火花を超える作品にしたい
火花について
文学は、頭のいい人たちのためだけにあるのではない。
火花を書いたとき、わかりづらいとか難しいとか言われた。わからん奴はええわ、というふうに、僕はならないんですよ。もっとわかりやすく書こうと。
2作目
売れない劇作家の苦悩を描く恋愛小説
火花より先に書き始めていたが、原稿用紙60枚を過ぎたあたりで突然書けなくなりそのまま寝かせておいた。先に書き上がったのが火花。
やっぱり2作目とか二つ目って失敗しやすい。もっと僕は怒られないといけない人間なんですよ
文章を書いていてもめちゃめちゃ集中してて耳を澄ませて聞こえてきた言葉を書くというか。入口は発射台としては自分だけど、その先は自分じゃない。
まぶたは薄い皮膚でしかないはずなのに 風景が透けて見えたことは、まだない。
札幌は精神的にしんどい時に来た場所。自分の才能を信じるも、誰にも認められない挫折感焦燥感。
そういえば誰かに幽霊と呼ばれたことがあったが、まさにそれだと思った。
2作目の原稿の朗読、段田安則さんやな。読みすぎなんちゃうやろか。そんな話なんやな、と、なんとなく思ってしまう。ほぼネタバレやん。でも、2作目、段田さんでFMラジオドラマやってほしいな。
情熱大陸NHK版みたい。タクシーの中の横顔のショットとか。髪の引っ詰め方がいつもと違う。別人ぽい。
歩いてると景色見えるし、反応したものを頼りにどんどん進んでいける。次の日どんな日なんやろ、何してきたんやろ、思います。
又吉さんは、執筆で行き詰まると散歩に出ることにしています。
— nhk_special (@nhk_n_sp) 2017年2月25日
街の風景や音を聴くと、何かが刺激されるそうです。カメラは、散歩の中でひらめく又吉さんの様子をとらえました。
物語が動き出す瞬間です。#NHKスペシャル #又吉直樹 第二作への苦闘 明日夜9時 pic.twitter.com/HjuMZRUmac
矢野編集長は「主人公の内面を掘り下げるべき、恋愛に割きすぎ」と一発OKを出さなかった。
登場人物の辛い面を書くのは、書く方も結構、精神的に削られる部分がある。
又吉:自分で自分のことを変とか変わってるっていうことって、30代ぐらいになってきたら恥ずかしくなってくるじゃないですか。だからみんな、変わってる部分隠して普通にする。非道徳的なもの、倫理が欠落してる部分を認めたら地獄。文学はそれが当たり前。表現する場所がないと。
矢野:共感しにくい人間はある種、変。人間の愚かさをどう書くかということは簡単なことじゃない。
古井由吉
師匠と慕う存在
小説を書いてみたらと勧めてくれた作家。
又吉:日常とか別の仕事が滲んできて。
古井:切り替えも大事だけど繋ぐことも大事でしょ。独自なものをあなたは出せるんじゃないか。小説の面白さというのは、破綻の面白さ。火事場の馬鹿力が出ると、読む方に感動を与えるんですよ。
なぜそんな人間がいるのかということを暴力的に書くんじゃなく「こういう人間もいてええやん」みたいな感じで書く。
本当に、よく生きてこれたよね。
核心部分長々読み過ぎや。
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追記 2020.2.27
2020.2.18、古井由吉さん死去。82歳。