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SWITCHインタビュー達人達 草笛光子X髙樹のぶ子 恋する能力、言葉の能力

2020.7.25放送

草笛光子

舞台の魅力

髙樹 日本では「マダム」という言葉はあんまり定着してない。ヨーロッパの文化の中では、本当に成熟した女性の敬称。素敵な人だという意味でマダムって言葉を付けるんですね

草笛 三谷幸喜さんっていらっしゃるでしょ?あの方の舞台に初めて出さしていただいた時に三谷さんが「赤ん坊がそのままおばあちゃんになっちゃったみたい」って。だから成長してないんですよ。子供のまんま

髙樹 それって、ものすごく褒めてらっしゃるんじゃない?無邪気さというか。透明感、人生の垢とかいろんなものがくっついてきてなくて。失礼ながら私より一回り上なんですね。私もマダムのぶ子になりたい。キャリアもお持ちだけど、舞台にエネルギーを注いでいらっしゃる

草笛 そうですね。多いって、そんなに舞台は1年に何本も出来はしませんけど
髙樹 でも「6週間のダンスレッスン」観ました
草笛 プロデューサーが外国で本を見つけてくださって。読んだとたん「あら、この作家、あたしの生活どっかで盗み見したみたい」すごく似てるところがありますね。それで、よいしょ、っと始めたわけですけども。体を動かすのってすごくいい気持ちです。

髙樹 舞台の魅力ってなんですか?おもしろさ
草笛 うーん、そうですね...誰も助けてくれませんもんね。NGはきかないし。
髙樹 そこに来られてるお客さんが、一期一会のものを感じて持って帰られる。あとで編集もきかない。その大変さ、緊張感。経験していないものにはわからない何か

草笛 あとは、元気でいなきゃ。だってね、2時間なら2時間、しゃべりっぱなしで出ることありますからね。あたしもう頭が弱いから、セリフが出てこない

髙樹 短期間のレッスンでダンスも滞りなく、歌まで含めて素晴らしかった
草笛 ダンスはね、割と覚えられますね。回された時に世の中が回るんですよ(笑)景色が。回るのが気持ちいいのね。着地して、また舞う。
髙樹 緊張して、ちゃんとやらなければというふうに覚悟があって出てらっしゃるんだけど、同時に楽しんでらっしゃる

草笛 そうですね。楽しむ心が、やっぱりお客さんに通じる。踊りって楽しいのよって、自分が味わいながら踊る。
舞台で何か起こったとしますよね。(何かが割れたとしても)引っ込めません。それでちゃんと芝居をして、次へちゃんと行ける、役者として余裕っていうか、舞台を逃げない。それが仕事っていうか。だから何が起こったって、私は舞台にいかなきゃいけない。止まっちゃダメ。その覚悟だけは決めてますよね。舞台出て行って何が起こっても私は引っ込まない。ちゃんとお客さんにやり抜いて引っ込もう

転機

草笛 (幼少期は人と話すことができなかった)憎らしいわね。だから親が困りましたよね。人と遊ばないから,,,
縁故疎開で富岡に行ったんです。製糸工場がある。本当に誰も知らない。そこで実は映画を見ました。狸御殿。宮城千賀子さん。その時にね、これがミュージカルだなと思う場面があったんです。こんな楽しいもの、映画は出来るんだと思って。それが多分私のミュージカルっていう

髙樹 最初の体験。何にもない時代だからこそ、そのすごさ、インパクトが強いですよね
草笛 まさかそっちへ行く気はなかったですよ。何しろ焼け出されて横浜の街で。母が小さな洋裁店をやって生計を立てた。父は三菱重工業お船造るところですから。戦犯なっちゃって、クビですよね。だけどうちの家庭は温かかった。父も母もおじいちゃんもおばあちゃんもいたし。苦しさはないですね。でも、どうしても歌劇を受けろって言われて受かっちゃった。困りましたね。学校の試験勉強しながら並んで。どんどん残っちゃって。どうしようって。歌劇の先生が「黙っててあげるから1ヶ月通いなさい、歌劇のレッスンに」自分の人生を自分で決めろって言われて、1ヶ月通いました。学校に内緒にしてくれて。それで、ああ、大変だけど、この世界でやってみようって気になったんです。
やっぱり結婚離婚てのはありましたから。あの時に女優をやめようと思いました。別れた時にね。別れた時にうちの母が「戻ってらっしゃい戻ってらっしゃい横浜へ」言われました。でもせっかく結婚。離婚ってすごく難しかったんですよ。ねえ。ねえって言っちゃって。過ぎてきたら、女優をやめちゃうのはもったいないな、この苦しさは女優で使わなきゃと思っちゃったんです。だから母の所へ戻りませんでした。

白髪、2002年の舞台「ウイット」ガンで死んでいくドラマだから全部剃った。少しずつ伸びてきますよね、白いのが。それを利用してそのままずっと。
これから結婚する気はないです。もう貰い手もないしね(笑)
髙樹 いやいや、何が起こるかわからない人生。でもご自分で、恋愛に臆病だったと思われます?
草笛 やっぱり秘め事にしちゃいますね。
髙樹 秘め事だから恋愛なんですよ
草笛 心に姦淫をおかす方(笑)
髙樹 いくつありました?秘めた恋
草笛 そんな数えられない。もうちょっと欲しいですけど

草笛光子のクローゼット

草笛光子のクローゼット

  • 作者:草笛 光子
  • 発売日: 2018/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
いつも私で生きていく (小学館文庫)

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髙樹のぶ子

恋愛小説は70冊

高樹 人間の心が乱れる、コントロールが効かない瞬間はなんだろうと思うと、やっぱり恋愛じゃないですかね。小説にはいっぱい書いてますけど、実際はたいしたことない。妄想で商売をしてます
草笛 全部恋愛小説でしょ?
髙樹 いえいえ、そんなことないです。なぜだか恋愛小説作家っていうレッテルははられてます。それははぎません。ずっと背負って生きますけども、恋愛小説ばっかりではない
草笛 でも夢が見られるっていうか、ちゃんと字にできるというのは幸せですし。そういう心はどうやって保ってらっしゃるのかと思って
髙樹 もう興味ですね。人への興味。だから、草笛さんが素敵だな、今こうやってパーフェクトな女性だとして、おうちに帰ったらどういう姿になるのかなって想像するのもまた楽しみ。小説家っていうのは、いつもそこにあるものの違う面を想像しますから。
草笛 だから小説家とお話するの嫌なのよ(笑)
髙樹 いやいやいや(笑)いいんですよ、お互い様だから
草笛 なんか裸にされるみたいで
髙樹 小説っていうのは、人間の体の人に見せたくない部分、脇の下とかあんまり人に見せられないところから、いろんなものがニョキニョキ生えてきて文学になるんだから。そういうものをいっぱい持ってる方のほうが
草笛 ご自分もでしょ
髙樹 もちろんです
草笛 ご自分の持ってらっしゃるものを端からお書きになるでしょ
髙樹 端からは書きませんけど(笑)書くってことは当然そこが出てくるんでしょうね
草笛 出てくるから、恋愛小説をお書きになる方は色っぽい
髙樹 色っぽい?
草笛 色っぽいですよ

小説伊勢物語 業平

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