相談者は引っ込み思案
コンプレックスだらけ
なにか強い言い方をされると、怯えて何も言い返せません。それなのに頑固なところもあり、人の考えを受け入れられません。また、マイナス思考で物事を悪い方へ捉えてしまいます。こんなコンプレックスだらけの自分が好きになれません
ジャック・デリダ
ポスト構造主義の旗手
植民地に生まれた理不尽さ。若い頃、謂れ無き優劣の差(←フランスは優れているのにアルジェリアは劣っている)に苦しみ、精神的不安定から不眠症に悩まされた。二項対立に疑問を持ち、西洋哲学を根底から覆した。
二項対立
善と悪など、物事を二つに分けて単純化し、すぐに優劣をつける考え方。現代だと「専業主婦と兼業主婦」専業が劣勢なのおかしい
全てのものを優劣に分けるのは本当に正しいのか。
和田:私なんか強いイメージがあるから、静かにしてると「具合悪いんですか?」(笑)暗いは「寡黙」というのもありますから
小川:二項対立、どっちかが必ずしもいいということではないんですよね。私たちが一見劣ってる方にも、なにか魅力がある。二項対立から優劣が生まれることを考えるのが、コンプレックスを考えるヒントになる。
和田アキ子
コンプレックスの塊
わたしなんか、コンプレックスの塊ですよ。コンプレックスだらけ。大きい女ってあまりいなかったから。芸能界も「大きい女は売れない」ジンクスがあったらしい。古い人は「三歩下がって歩け!」てことですよね。大きいってことがまず、洋服もなかったしね。手足も大きいから靴もなけりゃ、全部ダメで。大阪にいたときは全然気にしてなかったんだけど、なんかのご縁でこの世界に入るようになって「大きい女は売れない」デビュー曲は売れなかったけど2曲目「どしゃ降りの雨の中で」ヒットして。プロデューサーが「○○さんの横に立って」オープニングとかエンディングね。立ってると先輩さんが「お前後ろにいけ、俺が目立つから」「えっ」「後ろ行けって言ってんだろ!」足ガーンと踏まれて。プロデューサーが「なんで決められた位置にいないんだお前!」怒られたりとかさ。昔は女性楽屋、男性楽屋みんな一緒だったの。先輩も。あたしジーンズとスニーカーで入ってたから。そしたら「男がいるから着替えられない」泣いたよ。トイレでしか着替えられないもん。クソーとか思ったもん。殴ったら勝つんだけど(笑)
みちょぱ 勉強できない
和田 学校行ってないじゃん第一
みちょぱ 一応高校も行ったんですよ
高田 あなた勉強すりゃある程度わかるわけでしょ、興味なかったんですか
みちょぱ 昔からやっても伸びることがなかった。じゃあもういいやって。小学生ぐらいから勉強はしてました
小川 背が高い背が低いっていうのも、勝手に世の中の対立にとらわれてますし、和田さん自身もコンプレックスのもとになってしまった。みちょぱさん自身も、勉強する人しない人の二項対立で。その弊害の仕組みにとらわれてしまった。
コンプレックスを抜け出すには
脱構築
破壊と構築を組み合わせた哲学用語。物事を一度破壊。単純な二項対立を破壊し、様々な価値観で捉え直すこと。建築の世界でも、プラハのダンシングハウスは最高傑作。(構造上の)安定、不安定にとらわれず、個性的など様々な価値観で捉え直す。
和田:若い世代が「かっこいい」洋楽は昔カタカナでね”マーサ三宅”とかね、本当は私”マーガレット和田”になるはずだったんです。
小川:和田さんが劣ってると感じることを魅力的に捉え直す。実は体が大きいだけではなくて、魅力的で堂々としてて、声量が目立つアーティストだと置き換えることができそうですね
和田 ありがたいですね。大きいと卑屈になってたことが、ポジティブになるよね
ふりかえり
相談者へ
和田:たまに頑固にってことはいつもじゃないってことでしょ。職人さん、こだわり。たまに頑固になることがあってもいい。人の考えも、全部が全部合ってるとは限らない。自分が引っ込み思案ってことを分かってるんなら、脱構築ね。二項対立を自分でされて
小川:この方は、単に優しいだけかもしれませんね。
和田:マイナス思考ではないんですけど、人間らしさが出てますよね。あたしも石橋百回でも叩きたいぐらいですから。何を持ってマイナス思考かと。必ずしも間違いではない。
高田:アッコちゃんて意外と慎重派ですもんね
和田:人間て違いがあるからこうして話ができる。全部同じだったらできない