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SWITCH インタビュー 達人達 編集工学者 松岡正剛 × 水曜日のカンパネラ コムアイ 

コムアイ

過ごしたかった子供時代を再現

松岡:陽水、桑田、中島みゆきユーミンの世代が持っていた何かが
   感じられなくなった。10人集まるとか48人集まるとかなってきて
   もうちょっと一人を見たい。その中にコムアイがいた。
   とても面白かった。がっかりしていた何かを、この人は払拭するかな。
コムアイ:レコーディングするときは出てもらうんです。
     ここでやっている時が一番子供でいられる。奇声発したり変な動きしたり。
     楽しいんですけど、動物と一緒で、人が入ってくると急にお利口さんになる。
     自分の子供性は、後から出てきたものなんですよね。

松岡:2年目かの時になんかピンときましたよ。その前から僕、youtubeで少し溺れてたの。
コムアイ:え~、うれし~い。お聞きしてびっくりして。全然ご存知ないとは思うけど
     松岡さんは面白い人だからご挨拶したいなと思って。
     一番最初、松村さんの対談読んで。カンパネラ始める前で
     色々な大人に会うのがずっと好きで。
     小学生ぐらいから早く大人になりたいと思ってた。
     自分の住んでる町が大っ嫌いだったんです。
     池袋のナムコナンジャタウンてご存知ですか。昭和の町並みを再現してるセットに行って
     現実逃避してた。私は戻りたい、生まれた時代が違うと思ってて
     平成に育った幼少時代がなにか間違ってると。さみしいし。
 
松岡:子供の頃から時間のずれとか、時代の遅れ、軋み、軌道はずれだとか
   きっと感じてたんだろうなと、最初から2回目ぐらいのMVで感じた。
コムアイ:はやくないですか?(笑)
松岡:小さな子供が浅草かどこかにいる感じはしました。今聞いてやっぱそうかと。
コムアイ:嬉しい。過ごしたかった子供時代を再現しているかもしれない。
     自分で作って。

固有名詞の多いレパートリー

松岡:固有名詞の多い水カンのレパートリーなんですけど、意図的にやったんですか?
コムアイ:一番最初に自分が決めたこと。曲を出し始める時に
     「何かルールを決めたいんだけど、どう?」
     全部のタイトルを子供みたいにみんなに思ってもらえるというか
     感覚に名前をつけるとしたら、ひとの名前とか可愛がりやすい名前、
     人格が立ち現れるものがいいなって。尊敬の対象というよりマスコット的。
松岡:せいぜいアニメソングにキャラクターが出てくるだけで
   歴史上の人物を自由自在に扱うのって全くなかったもんね。
   カンパネラが作る歌は、実に面白くお邪魔虫してますね。
コムアイ:はい。土足で踏み込むことを、あっけらかんと良しとする。
     自分の持ち場が広くなる。自由に遊べるぞみたいな感じ。

松岡:ファンはそのへん、どう思ってますか
コムアイ:どう思ってるんでしょう。うーん。様々だと思うので。
     可愛がってくれてる感覚はあるな。曲に対してとかMVとか。
     人に対しての第一印象はあるから、それにザクザク穴を開けてったり
     違うところに引っ張る。桃太郎はスキがないからいたずらしてったり。
     パロディが厳しい目線だと受け入れづらい。
     人を傷つけない仕上がりがチャームだと思いますね。


水曜日のカンパネラ『マリー・アントワネット』 - YouTube

歌うこと語ること/有声言語と脳の意識のズレ

コムアイ:全然違う二つのものを混ぜ合わせる。天使と悪魔だったり
松岡:歌詞はラップのせいかもしれないけど速い。
   フランス革命、マリーアントワネット、
   お菓子を食べればいいじゃないまで行くのがわずか数秒。
   わかっててやってるのが面白い。
コムアイ:こうやってテレビの前で、歌わず踊らず喋ってるだけでも
     得意になりたいんですよね。人を自由にするパワーを出したい。
松岡:是非そうして。
   日本の歌は基本的に「歌う」「語る」2つある。浄瑠璃は「語る」
   ホントは語りの中にコムアイのいう「歌う」がもっと入ってきて欲しい。
コムアイ:ホントですね。そういうのがやりたいんだな~
     自分で理想の言葉操り名人が、うっすらイメージできている。
松岡:いけるんじゃない、やれそうなんじゃない?
コムアイ:得意分野とか表現したいことを、言葉をしゃべっててもそのまま
     歌ってるように伝わったりね、なりたいな。
松岡:いまスタジオに見えてるものを、言語で追おうとすると超遅れていく。
   学生の頃、電車に乗ると車窓に風景が見えますよね。
   あの広告、あのビル...それを言葉にしようとすると
   有声言語との意識のスピードがずれてて追いつかない。
   それをエディット(編集)しようと思った。
   意識が持ってる次に行きたい速度を、上手く引っ張っている。
   こういうアーティストがやっと出てきた。

