ガンダムはラブストーリー
蒼井優:「これは」ってラブストーリーが思いつかなくて。人の恋愛に興味がないんですかね。
岩井:「人の恋愛に興味がない」・・キーワードな気がして。
カップルを追いかけてみたいって思わなくて。
子供時代、いちばん理解ができなかったのが、男女の恋愛。ドラマも映画も。
そんな時「機動戦士ガンダム」にやられてしまった。
自分の場合ラブストーリーとして「なんだこれは」って。カルチャーショック。
国宝級。アムロ・レイの隣に住むフラウ・ボウ。
フラウボウが途中からフェードアウトしていく。
アムロはマチルダさんという年上の女性に惹かれていく。
そこが理解できずピントも来ずスルー。
アムロはララァと数分間しか会ってない。
全く接点のなかったふたりが、宇宙空間で戦ってるうちに恋に落ちていく。
普通見てなかった男女間のいろんなものが出てきて
終わってみたら相当・・なんだったんだろうと。
振り返ってみるとかなり特異な異色作だったんだな、と。
蒼井優「ロッキー」
蒼井:自分の中で最も恋愛が中心になる作品は「ロッキー」
←相手は内気な女性エイドリアン。
ラストシーンでロッキーが名を呼ぶシーンが印象的。
岸野:献身的に支えるんですけど、どちらかといえば地味。
蒼井:あれに親しみが。エイドリアンはとっても可愛い女優さん。
ほかの作品に比べたらファニーフェイス。とっても好き。
岩井:ウディ・アレンとダイアン・キートン。←「アニーホール」
蒼井:そうですね。あれ見たあと、ガラスに映った自分の顔見てがっかりするのが嫌 。
やっぱり恋愛映画って、とっても綺麗な人と
とっても格好いい人が恋愛してたりすると
「あぁ(なんだ)やっぱり美男美女か」みたいな気分になって
劇場を後にする感じが(嫌なんですよね・・
究極の障壁「ベニスに死す」
樋口尚文:冷静に考えてみたら、恋愛映画には「壁」がある。
国籍かもしれないし。
でもこれはコミュニケーション、男同士、最後は死別。
壁だらけの映画なんです。
岩井:最初から最後まで一方的に壁があって、乗り越えられない。
何かイリュージョンを見てるような。
「花とアリス」はラブストーリーだったのか
蒼井:杏ちゃんが演じた花にとっては、ものすごいラブストーリー。
岩井:父親に対するファザコン的な想いを好きな男の子にぶつけていく。
四角関係なのかな。変化を欲しているのかっていう。
樋口尚文:岩井監督の映画は少女マンガ的って言われるじゃないですか。
あの辺はどう思いますか?
岩井:ある音楽プロデューサーの友達が昔言ってた
「男性はラブソングの歌詞をちゃんと聞いてない」
中島みゆきさんの「わかれうた」って体験は本当にあるの?って。
歌えるのに歌詞(道に倒れて誰かの名を・・)に気づいてなかった。
少女漫画読んでても、音楽のように心地よさに触れてるだけだったのかって。
鈴木杏:少女漫画チックとは思わないけど
「おじさんの中にある、イケナイ少女性」は・・(笑)
どのおじさんも持ってると思う。
それって女性から見ても愛おしいもの。
岩井さんから見たちっちゃい世界の面白さは、女性のお客さんには愛おしく
男性のお客さんの中にある少女性とも繋がっちゃう。