野生動物カメラマン
オートフォーカスか、マニュアルか。
久米:体も丈夫じゃなきゃ出来ない仕事なんでね。頑健な体力がなきゃとてもできないお仕事。
岩合:眼だけは丈夫ですから
久米:最近カメラはどんどんどんどん進歩していて、プロのカメラマンでもオートフォーカス使ってる方多いって聞いてるんですが。合っちゃうんですよ。フォーカスってコンピューターでピュっと。マニュアルのほうが速いと信じてる?
岩合:ていうか、植物の木が生い茂ってるところに鳥がいたりするとどうしても葉っぱの方にピントが来てしまうんで、一瞬にしてみると、人の眼の方がカメラより優秀なんですよ。鳥なんかを撮る時の方が絶対にオートフォーカスは使えない。
父親について
久米:お父さんも新聞社のカメラマンでいらっしゃった?※岩合徳光さん=動物写真家。
岩合:はい。新聞社を退職して、動物写真家になりました。
久米:普通男の子って「嫌だよ親父と一緒の職業は」っていう方がどっちかって言うと多いように思えるんです。
岩合:その通りですね(笑)結構ありました。見方考え方が父親と違うというのは当然息子だから思うんですけども、父の撮り方ではないというのは、だんだんフィールド、自然に入っていく段階の中で「僕は違うな」と。
久米:お父さん変わってますよね。新聞社のカメラマンから動物というのはルートとしてはあまり・・行く方多いんですか?
岩合:いないと思います。ただ戦後、新聞社にいた時「明るい話題が欲しい」と動物園に通わされた。あんまり暑いと動物はのびちゃう。
久米:ホッキョクグマとかね。時々暇ネタでありますよね。
岩合:そういう暇ネタを撮るのが仕事だったんですね
久米:それで、ご一緒にガラパゴスへ行った。おいくつぐらいの時に?
岩合:19歳。20歳の誕生日をガラパゴスで迎えました。アシカに肩を叩かれましたよ。水中で。オスでしたけど。
久米:「誕生日おめでとう」って(笑)
岩合:びっくりしました。泳いでるの僕だけなのに。
なぜ動物を選んだのか
久米:難しいと思うんです。対象が動物っていうの。女も難しいんです。厄介なのいますし。
壇蜜:なんでこっちを指すんですか(笑)
岩合:一番厄介なのはおっしゃったように女性なんじゃないですかね。わからないからもっと知りたいと思うのは、女性に対しても同じですよね。そういう意識がどんどん強くなって。動物は特にわからない部分が多いので、深みにはまって底なしになる。そういう世界なんじゃないかなと思う。
(ライオンの母子が近距離で向き合う写真は)10枚ぐらいしか撮れなかった。人が来たのを意識したので、お母さんも子供を隠したんです。立ち上がった瞬間(を撮った)
久米:これを見て女の人が泣いてしまうというのは・・
岩合:感情が移入しやすいかもしれないですね。母親と子供のコミュニケーション、語らいがあるというか。
表紙
岩合:お腹のたるみに興味があった。
壇蜜:ポヨンとしてますね
岩合:そうそう、そこを見て欲しい。子ライオン撮った時はお母さん留守で最初望遠レンズ、だんだん距離を短くしていって、最後は広角レンズで覗き込むように撮った。彼らの目線を追ったら母さんが帰ってきたんですよ。僕の鉄則としては、猫はメチャ可愛がるんですけども、野生動物には手を触れない。もし触れたら匂いが付く。そうすると彼らの暮らしを変えてしまうことにつながる母さんに「何もしてないから」と眼で合図して後ずさりした。
初めのうちはやはり警戒していたのでしょう。じーっとぼくのほうを注視してきました。そういうときはムリをしません。このチータの特徴を覚えておいて、次に会ったときにもう少し近づいてみる。
チータに限らず、猫でもライオンでも同じスタンス。だんだんに距離を縮めていく。許してもらうまでのにじり寄り術は見事。モデルさんは腰に焦点を当てるとピタッと決まる by某ファッション写真家
世界ネコ歩きファンにはこちらを。某デパートでやってた猫展は見に行った。また行きたい。久米書店ではあんまし猫の話はなかった。そりゃそうだ。