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【抜粋】100年インタビュー やなせたかし 

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2012年7月に放送された。

不幸せでなければ幸福は分からない。ピンチを切り抜けることがギャグであり希望である。それがないと漫画は描けない。それを信じないと生きていかれない。

70年代は「いちご新聞」などサンリオ漬けだったから、初めてやなせたかしを知ったのも「詩とメルヘン」だった。アニメは成人して子供が生まれて見るようになった。自分にとってのアンパンマンは平仮名表記の「あんぱんまん」図書館の児童書コーナーにあった、セピア色のあんぱんまん。

あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)

あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)


キャラクターは半分ぐらいしか覚えていないけど、全部食べ物で行こうと。子どもはお母さんのおっぱいにしがみつきますよね。名誉欲とかそんなのはなく、食べることは一番重要。周りにあるものは何でも入れるようになりました。私は目も耳も心臓も悪くなって、引退したいと言ったんですが許してくれない。おまけに震災が多く、引退なんて甘いことは言ってられなくなった。目がよく見えないから絵は描けない、と言ったのに「わかりました。月末までに5枚」全然わかっていない。僕はがんはやってるし腎臓は取ってない。膵臓炎もやってるし胆のうもない。こないだ腸を45センチ切った。ホントにもうボロボロです。一病息災なんて言うけど、俺は十三病ぐらいある。悩んでてもしょうがない。なるべく楽しく元気に。俺はホントは元気じゃない。倒れる時は前のめりに倒れようと思っている。昔はモテたとか、そんなことは無関係。現在と未来しかない。過去のことをいくら言ってもしょうがない。

病院に行ったら「綺麗なナースいるかなぁ、あのひとがいいなぁ」ある程度派手なものを着るには気力がいる。姿勢もよくないと。強くなくちゃ。今はそういう気持ちはないが、シャツはたくさんあるし帽子も200ある。派手なものを着て猫背だと惨めになる。外を歩くと親子連れから「やなせさん写真を撮りましょう」と言われる。その時あまり惨めな格好はできない。

絵はずば抜けて上手じゃなかった。受験雑誌を取るんですが、勉強のところは全然読まない。

僕は父親が今でもすごい好きなんですよ。短歌もやったし絵も描いた。父親の文章を読むと「どんな職業に就こうとも絵も短歌もやっていく。本も出したい」とある。32歳で亡くなったけど。僕は父親とは違って子供向きの本をたくさん書いたけど。どうしてか、母親よりも父親が好きなんですよ。男の人には懐くけど、女の人には懐かない。父のDNAで仕事してるなぁと思う。カミさんが「あなたは、おとうさんに守られてるのよ」僕は上海で終戦を迎えたってのも父親に護られたのかと。弟も(太平洋戦争で)亡くなってるから弟を守ってくれればよかったのに。

爆弾が落ちれば罪のない子供も死ぬ。戦争はどんな理由があってもやっちゃいけない。正義の戦争なんてない。計画的殺人だと強く思う。中国の民衆を救えと言われたのに終わったら、俺たちが侵略をしたと言われた。

戦争には真の正義はない。正義は、そこに呻いている人がいたらひときれのパンをあげること。飢えを助けるヒーローがアンパンマン。世界中に居るヒーローで一番弱い「アンパンマンジャムおじさんに顔を直してもらわないと闘えない。

アンパンチでばいきんまんをやっつけるのは暴力だと言う人がいるが、アンパン、つまり、食品とバイキンでしょ。我々風邪をひいたときに「バイキンがかわいそうだから」ってやっつけませんか?必ず風邪薬とかワクチン打ったりして、まずバイキンやっつける。バイキンは死なない。新型ができるとまた新しいワクチン作る。アンパンマンばいきんまんの戦いは永遠に続く。もしも無菌室に居ると出た途端に死ぬ。悪いバイキンを全部殺すとだめになる。世の中も同じ。反対派を全部やっつけるとファシズムになって滅亡する。光と影のバランスいいのが健康。いくらばいきんまんをやっつけても又出てくる。アンパンマンは武器を持たず素手で戦う。相手はいろんなものを持つ。理解できるのはちっちゃい子供だけで、大人はみんなくだらないと言う。

自分の子が川でおぼれてると飛び込んでしまう。学校の先生が飛び込んで死んだ話、踏切にとまった人を警官が助けようとして死んだ話がありますね。その時にそうせざるを得なかったことが正義。だからアンパンマンは自分の顔をあげるのです。

内部告発も就職できなくなるし、悲しい部分があるのですね。アンパンマンはシンボリックだけど、難しいことを言おうとしてるんじゃない。受け止めたのが全部幼児だったのには驚いた。大人には理解されなかった。「ばかばかしいのを描いて」って。僕は大人向けの作者だったけどいつの間にやら子どもになった。アンパンマンで幼児の仕事もするようになった。幼児は気に入る作品と気に入らない作品をはっきり分ける。幼児はグレードを落とそうと考え、文章を短くすることを要求されるけど、違う。お話のホントの部分がなぜかわかってしまう。難しいことと無関係。なにをして生きる~♪ とか 幼稚園児は平気で歌う。おじいちゃんはびっくりする。哲学の永遠の命題を子どもが歌うなんてと。そんな手紙を私にくれた。

「ぼくの道」
荒れた砂丘を歩く
道は遠い 道に迷ったのかもしれない
不安を抑えて遮二無二歩く
えんぴつの林 消しゴムの丘 ペン先の森
日は暮れかかって空は真っ暗。
それでもふしぎにこころはたのしい
この道が好きだから ぼくは歩いている・・・
他になんにも方法はない
一足飛びにあそこへいけない

サザエさんブラックジャッククレヨンしんちゃんもそしてアンパンマンも、作者はこの世からいなくなってしまった。テレビでは流れているので、亡くなった気があまりしない。ドラえもんだって毎年映画化してるし、仮面ライダーに至ってはもはや石ノ森章太郎の手を完全に離れちゃってる。アンパンマンはこれからどうなっちゃうのだろう。

アンパンマンは泣くと(涙の水分で)顔が重くなるから泣かないよ。 でもふとした瞬間に涙がこぼれそうになる」戸田恵子サンがなにかでそう言ってたっけ。

追記】10月24日 BSで、石田ひかりが妻役のドラマ見てる。奥さまは乳がんで亡くなられたのですね。