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メモ代わり。ジャンルも気まぐれ

【抜粋】SWITCH インタビュー 達人達 坂本龍一×福岡伸一 動的平衡 

坂本龍一

音楽と生物学

福岡:音楽と生物学、芸術と科学というのは、
   非常に違う営みのように見えますけども
   世界の成り立ちがどうなっているのか、
   捉えたいということにおいては同じような営みで
   どこかに重なるところがあるんじゃないかな。

坂本:ありがとうございます。福岡先生は科学者だから
   きちんと見通しがいつも設計されている。
   僕のほうは自分の音楽に反映されてるかな、性格が
   本当にランダムなんだな、思いつきであっちに行ったりこっちに行ったり
   とてもじゃないけど美しい曲線などは描いてないんですよ

福岡:今西錦司という生物学者は山がとても好きで、生涯に二千近い山を登ってきた
   「なぜ山に登るのですか」彼は聞かれたそう
   山に登ると、その頂上から見えない景色があって、そこに
   次の山が見える。だからまたその山に登りたくなるんだ、と。
   そういうことを繰り返しながら、直線的ではなくジグザグに進んできたって。
   この話の中で大事だなと思うことは、そこに行ってみないと見えない風景がある。
   今回の坂本さんのアルバムは、様々な営みの結果見えてきた風景というか
   情景なんじゃないかなと思いました。

坂本:なるほど。実は去年アルバムを作っていて、まるで山に登ってるようだと
   実感したんですよ。僕の場合は地図のない登山。
   登ってみないと山の景色が分からない。
   ある日「これがゴールだ」と実感した瞬間があった。
   すると、今まで見えていなかった次の山が見えた。終わりじゃないんです。

製作期間は8ヶ月。ほぼひとりで。

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坂本:予測不可能性がより広がる
福岡:音楽、音っていうのは一回性のもの
坂本:一回性っていうのは非常に大事だし、科学の再現性
   何度繰り返しても同じ結果が得られることに信を置くのが科学。
   それと反対で(音楽は)一回しか起こらないから良い。
   一回生の問題は今非常に考える必要のある問題。

ヴァルター・ベンジャミン
芸術は複製されるとアウラ(オーラ)が失われる

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福岡:印象的な一文があって、今回作られた時に
   「誰にも聴かせたくない、自分だけで聴いていたい」
   CDに焼いてみんなに共有すると、同一性というものに囚われてしまうので
   一回限りのもので慈しんでいたいって感じですか?
坂本:鋭いですねえ..反応.. 極端に言うと、生まれて初めて感じたこと。
   自分でも不思議だなと思っていたし、終わり方はとても大事だなと。
   地図もゴールもないからどこで終わるかわからない
   でもその瞬間はあるはず。うっかりしてると自分でも気づかないうちに過ぎてしまう
   いまかいまかと止める瞬間を察知しながら作っていた
   一回生という問題に大きく関わるかもしれないですね。

S N / M 比50%
サウンド ノイズ ミュージック

福岡:シグナルとノイズ、あるいはサウンドとノイズの関係は
   我々科学の世界でも同じような構造、問題が有って
   世界はノイズと名づけられる前の、ノイズだけの空間だった
   夜空の星ぼしみたいなものですね。
   でも人間の脳はめぼしい点を結んで星座にする。
   距離や奥深さの違うものを図形として見ているだけ
   それがシグナルの抽出ですよね。音楽の分野でもそういった感じはありますか?
坂本:大いにありますね。音楽の場合には自然状態である音を使って構築物を作っていく
   ノイズは意味がないから排除する。
   排除されるのは地でありノイズである。
   ジョン・ケージはノイズを聞いてみようという挑戦をした。
   ますます大事だなあと僕は感じていて。

福岡:生命は生きていく上で絶え間なく音・音楽を発しているわけですよね
   ロゴスによって切り取られた世界では生命体自身も
   生きていることを忘れがちになってしまう
   だから外部に音楽を作って、内部の生命と共振するような
   生きていることを思い出させる装置として音楽を作ったんじゃないかな

坂本:非常に面白い発想ですね

福岡伸一

ロックフェラー大学にて

坂本:トランプさんが言うように移民を排斥したら、アメリカの国力が確実に落ちる
福岡:下がりますよね
坂本:最大の兵器は移民なので
福岡:そうですね
坂本:そもそも具体的にどういう研究をされているのか
福岡:遡ること30年前、理科系は一人前になるまでがなかなか長くて
   大学院に5年いて、20代の後半なんですけど
   その後ポスドクっていう修行期間があって
   柳行李、スーツケース一つでやってきた
   ポスドクは今で言うブラック企業。朝から晩までボロ雑巾のように
   言葉の壁も文化の壁もあるので、仕事ができることを
   自分の体で示さないといけない。ただただ通ってた
   自分の好きなことだけをやっていれば良かったので、人生最良の時とも言えた。

   分子生物学というロゴスの極みで、遺伝子の一つ一つに名前を付けることを
   ずっとやってきた。ある意味機械論的な生物学にどっぷりはまって。
   この前おっしゃったように、山に登って、はじめて次の山が見えるので
   私はそんなに大発見をしたわけではないんですけど、小発見で
   GP2という遺伝子を世界で初めて見つけたんですよ

博士研究員 - Wikipedia
GP2・・・主に彗星にある遺伝子。経口ワクチンに利用する研究が続いている

生物はみな分子で構成されている
ネズミがチーズを食べると、体が反応して、ネズミの分子の一部がなくなり
チーズの遺伝子が体に残る
ネズミの分子は分解され、チーズの分子に置き換えられる。
人間は分子レベルでは、1年ぐらいで全く別の分子に置き換わっている

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