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SWITCHインタビュー達人達 コーチ 井村雅代×指揮者 広上淳一 育てる力「叱る」と「怒る」の違い(メモ)

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井村雅代

叱る絶対3点セット

悪いところをはっきりと指摘
治す方法を具体的に指導
治ったかどうかきちんと伝える

井村:叱りっぱなしにしない。
広上:「叱る」はいいけど「怒る」は自分のわがまま。
「叱る」は絶対やるべき。
井村:私も先生もそうですけど、若者のやってるの見たら「それ、間違ってるやないの」それを知らん顔するの、ダメだと思うんですね。だからダメやと思ったら、行かんなアカンわけです。叱ったら、必ず治す方法を言わなければいけない。でもね、治す方法言ったからって、1回で治らないんです。ここで根性が要るんですよ。その子が治るまで行かなければいけない。それを1回言ってやめるならば、最初から言わんほうがマシ。
広上:おれ、甲斐性が足りんのんか・・
井村:いやいやいや(笑)わたしはひつこいです。でもね、自分正しいと思ってやってんだもん。正しいのを否定するわけでしょ。で、否定して「こうやりなさい」やるわけでしょ?その時には「これは、あなたのは、違いますよ。こうするのがあなたのためになりますよ」言う時には、言葉に力がなかったらダメ
広上:あれだけ叱咤激励、厳しいこともおっしゃるかもしれないけれども、若者たちが真剣に聞くわけですよね?
井村:真剣ちゃう、真剣やない。
広上:そうですか?少なくとも僕の教えてる学生よりは全然・・
井村:だからね、あたし一つ気をつけることは、テンポの速い練習をするんです。聞けへんかったら次ついていかれんような。いつもすごい大事にします。速くやったら必死についてこようとする。ついてこれなかったら、次本当に、中でぶつかったりするようなことが起こる。だからある程度、テンポの速い練習はします。
広上:あたしは一生懸命やってる、(実際はたいしたことないけど)よく「先生あたしはこれだけ努力してます」自分で言う奴ほど大したことない。だいたいどこの相場も同じなんですよ。一番出来のいい子に焦点を合わせて教えるっていうのは、一つの哲学としてどういう風にお感じになりますか?
井村:ひとは「見て学ぶ」ことって絶対あると思う。人間って必ず一人目が大変で、一人目が出来たら必ず真似をするわけ。100m走るのんでも、カールルイスが10秒切った時「鳥人」言うて誰が次かって。今なんか9秒台でも予選のこれますか?でしょ?進化するからね。ということは「できるんだ」と思うわけですよ。「できるんだ」と思う心になるまでが大変。できたの見たら、できて当然と思う。本当の指導者は「うちの、下のレベル上げました」ってのは、その子の「見て学ぶ力」ですよ。指導者の力やない。本当の指導者の力は、見本のないトップを引っ張る力。オリンピック始まったら、レベルって必ず一列やないでしょ?1番から8番まで順番あるけど、目標は、レベルを上げながら、レベルの幅を無くしてあげようとする。やっぱトップに立つ人は賢い。ちゃんと逃げる。気がつきゃ幅は変わってません。でも追いかけるから、逃げるから、レベルは必ず上がる。だから上に君臨するんですよ。
広上:それは、ポジティブな意味での負けず嫌い。
井村:もし真ん中に合わせたらどうなるか。要するにトップの子に「ちょっと力抜いて泳ぎなさい」ってことじゃないですか。そんな失礼なこと言えない。あの人たちの賞味期限も消費期限も短い選手時代に「この大会で力8割で泳いで」なんて言えない。それ言うならコーチとしてはやめたほうがいい。だから「みんな100%以上の力を出しなさい」って言うんですよ。火事場の馬鹿力で、出たら120行け~!!言うて。(中略)日本は世界の3つの国に入る。「日本流シンクロ」というブランド。私が今まで作ってきたものを、素晴らしいと発表する場がオリンピック。開催国をしているということは、その場をよその国のコーチに渡したくなかった。彼女たち(中国)は、絶対練習中に途中でやめたり「もうできない」と倒れたりそんなことない。なぜかというと彼女たちは、中国という国の代表になる前に、故郷の期待と希望の星なんですよ。私が余計なこと言わなくてもいろんなものを背負って出てきてる。だから練習、腹筋何百回とやるんですけど、隣の省の子がやってたら絶対にやめない。日本の子は、誰かやめる子を探している。やめる子が見つかったら一緒にやめるのね。向こうの子は、相手よりも1回でも多くやろうとする。だから練習は、いつもエキサイトして競い合ってる。 
   

