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松重豊×dancyu編集長植野広生、SWITCHインタビュー。孤独のグルメはドキュメンタリー

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松重豊

孤独のグルメ おいしさの伝え方

バイプレイヤーズごっこ遊び。日常の中のリアリティの積み重ね。それを植野さんにぶつけてみたくて。
孤独のグルメは自らが取材、わかったことを台本に書き足していく。

植野:長くやってらして、おいしさの伝え方をすごい見ちゃうんですよね。僕らも雑誌を作っているので「おいしい」を伝えるのは非常に難しい要素だと思ってまして

松重:「孤独のグルメ」はただお腹空かした中年男が、酒の飲めない中年男が食べ物屋を探して見つけて。本当に日常の断片を切り取っただけの作品。これを、ド正面からエンターティメントにしろって言われたら、僕は無理だと思ったんですね。ホントに何も起きないし、ただ食べてるだけでいいんですか?って言ったら「それでお願いします」

初めて行く店ですし、女将さんがいてご主人がいて、この店はこういう歴史で。番組ではこの料理ですけど、実は(別の)料理に思い入れがあるんだなっていうのを、撮影中に拾っていくんですよ。話を聞いていくうちに、台本よりもこっちのがおいしそうだよ、それ足そうかってノリがどんどんできるような空気になっていって。お店の人から感じるもの、お店のたたずまいから感じるものを僕が受け取るっていうことを、ただ正直に感じてるだけなんですよ。おいしいって伝えようと思っちゃう、ダメになる。ドラマとしてありがちなフィクションにしかならない。どっちかというとノンフィクションに近い、ドキュメンタリーに一番近いドラマにしたい。すべてのドラマが「これ本物の殺し合いじゃないの?」と思われるようなのが、表現として一番面白い。

植野 松重さんの眉間を見るんですよ。食べてる時の、怒ったり困ったりしてるわけじゃないんだけど、眉間にふっと。舌先じゃなくて、胃の腑で感じる。もしかして辛いんじゃないかとかいろんな妄想

松重 昔(額に)漢字の「風」が出るって言われて(笑)なんで眉間に風があるんだろうって。こわもての役が多かったんで、眉間にシワ寄せることが多かった。咀嚼(そしゃく)してる口と、目の印象。眉間のしわから感じられる味。僕はあまり意図してないんですけど、表現として助かっているのかもしれない

下北沢「珉亭(みんてい)でバイトしてた松重さん。本多劇場の中のコーヒー屋でバイトしてた植野さん。同学年。お昼珉亭に食べに行ってた。

ちりとてちん~葛藤の日々

松重 役者の場合「お前のしたいものは何?」それはロックみたいなものだよといっても、善良な父親にロックを持ち込んでもしょうがないだろう(笑)音楽をやる、自分の表現を突き詰めることとは真逆の表現方法なんだなっていうことに、40ぐらいで壁としてぶち当たると思うんですね。いろんな環境で、表現方法で監督さんとやる、そのパートに専念することだから、音楽をやるのとは対極

空洞のなかみ

「あそこの菩薩さんなあ、中、空っぽですんや」
そんなに何かにこだわる必要はない。役を作る上で、今後俳優としてやるべきことはなんですか、別にこだわらなくていいんじゃないのって答えをなんとなくいただけたような。禅寺におはなし聞きに行くようになって、あそうか、なにも考えない時間はすごく大事なんだなと。何者でも染まる器になる。
空洞のなかみ

植野:いい店の入り方教えてくださいって、よく言われるんですけど、一番わかりやすいのは、店から出てきたお客さんの顔を見れば分かります。

dancyu“食いしん坊”編集長の極上ひとりメシ (ポプラ新書)