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SWITCH インタビュー達人達 松本隆×船越雅代 境界線を超える料理と言葉 心を開く、心を動かす。(抜粋)

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ふたりはご近所仲間

ともに京都在住

僕もジャンルレス。言葉を紡ぐことによって枠を取っちゃう、境界線を外す。船越さんもこれができる稀有な人。

船越:今日松本さんに食べて欲しいものです。つくねいも。山芋の一種で、滋養がある。ゴボウもいれよっかな。根菜入れたものつくろっかな..

※つくね芋をすりおろし、人参を入れ団子にし、スープに。だしはなんだろ。コンソメとかじゃないよね。しいたけ?

松本:味を言葉にするって難しいよね。

買ってきた食材を袋から出し、全て並べる。五感を使って食材と向き合う。アイディアが固まると一気にプランを書く。

松本:料理を作るのも人脈を作るのも天才的なとこあるよね。
船越:料理を使ってコミュニケーションとってると思う。
松本:心打ち解けやすい人とは限らないじゃない? 東京生まれですよね。
船越:はい。東京の下町です。
松本:どういう風な子供だったんですか?
船越:母が、黒いランドセルを買ってきたんですよ。あたしの頃は、まだ男の子は黒で女の子は赤だったでしょ。「なんで女は赤なのか分からない」と言って黒を買ってきたの(笑)それが結構私の人間形成に影響したみたい
松本:実際それに反対もしないで
船越:すごい嫌だったの。でもやっぱり抵抗はできずしょってったら「お前男だろ?」言われる。からかわれるから「負けないぞ」と。父も1年の半分位海外に行っていた。母も若いときウイーンに住んでたから
松本:ぶっとんだ家族だね(笑)
船越:小さい時から、仕事の関係の人やお友達が毎週末のように来る家だった。外人が(笑)そういう人に母がご飯作ってみんなで食べる家。ワイワイ食事しながら母がいつもよりちょっとよそ行きな料理する空間が好きで、そのポジションを私がだんだん奪って料理するようになった。
松本:(高校卒業後、留学)最初のニューヨークは、彫刻の勉強をしに行ったんだね。なんで途中からはっと気が付いたら主婦になってたの(笑)
船越:料理はずっと好きで、仕事にしようと思ったことはなかった。自然に食にまつわることをアートに使うようになって。インスタレーションみたいなもの。毎回コンセプトをひねり出して作品を作っていたんだけど、料理の方がしっくりきた。シンプルじゃないですか。作ったものが体に入っていく方に魅力を感じた。
松本:雅代ちゃんがやるとアートなんだよね
船越:で、料理学校に行ったんですけど、テクニックや料理の仕方を学ぶんじゃなくて素晴らしいシェフの下で働くため。ある意味軍隊みたい。歯車の一つ。

1ヶ月間オーストラリアの船上で、様々な食材を料理した経験の話。毎日飽きずに違うものを食べて欲しいから、リクエストがない限り同じものは作らないと決めてた。

松本さんへのふた品目は、フィジョアなど果物をふんだんに使ったデザートプレート。
ヨーグルトと合わせたり。いちじく、かりん。
「ぷにぷにした食感。アニメっぽいね。いちじくはエロティック」
フィジョアは日本に元々無い果物。

奈良では、神饌(しんせん=神に供える酒食)をテーマに作った。やっとこその年になって料理と表現したいものがくっついてきた気がするのだそう。料理は立体的。即物的で複雑。だけど、船越さんの料理には時間軸、詩を感じると松本さん。自分のためではなく、人に尽くすのが快感になる。作詞家は受身の仕事だけどその中でも自己主張はできる。誰もひっくり返せない。

後半 松本隆

アンテナの張り方

基本SNSって日常を切り取るじゃない?詩も瞬間、日常を切り取る。僕にとっては同じ。40年以上通っているイノダコーヒで。高田渡も歌にしている。

はっぴいえんど岡林信康のバックバンドを務めていた。

はっぴいえんどは東京であまりウケなかった。最初の半年ぐらい、困ったねって細野さんと言ってたら岡林信康というフォークシンガーがすごい人気で、彼がボブ・ディランみたいなことやってるから、ザ・バンドみたいにバッキングできないかって。それなら出来るねってその話になって京都に来たら「はっぴいえんどかっこいいね」「日本語いいよ」てことで、やっと理解されるんだって思いがあって。
その記憶がずっとあるから、この辺を歩くと胸があったまるわけ。それで京都が好きになった。

船越:私の世代は、聖子ちゃんもそうだけどシャワーのように、意識してなくても隆さんの言霊を浴びてた。言葉がみんな美しいから思い出が蘇ってくる。嫌なことはあまり思い出さないわけ。実体験にフィルターが掛かっていい感じ。はっぴいえんどは前の彼の影響。「夏なんです」結構好きで。匂いがトリガー。 

一つの単語から連想する言葉を書き連ねたページ。ノートは大学の講義用のもの

船越:語彙はどこから来るのですか
松本:読んだり見たりした、すべての小説、詩、映画、知ってる限りの絵。集積が散りじりバラバラになって心の中に沈んでて、時々かき回すとふっと浮かんでくるわけ。ほっとくと沈んでる。外から得た知識だけじゃなく、体験するじゃない?失恋とか。するとわ~っと心が乱れた状態。それは詞にすると面白くないの。割とストレートに書けば感情むき出しのは、瞬間ウケるんだけどあんまり残んない。どうすればいいかっていうと、1回全部沈殿するまで待つわけ。心が落ち着いて不純物が全部底に沈んで。上澄みだけ取る。上澄みで詞を書くとみんな「いい詞だね」って言う。詞を書くのは引き算、小説書くのは足し算。  

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