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SWITCH  インタビュー 達人達 立川談春× 禅僧 古川周賢 道標はどこに(抜粋) 

修行する意味とは

知恵と要領

談春:禅寺を「道場」というでしょ。普通から考えた修行の年数ではとても想像つかない。なんと13年やられてた。なんで禅なんですか。
周賢:睡眠時間3時間とか。朝から晩まで肉体労働。肉なんか食べない。本当に戒律通りの生活ですよね。
談春:戒律通りって、そんな問題発言(笑)
周賢:やたら眠くって、しんどくて痛くて寒くて暑くて。お経掃除托鉢、あとは自給自足が原則ですから、薪割りとか畑耕したりとか、肉体労働して、夜に座禅を組む。
談春:1日24時間で、自分の中できちっとやれるだけの量をやらされるんですか?とんでもないこと、これ無理!ってことをやらされるんですか?
周賢:ほんとに一生懸命やって1時間の仕事を、大体40~45分位でやれって。そうすると、死に物狂いでやっても間に合わないから、そこで知恵使いますね。
談春:知恵って言葉使いましたね。知恵ってのはある意味で要領と受け取っていい。だけども修行中で年が若いから、要領というのは罪悪であると。あるいはそう思うために修行していると、世間は思いがちですよね。
周賢:そうです。私もそう思われたくなくて、人一倍先輩に迷惑をかけたんです。目的は何かって、例えば、禅寺の掃除の目的はきれいにすることじゃない。修行ですよね。この天井を綺麗に拭けって、毎日拭く必要なんかないのに拭けってこと。私は真に拭かなきゃいけないという頭が取れないものですから、不可能なものをやって間に合わないから怒られ。毎日怒られるんですよ。知恵を使わないから知恵使ってごまかすって思っちゃダメ。知恵とズルの違いはどこにあるか。手抜きをしたらズル。手抜きをするかどうかは本人が決める。誰でも「あ、手抜きしたな」ってわかるじゃないですか。どっかで割り切って、その時間の中での最大限のことを自分ができれば、その瞬間に、ズルじゃないですよね。
談春:枠を自分で決めて、最善を尽くしたかどうかは、自分で分かりますよね。これは本来分かりませんよね。ズルと要領は違うってのと同じで、自分で決めるわけですよね。
周賢:人によって、どこまで頑張るかの基準は違ってくる。それがその人の持ってる生き様。自分で像が見えれば完成する。

赤めだか

談春:言ってることはわかるよ。拭けてる方がいいけど拭いただけじゃダメだって。なんでそんなめんどくさいことやってるんだ(笑)いっぺんにたくさんの用事を師匠の談志に言いつけられて、一つ二つ出来ないと叱られて。この国でものを伝える、教わるってことは、みな同じことやってるんだよってことなんですね。

二階のベランダ側の窓の桟をきれいにしろ、葉書出しとけ、牛乳買って来い、しぼんで汚くなったつつじをむしっちまえ、宅急便もらってこい、シャワーのお湯がぬるい...家元は言いつけた用事を全部覚えていて、全て一日の終わりにチェックをしていた。

赤めだか (扶桑社文庫)

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周賢:早くできるようになったら「早くやるだけじゃないぞ」怒鳴られて丁寧にできるようになったら「バカ!先のこと考えてやれ!」段取り覚えさせられて。
談春:そうか、うちの師匠は気分によって言うことが全部違ってたからいけねえんだ(笑)
周賢:道場という複数の集団でやってると、いろんな人がいるんですよ。厳しい者もいれば優しい者もいる。
談春:教える人が
周賢:はい。そうすると、自分のやり方をひたすら押し付けていくと、人間潰れちゃうんです。でも中にはものすごく優しい人もいる。先輩後輩と同じ仕組みなんです。 自給自足だから助け合わないと生きていけない。

落語「南瓜屋」観たあとで

どうすれば落語が伝わるのか

周賢:(客席の)寄せ返しがすごいですよね。
談春:素晴らしいお客さんに恵まれたんで。不問律があって、僕らは客席で見ることが許されない。客席を袖から見るんですけど。客席で見ないとわかんないことがある。
周賢:そうですね。出てくる瞬間からみんな笑い始めてる。私の真後ろの人が大好きな人で、一挙一動喜んでましたよ。
談春:そう言っていただけると、目指しているものがそれですよね。こっちが思ってるものが絵として伝わるかは別にして、見ているみなさんの中に絵が浮かんでるのが一番ありがたいんで。見ている方の頭の運動なんで。それがクリアに動くように、しゃべれる声音や言葉が伝わると、もう1回来てくれる感じがありますね。僕にはっきり見えている景色があって、それを伝えようという意思があると、ないよりは伝わるんじゃないか。「この絵を伝えよう」という欲と、観客が思い浮かべている絵が違う。それはもういいだろう。浮かんでくれてるだけありがたい。映像が浮かぶ行為がありがたいんですよ。いま五感に訴えるのがエンターテインメントじゃないですか。なんにも背景がないのに喋ってて、ただ聞いてるだけなんだけど、なんか面白い。僕らの世界に「フラ」という言葉がある。漢字にも当てはまってないですけど、なんだかわかんないけど面白い。  それを「フラがある」と言う。
周賢:シンフォニー、オーケストラみたいな感じだね。飛んでくる「気」のようなものが。
談春昔、千原ジュニアさんが僕の落語聞いて「指揮者なんですね」と言った。どういう事?と聞いたら「役一つ一つがソリストで、最終的に落語家さんが指揮してる」なるほどなあと思いました。臨場感があるので成立してるんですね。きょうも、どんな種類のどんな系統の噺をしたらいいのか、びっくりするぐらい期待してくださってるので、塩味とか味噌とか「味噌は嫌いじゃないけどあんたは塩でしょ」みたいな。皆さんが思ってるイメージに乗った上で応えるのが是なのか「こんな味付けもいかがですか」みたいなのがいいのかそんなことばかりを考えてるので。
周賢:古典のものは時代が違う。一昔前だったら喜んだことも今は当たり前。そうやって廃れていくものもあるんですね。
談春:談志の弟子だからだと思うんですけど、晩年に言われたことで強烈に残っているのは「上手い奴はいっぱいいる、面白い奴もいっぱいいる。だけどカッコいい奴がいねえんだ。これが難しんだい」旋律、声音として聞いてて心地いい、さっきおっしゃられた疑問を感じさせない。内容は伝わってないかもしれないけど聞いてて気持ちよかったみたいなのをやるのが好きなタイプなんですね。音楽的な要素を大事にしたほうがいいと思うときがあって、落語一つ一つはチューニングできそうな気がする。  落語一つ一つとお客さんに合うチューニング。

高2の時に中退。芸名つけられるから、一斗缶にアルバム燃やして、初めて親に怒られたそうな。
   

立川談春 × 稲葉浩志 / 落語対談 - YouTube

チケット取れないんだよなあ。ほんとにそうなんだよ。
余談。きょうで記事投稿868本、継続日数555日。記念すべき記事が落語で良かった。ブコメに「キリ番おめでとうございます」とか書くなよ。本文読まなくても最後までスクロールしたら書けるから。