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SWITCH インタビュー達人達 パティシエ 小山進×ベネチアンガラス作家 土田康彦(抜粋)

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ムラノ島、365日作りっぱなし

22の頃から住んでる。強制的に移住させられた。
土田:窯の火が1200年間消えたことがない。
小山:何軒あるんですか?
土田:ショップはおそらく100から120。工房じたいは60軒。それでもこの50年60年で半減している。
小山:職人さんは何人ぐらい?
土田:その職人こそほんとに今少なくなってて、数十年数百年前だとひとつの工房だけでも2千人。その昔、世界中の建物の窓ガラスがムラノ島で作られていたわけですし。世界じゅうで流通されているワインボトルも、ベネチアで吹かれていたわけですから。ムラノ島の空気が気泡の中に永遠に何世紀も何世紀もガラスとガラスの間に挟み込まれて、永遠に抜けることがない。ジュラシックパーク
小山:すごいね。僕らも空気は入れるけど、鮮度1日の空気が多いからね。ロールケーキは1日の空気やけれど。永遠の空気ですね。今度からいろんな作品の空気が「これいつの空気やろ」ってなるね。初めて出会って「うわぁすごい」と思ったのはバンブー。すごい好きですね。なんか食べもんのような感じがする。


土田康彦CircleOfLife_No4.mpg

http://www.tsuchidayasuhiko.it/

父は警察官。4歳の時、母が癌で他界。記憶の中の母はいつも絵を描いていた。小学校の頃「ね」と「ぬ」、「よ」と「ゆ」を逆に読んだり書いたりする癖があった。文章の読解力がゼロで、食品のパッケージの裏側の文字を読む癖が付いた。読んでることと頭のイメージが全く一致することに気づいた。それでスラスラ読めるようになった。


土田康彦 - Wikipedia

土田康彦:運命の交差点

土田康彦:運命の交差点

  • 作者:土田 康彦
  • 発売日: 2015/07/01
  • メディア: ハードカバー

きっかけ

小山:はじめにここにたどり着こうと思ってたんですか?
土田:いや、ガラスというのは思ってなかった。でもアーティストになりたいというのは、小学校4~5年生ぐらいから強く思い始めた。アーティストになるためには、ヨーロッパ放浪の旅をしなきゃいけないと、なんとなく子供心に思い始めて。それから放浪の旅ができて、実際どうやって食べていくんだと考え始めて「レストランでアルバイトすると、給料は貰えなくても賄いは食べられる」まかないを一生食べ続けて、絵を描き続けようと。過去を時々振り返って、あの人とあの人とあの人に会えてなければ、芸術家としての生は今持ってなかった。その一人に、放浪の旅の途中で会った、アリーゴ・チプリアーニ氏。彼がベネチアに来い、と言ってくれて。僕の目を覗き込むような感じで「俺はお前の過去も知ってれば、未来も知っている。だまって俺について来い。なにもなしで。」僕はパリからスーツケース抱えてキッチンに行くとそのまま戦場に送り込まれたみたいな。個性の強い方なんで、ケンカみたいなことするんですよ。僕も自分の意志を貫いたり、頭にきて飛び出すんですけど、ジャンルは違うんですけど、人間として、社会人として生きていく厳しさは徹底的に教えられましたね。

店の常連客を絵に描き、97年その女性、アンガリータと結婚。彼女の微笑みは僕の命そのもの。義父はベネチアングラスのマエストロ、フランコ・スキアヴォン。

土田さんの言葉

小山さんが「どうしても食べて欲しい」2015年コレクションを持参。それぞれに産地の違うカカオを使う。拡大鏡でチェックする土田さん。

小山:ヘーゼルナッツのふくよかな感じと、柑橘類の持つアクセントとのバランス。
土田:視覚的にもますます芸術的に、日本のオリジナリティを強調した程度のコンセプトを、圧倒的に超越していますね。

小山:背中を押してくれたのは土田さんの言葉です。アート、違うジャンルからも面白い。口の中で起きるアートを作っているんだと。うちのスタッフや業界の人達にも「僕たちは本当にアートを作れるんだよ、そういう職種なんだよ」ということをすごく伝えたいんで。多分これを一番わかってくれる人なんじゃないかと。商売人である前に、ものづくり人でありたいという思いが強くって。自分の感じたことを全部ひっくるめて、お菓子で表現したい。子供の時、京都の五条の路地で遊んでて夏休み母親の田舎の山奥で1ヶ月暮らした。都会と田舎のコントラストが、ものづくりの中で一番影響を受けている気がして。

土田:バランスですね。


Go West 08 エス・コヤマのオーナー、小山進氏を訪ねて HD

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丁寧を武器にする

土田:子供の頃から丁寧だったんですか?プロになったから丁寧になったのか、丁寧だったから世界の頂点を極めることができたのか、どっちなんだろう。

小山:細かいことにはこだわってたんです。子供の時から。まず基本的に心配症。準備万端でももう1回確かめて1回1回確認して、それを何回も何回もするような。それでもランドセルに忘れ物するような子。顕微鏡でなんか見たりするのも好きやし。まずは説明書通り作るけど、それからアレンジして何がどう変わったか検証して。

土田:物理的科学的に牛乳の方が濃いそうなのに、なんでやろ、とか
小山:失敗したら「なんでやろ」
土田:全般に対して?
小山:クラスの中でイベント企画するのが好きやった。そのプロセス。いろんな子が「ケーキ屋になりたい」とうちにきます。でもどんな仕事も、生まれてから今までの能力経験全て使えると教えてあげたい。陶芸家、グラフィックデザイナー、ミュージシャン、歯医者さん。経験になるからとケーキを作る練習よりも,
なんか自分の好きなことを感じて、もっと深く掘り下げていったら。いろんなことの勉強になるんです。

土田:「僕はこの道で行く」と決めた時、二番目三番目に好きだったこと、迷ってることを捨てる必要はないと思うんです。二番目三番目に好きだったことを、上手く構成しながら頂点を極めていくのが大切。
小山:二番目三番目に好きだったものにも、共通性があるということ。

父はケーキ職人だったが、母は同じ道に進むなと強く反対していたが、高2でなることを決意した。小学校から高3まで通知表にはずっと「落ち着きがない」と書かれ。でもあかんことやとは全然思ってないし反省もしてない。それに関しては悪いことやと思ってない。

丁寧を武器にする

丁寧を武器にする

  • 作者:小山進
  • 発売日: 2012/11/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ずっと眺めていたい。今回も保存版。ソーダガラスとフロストシュガー、似てるな。