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SWITCHインタビュー達人達 村木厚子X今野敏  警察小説、組織、恐怖症。

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警察小説、組織小説

あこがれ

村木 今野先生の本を読み始めたのは、ちょうどあの事件の頃なんです
今野 あら、それはちょっと
村木 早めに告白しとかなきゃいけないんですけど、この10年間で多分80~90冊ぐらいの本を
今野 すごい。それはちょっと異常ですね。いや、ありがたい話で

村木 事件に巻き込まれて、検察や警察をどうこう思ってたからというんじゃなく、すごく警察小説に惹かれるんですね。どうして警察なんですか
今野 小さい頃からのあこがれがありますよね。多分制服に対する憧れも、ひとつありますよね。やっぱり警察官、刑事ドラマは独特の匂いがあって、ちっちゃい頃から好きだったんですよね。気がついたんですよ「武力を持った公務員」これはなんだろう、お侍さんじゃないかと。江戸幕府。官僚は全員、侍ですからね。その佇まいというか存在は、やっぱり日本人の心に合ってるんじゃないかと思います。私の小説の主人公ってそんなに大したキャラじゃない。団体で捜査するのが多いんですよ。ホントはスポーツ、団体競技そんな好きじゃないんですけど。自分でやるのはね。その、チームっていうのは好きですね

チーム作品の原型

村木 最初にすごく好きだって思ったのは、組織と自分の間の小さな葛藤とか、上司・部下との間のポジションで悩む主人公が多い。普通あんなに主人公は悩まないんじゃないかと思うんですけど
今野 一般の人は悩みますよ。多分一番大きな悩み。組織に生きる時って。悩んでる時に誰かが必ず助けてくれるって思いがあるんですよ。だから勝手に悩んでるんです。お前らの助けなんか必要ないんだって顔で一人悩んでるけど、周りはものすごい面倒見るんです。そういうところが組織とかコミュニティの良さ

村木 あの、やめてよくわかりました(笑)仲間がいたことがどんだけ大きかったか。感謝してるつもりだったんですけど、やめてみたらものすごい実感しましたね。

今野 原型があるんだと思いますね。サイボーグ999、あれって画期的ですね。いままで9人を主人公にした漫画なんてなかった。すごく衝撃的でしたし大好きでした。SPの中の殆どの恐怖症は私が持ってる。先端、閉所恐怖症で。ま、対人恐怖症はないんですけど、あと、パニック障害やったことがあるんですよ実際に。何かに飛び出て優秀な人は、なにかとんでもない欠点があるような気がする。それをお互いに補い合えば、ものすごく強いものになる。ただ人間同士なので、必ずしもペアリングがうまくゆくとも限らない。だけど5人ぐらいいればなんとか補い合えるじゃないですか。チームってそれが理想。がちっと同じタイプの人間を集めてひとつのモノをやれって、軍隊ですよね。そうじゃなくて、長所と欠点を凸凹の奴が補い合いながらだと、達成感がある。

村木 そういう人たちって、大きなハンディを持ってたりするんですよね。でも仕事はハンディでやらない。得意な部分でやればいい。すごく自分が欠点持ってる人でもチームに参加して、全体として大きなことができるというのが、なんか嬉しい

今野 適材適所って言葉はあるけど、ちゃんとできる人がいない。出来たのは豊臣秀吉ぐらい(笑)もっと考えたほうがいいですね。この言葉をもっともっと突き詰めて考えることが大事/正しいことって、シンプルだと思うんです。合理的なこと。それをみんな普通に追い求めてればなんて素敵な世の中になるんだろう。

村木 単純で、美しいはずなんですよね
今野 そうはならないので、そう思ってる人が少しでも増えてくれればと思うんですよね。特に、権力の中枢にいる官僚や政治家。臆面もなく「出世したい」というんです。出世すれば権限、裁量権が増える。

村木 だから、無駄だと思うことは辞めさせられるし、間違ってると思うことも変えられるし。すぽんとそう言っちゃうことがすごく面白いですよね。40歳ぐらいの時に外の人から言われたことがあって「やめちゃダメなんだよ、理解してくれる人が組織に残って大きな判子を持つようにならないとダメなんだよ」すごく自分の道が決まったというか。ここにいて、大きな仕事ができるポジションに行くのは、結局期待に応えられることなんだと思えたので

今野 ちゃんとした理屈とか志を持ってる人はどんどん出世して欲しいですよね

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読書記録は必ずつけるそう。

ひとつの作品に全部吐き出してしまう。もったいないから次にとっとこうとは思わない。起承転結を作らない。そこそこいけそうだなとなったら書いちゃう。3割りあったら行けますね。若い頃、始めて10年ぐらいはきちっと決めないと書き出せない時期があった。でもそうやって書いた小説はつまんない。設計図通りなんで、力尽きる。毎回ワクワクさせられるシーンで終わるんだけど「なんでこんなこと書いちゃったんだろう」て。それを少しずつ解決していく作業だから面白い。必死で考える。

清明―隠蔽捜査8―

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