ているというだけで、しかも後ろ側だけだったらなにか寂しすぎるなと思って。見る角度によって印象が違うコンサートにしたいと。それはいろんな映像の道具がいっぱいあって、いろんなことができるのもわかるんだけど、もともとそこに飾ってあるものが完成度の高い立体物でないと、絶対に美しいとは思えないと思ったんですよね

柳澤:翼がテーマのものが多いと思うんですけど、翼って真っ白いものだと思ってるんですよね。でも汚れてる翼にもすごいドキッとしたり
石井:翼ってものすごい分厚いものなんですよ。僕が作る羽のオブジェは全部が分厚い。こないだもベガサス作ったんですけど、馬が飛ぶぐらいの翼だったら、馬の4倍ぐらいの強さがないと浮力がつかないので、それぐらいの重さにしてくださいと。「ステージに乗りませんよ」ってなっちゃって(笑)「じゃ、3倍ぐらいでいいです」(笑)普通はあんまり気にしないようなところ、例えば翼の後ろ側なんて、普通は正面が作ってあればいいじゃないかと思うんですけど、僕の場合はまるごと作る。無駄を大切にするというか、ムダなものほど大切にするって感覚。

柳澤寿男

新宿路上オーケストラ

指揮者 柳澤寿男 新宿 フラッシュモブ 1 - YouTube

石井:うわっ、これ、いいねぇ。できなくても俺やってみたいな(笑)
柳澤:まずリハーサルができないんですよ。人で。3階から控え室になってて、コントラバスとチェロの人が第九のメロディやると、みんなが寄ってきてひとつの大合奏になるんですけど、もうトランシーバーで。警備の人もいっぱい付けてお客さんがいっぱいいたらオーケストラ行けないですよ。実は合唱団の人は私服で。うちわ持ってる人が合唱団っていう目印。その人たちがお互いに知らない同士でもわかってる。なかに人が入んないように上手く動きながら、一般のお客さんを外に出すようにしてるんですよね

石井:なんでここにしたの?言っちゃ悪いけど交差点で
柳澤:人がいっぱいいるところを、ひとつ出したかった。人生の交差点じゃないですけど
石井:渋谷だと若者系に行っちゃうし
柳澤:それぞれの人生を持ってる人が行き交っている交差点で、一瞬でも音楽で、新宿がひとつになった。そういう感覚があったんでしょうね。全然違う人生を送ってる人に、音楽が瞬間接着剤になった。

コソボに行った理由

石井:そもそもなんでコソボに行ったんですか
柳澤:自分でも不思議なんですよね。ほんとにたまたま自分の知り合いのエージェントの人が、となりのマケドニアでオペラやってみないかっていわれて行ったのが最初。最初オーケストラやるんですけど10時にリハーサルって言っても、10時に誰も来ないんですよ。僕だけ。そんなかんだで大喧嘩して、新聞にも載って。あの日本人が時間通りに来いとか、ちゃんと練習してこいとか訳のわかんないこと言ってるって(笑)僕はマケドニアの失敗があって、となりのコソボに行ったんです。その時は戦後直後で、まだ危険な感じだった。治安的に。でも僕はそこへ行くしかなかった。マケドニアで全然うまくいってなかったんで、コソボに危険でも行くしかないなって。コソボフィルハーモニー自体も「お前も生きてたか」って集まった人ばかりですから、その人たちを前にリハーサルして。