そっくりミステリー
人間は自分を客観的に見ることはできない
石黒：理屈としては自分ソックリだって分かる。実感はないですよね
清水：そういうもんですかね？
石黒：だって双子のきょうだいと一緒ですから。周りからはそっくりだって言われるけど、自分達は本当にそっくりかどうかは、写真撮って比べるしか方法はないわけで。日常的にそんなことはしないですよね。
清水：鏡を見るわけじゃないですもんね
石黒：鏡を見てもダメです。あれは左右逆転してるので全く他人の顔です。写真の顔と鏡の顔は、まったく別の顔。対称じゃないのでほぼ別人。服と髪型を変えたら全く別人。
清水：たとえば私が「モノマネをします」と言ったら、大概の人が自分のモノマネは気持ち悪いってなるみたいなんですよ。
石黒：なんで気持ち悪いかっていうと、周りの人が「そっくりだ」と言うから。自分はそのモノマネを見て、自分に似てないと思っているにも関わらず、そっくりだって言うから「ああ自分はこうなんだ」と思う。高齢者の人ってしゃべるのがだんだんと億劫になったり、ひととしゃべらなくなったりしますけど、これ（テレノイド）だとめちゃめちゃしゃべるんですよ。
清水：お年寄りも顔だいじなんですか？
石黒：顔というよりも、自分の都合よく想像したひととしゃべりたい。全くストレスなく。たとえば認知症の人がちゃんとしゃべれるようになったり、問題行動のある人がなくなったりするんです。
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石黒：人間の脳の性質でもあるんですけど、例えば形を見て重さが分かる、匂いが分かるとすると、わかった気分になるじゃないですか。「あれはちょっと重いやつ」「くさいやつ」って言うと「それ知ってる」ってなる。物事を認識するっていうのは、二つの表現が繋がった時認識するんですよ。これは声と触感、ふたつだけあるんで「本当に人がいる」となる。
理想の女性
清水：理想の女性を作ったって本当ですか？
石黒：作ったっていうか、本当の美人とはどういう美人かということ。エリカっていう新しいロボットなんですけど。
清水：AKBとかにいそうですよね。
石黒：ちゃんと理屈があるんです。どうして綺麗に見えるか。しわがないほくろがない、できるだけ左右対称とか。人間の平均の顔とっていくと美人になるんですけど。
美人の条件
顔のパーツバランスが３等分
左右対称
鼻、唇、あごが一直線上に並んでいるビーナスラインの持ち主
取り立てて個性がないことも重要
石黒：「こういう人を美人だと思いたい」ってそれぞれに思ってるんですね。 そういう想像をうまく引き出すような顔を作れば美人になるわけ。個性があるってことはブス。美人は多くの人が見て美人なんですよ。個性的っていうのは一般的に美人とは言わない。
ともだち、映画
石黒：多い方だと思いますよ。知り合い、フェイスブック見ても２千人ぐらいいますし。
清水：そういうのはいるけど（笑）あたしが言ってる友達ってのは親友といいますか。
石黒：本当に分かり合えるかどうかってことですね。そんなに親友ってたくさんいます？
清水：いや、二人ぐらいですね。
石黒：多分同じぐらいですよ。そんなに誰しも分かり合えるもんじゃないですし、それなりに時間もかかりますし。
清水：そうですね。映画とか見てすっごい泣いたことありますか？「この感情をどうしたらいいんだ」と震えが来るような。10代ぐらいから。「これ俺何回見たんだこのライブ」とか。
石黒：「壬生義士伝」は何回か観ました。「楢山節考」も。山に捨てられるおばあさんの心情は、いろいろ考えると。
清水：似合わな～い
石黒：一応、人間なのでね。
清水：ごめんなさい（笑）
石黒：人間は想像する生き物なんでね。いかに想像の余地をたくさん残すか、想像させながら感動に結び付けていくのはいい映画。あの映画はありえますよね。
清水：すごく失礼な質問、迷ったんですけど、石黒さんお亡くなりになった時、そうするとこれ（自身のアンドロイド）、残るじゃないですか。遺族の方も迷うわけですよね。
石黒：遺族は捨てる権利ないですよ。これ大学の備品ですから（笑）
清水：クール！権利とか言って
石黒：いや一応、備品は５年で償却するから。５年たったら捨てられるんです。
後半、機体トラブルで石黒さんが大阪に足止めになったので、スタジオパークのセットのピアノで綾戸智恵→美輪明宏のものまねをして待つw
初めに清水ミチコを知ったのは「冗談画報」ではなく「夢で逢えたら」のみどりさん。
