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【抜粋】SWITCHインタビュー達人達 神田松之丞(現・六代目神田伯山)Xいとうせいこう

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神田松之丞

張り扇、マイクの使い方、扇子

左に扇子持って、右に張り扇を持って、叩いて物語を。
(張り扇は)全部手作りです。中に竹が入ってまして東急ハンズとかで売ってるのを買ってきて、自分でサイズ見て。紙は西ノ内和紙。すごい特徴的な高い紙。
特別の店に行って、巻いて、作る感じ。

いとう:句読点になる。カットが変わる。 こないだ見たときに、マイクの使い方がすごいわと思って。ミュージシャン的な。
神田:尺台のサイズ、あそこのは奥行きがあって、マイクに近づけてひろう感じで。囁く感じでやったら好評だった。
いとう:自分の位置関係によって人物を演じ分けるのは、当然できる。自分も音楽ずっとやってたんで、しかも音響にすごく影響される音楽。音楽的に言うと、マイクをすごく気にする人の張り扇が気持ちよかった。パンパンパンって音は、下手な人だと不快になっちゃう。扇子の効果はすごいあると思う。楽器としてだよ。両方やってると演奏してるなって。

神田:その発想は、僕一度も言われたことないです。もちろん楽器の面があるってわかってたんですけど、楽器として聴いていただいて、感想をいただいたの初めてです。
いとう:楽器が道具にもなるでしょ
神田:そうですね
いとう:そういう楽器って世界にないから。キセルにもなるけどモノを叩くスティックにもなるから
神田:ある種、楽器で、音も出るんですけど、想像芸じゃないですか。楽器でありながら想像する道具

深井志道件

いとう:江戸時代、深井志道件て有名な人がいて
神田:すごい人
いとう:当時市川團十郎が歌舞伎として人気を二分したぐらいの大道芸人ですよ。その人がね、ちゃんとした記録が残ってないけど、図版みたら、ちんちんみたいなもの持ってるの

※「陰茎を型どった棒を手に、大仰な身振りで」と記述。なので聞き間違いではない。
深井志道軒 - Wikipedia

生い立ち、きっかけ

学生時代に講談を見たとき、宝の山を見つけたと思ったんですよ。しかも誰も気づいてない。伝統芸能がいいなと思ったのは、自分の父親が早くに死んだんですよ。10歳ぐらいの頃に

おやじが突然いなくなって、母親がずっとオロオロしてたんですよ。その日、いつも通り朝五時くらいに起きたらしいんですが、ちょっと煙草買ってくるって出たきり、いつまでたっても帰ってこなかった。 「絶滅危惧種、講談師を生きる」2017.10.31発売より

おやじはすごい明るいサラリーマンだったんだけども、ちょっと心を患ってしまった。あとでわかることなんだけども夜の三時まで一生懸命仕事の勉強してて、朝の七時半に出社してましたから、だからもう全然寝てない。病、うつ病とかそっちのほうだったと思うんですけどね

後で警察から連絡があって「山で見つかりました」僕の衝撃って、小学校4年だったし急に今までいた人が消えてしまう悲しさ。極端に言うと1か月前までキャッチボールしてた人が急にいなくなってしまうものの虚しさを、如実に考えたとき、明るい子供だったんですけど、急に影がそこに出来て。みんなと、小学生ですからワーッと笑ってるんですけど、ふっと能面みたいになって「あれ、おやじ死んでんのに俺笑ってる」それを埋められるものがずっとなくて、探してはいたんですけど、自分の居場所とか、小中高大学行っても、ここは俺の居場所じゃないっていうのが常にあって。

おやじは1回自転車で墓参りに行った形跡があるんですよ。で、花を添えて山に出て遺書も見たんですよ。山の中にあって。一枚だけ便箋があって「ご迷惑をおかけしました」子供心に見たんですけど
文字が震えてるんですよ。人って死ぬ前にこんな震える字を書くんだと。人生変わりますよね。衝撃を受ける。どんな思いで自転車をこいでたのか、自分の父親と母親の墓にどんなことを言ったのか想像することが恐怖過ぎて、自分の人生が嫌だっていうくらい。想像することをやめてたんですけど、34になって、ようやく想像しても耐えられる状況になった。


高校三年の時、円生師匠の「ラジオ深夜便」聴いててすっごい衝撃受けて。落語を異常に好きになって、そっから談志師匠好きになって


立川談志  らくだ

じゃ講談行ってみようって。ラジオから落語、談志経由講談。あまり正直ピンと来なくて。談志師匠がいいって言うんだから、いいに違いないと思って。ある日、これはやっぱり宝の山だと意識しました。

もう亡くなっちゃったんだけど、神田伯龍先生(6代目)の雨夜の駕籠。それが実の妹を人に殺させる残酷な物語で。さんじが殺した時に、初めての人殺しにかかわらず「雨だ」これをやっていいのかっていうぐらい、リアリティとか質感とか、江戸時代の何とも言えない閉塞感。どんなごろつきががんばったって、上には上がれないんだっていう。空気感、行間、たいしたことない意識してるかどうかわからないのがふっと来たんですね。ああこれは面白いと
[https://youtu.be/oK56tJy75O4

【講談BGM】六代目神田伯龍の怪談「小夜衣草紙-雨夜の駕籠」【見てきたような語り部屋】

伝統芸能って死んでる過去の名人上手たちを背負って、今私がバトンを渡されてると。また次の人たちに渡していく。繋げるっていいなって思ったんですよ。

松之丞ひとり~名演集~

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絶滅危惧職、講談師を生きる

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いとうせいこう

後半は屋形船の中で

お金もないのに私立中学入って。敷地内におじさんが住んでたんですよ。家を建てさせてもらって仮住まい。そのおじさんの息子、つまりいとこは大学まで医学薬学系に行ったんですよ。
僕の両親は「どんな職業でもいいんだ、職業に貴賎無し! 尊いも卑しいもないっ!」言ってるけど、なんかそのお兄ちゃんになれ、なれ!っていうプレッシャーがあったんですよ。おれ医学薬学系なんて全然興味なくて、でも自分を騙して。両親の田舎が長野県だから夏休みは山できのことったりするのが好きだったの「キノコから薬を取ってノーベル賞とるんだ」って、勉強して薬学系ポーンと入って、すぐ落ちこぼれちゃうわけですよ。入れたときは頑張ったよ。実際は好きじゃないから数学0点、物理も化学も0点。なぜ公式を覚えなきゃいけないかわからなかった。自分から一から計算して解きたいって先生に言ったら「それは不可能だ」言われて。ただ覚えたものをそんなかに入れるのが許せなくて、自分から解こうとしてじーっとしてるけどわかんないわけ。1時間の授業中ずっとうんこがしたいの

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