広上淳一

のだめの「踊る指揮者」モデルになったとも。

伝え方のコツ

音楽用語は極力使わない。
鍵盤ハーモニカで説明。
その場ですぐほめる。

広上:ここが私の仕事場。別名「死刑台」とも言います(笑)もう縮み上がる場所。この歳になっても。
井村:人間は緊張しないと。
広上:僕まさに今、それを申し上げようと。緊張しない人はダメ。縮み上がる感覚を持てない人は、音楽家になれない。
井村:私クラシックよく使うんですけど、カラヤン大好き。なぜ好きかよくわかんないんですけど、カラヤンの指揮の曲はすごく心地よくって。
広上:いま「心地よい」っておっしゃいました。それはカラヤンという人が、全然音楽の分野じゃない人たちに「なんだかわからないけど、すごくいい。」「快感だな」と思わせる、時空をつかめる才能が突出してる。
彼が瞬間にどの時空をつかまえて空気を流すか、オーケストラの一番ベストな音を出させるか教えられない、彼にしかできない。これはトレーニングや熟練じゃない。彼にしかない光輝くオーラ。だから20世紀最高の指揮者。みなさん、指揮者の仕事はコントロールをしていると思われてる。コントロールじゃないですよ、見守ってる。ドライブを全部しているわけじゃない。大事な所でオーケストラを助けてあげたり、精神的な勇気を与えたり、 そういう仕事なんです。(「運命」について)指導者の息吹が必要になってくる。この休符を感じる人間、そのオーラを出す、それをオーケストラが受け止める。オーラを出す人間が必要なんですが、オーケストラや国によってオーラを出す時間が違う。その面白み、違い。
井村:選手がパァっと手を出したら、アニメの魔法でヒューっと・・
広上:「ひみつのアッコちゃん」みたいな?
井村:そうそうそう!ああいうの出すんやって。
   どんなオーラを出し、試合会場の空間を自分のものにし、見てる人を巻き込んでいくか。
   見えないもんの勝負だって言うんですね。


ドヴォルザーク 序曲『謝肉祭』 広上淳一指揮京都市交響楽団 - YouTube

広上:僕らの仕事は失敗しないとダメ。なぜかって、生身の人間だから。オーケストラメンバーは3歳4歳から、それぞれの楽器の世界の人生を生きてる。それぞれの、みんな、サムライたちなんです。その楽器を長年やってきた人間じゃないと、分からない生理。違った生理の人たちが100人集まってる。言葉は悪いですけど動物園みたいなもの。動物たちが待ち構えて、一触即発。ちょっとでも呼吸の間違いをした途端、彼らは「ん?」となる。ものすごい触覚を持ってる優れた集団。剣豪の集まり。その人たちの前に立つのは、牛耳るとか指導の意識じゃなく、そこに溶け込むことがいかにできるか。失敗を重ねてどう溶けていくかを学んでいくしかない。一番大きな失敗は、イタリア全土に流れている生放送で演奏を途中で止めちゃったこと。イタリア人って明るいけど、集中しないとなったら全然練習に参加してくれない。こっちも若いから「本番なんとかやってくれるだろう」と思ってたら、本番ぐちゃぐちゃ。本来鉄則として、本番で指揮者はどんなことがあっても止めちゃいけない。あまりにもぐっちゃぐちゃになったんで止めたんですよ。そしたらお客さんは「イッツ・ア・コメディ!」  始めたけどまた止めたんです。最初の10小節ぐらいで。もう聴く気持ちなんてないですよね。 ぐっちゃぐちゃのまま生放送が終わった。さすがに落ち込むわけですよ。団員が慰めてくれるかと思ったら「二度とここへ来ないでくれ」「お前の顔なんか見たくもない」未だにイタリアのビストロに行くと、当時子供だった連中がメンバーに入ってて「もしかして何十年前にあの放送やってた人?あれは面白かった」笑い種になってるらしいです。 ああいう大失敗の後、何が起こるかわからないことは想定できる。そうすると引き出しが増えるから慌てなくなる。相手を責めなくなる。怒った事ない。

コーチングとしてはすごく対照的。教育とかに応用できるかっちゃ、別問題。

広上さんは転校3回。別の学校では人気者でも、別の学校ではいじめられたり。その経験のおかげで、どこのオーケストラに行っても、受け入れられようが否定されようが一喜一憂しなくなったそう。「桜田淳子ちゃんの追っかけやってた」中学時代。先生に「この状態でお前を受け入れる高校は、いまのところない」って言われて「音楽コースのある高校なら、お前を受け入れる度量がある」
(湘南学園高校)

追記:検索流入、一番多いのは   広上 桜田淳子ツボはそこかいっ