歌詞は遊べる素材にしよう

ケンモチヒデフミ
最初はコムアイが「こういう人物で作りたい」とリクエストしてくる。
曲を作って歌詞を乗せてって、こういう方向性はどうですかと
フィードバックして、こういう素材が取れたぞと。
お互いの出す音に引かれあって、どんどん自分の出す音も変えていく。
セッションに近いかな。

コムアイ:探り探りでやってて、一番最初は「七色の筆で夢を描いて」みたいな
     こんなの恥ずかしくて歌えない。私もほかのふたりもへそ曲がりで
     自分の思ってることを言葉にすると、私すごく真面目なので
     すごく居心地悪くなるんですよ。そのバランス取るために
     歌詞は遊べる素材にしようって。歌うときに気持ちを込めたらいい。
     聴いてる人に「安心していいんだよ」と

不信感でやってたのに

松岡:僕はもともとアマチュアリズムが面白いと思ってて。
   本来は超アマチュアであることを忘れてはいけない。基本的にはリミックス感覚
   歌は選んだことなの?それともだんだん、そっちだー!って思えたの?
コムアイ:後付けですよ。1年ぐらい不信感だけでやってて。
     不信感はあるものの、自分から何をだまし取ろうとしてるのか分からないから
     まだ続けてみようと思ってました。1年ぐらい経ったとき反発、
     子供が大人になる過程のような、試すようなことをしてた。
     すごいひどいライブやったり、仕事休んだり。
松岡:でも好かれちゃったんじゃない?
コムアイ:この人たちこんなにやっても逃げないんだ、続けようって。
松岡:あのね、樋口一葉たけくらべ」永遠の少年と少女のすれ違いなんですが
   好きだけど、わからないから邪険にしてしまう。
   それが男の子達が火を燃やしていく。そういうのを持ってる。
コムアイ:苦味?スパイスみたいな、
松岡:そうそう、つくしの味みたいな

武道館ライブに思うこと

松岡:僕はちっとも面白くなかったんだけど。こういうコムアイ見に来たんじゃないぞ。
   だけどそれはそれでいい。もうひとつ詰めるコースを作ったほうがいいですね。
コムアイ:武道館を見てくれた、あたしの信用してる何人かの友達には
     「みんなが無害なものを求めていることはすごい悲しかった」と言われました
     それは結構響いたな。気づかずに巻かれているかもと思いました。
     ちょうど武道館が変わったばかりで進化させようと思ってて、
     「あ」という音でどれだけ気を込められるかとか
     どれだけ素直に踊れているか、1個1個の能力をもっと鋭くさせるために
     今まで貯めてきたものを武道館にぶつけてきたけど
     10年後すごいことになるためにもっと広げなきゃダメだって
     街のど真ん中に天国や地獄を作ったり。

松岡:自分のポスターにいたずらしてたじゃない。あれ面白い。
コムアイ:めっちゃうれし~。あれ世の中の反応が結構薄くて(笑)
     自分が出てる広告をもう一度と思ったのに、ウケなくて
松岡:アートとしても面白いし、何よりコムアイが。
コムアイ:派手というより、筋が通ってる過激さが私には何よりも快感。

松岡正剛

編集工学とは

エディティング(編集)とは、もともと生命が持っていたやり方ですよね
生命は遺伝情報を後代に伝えるために複写をした。
だったらひとつのものがずっと続いたはずなのに
プリントミスや誤植、ジャンクDNAが出てきたり、突然変異といいますか
生命の多様性が生まれた。
ということは間違った組み合わせが変化したり、バージョンが増えることが
生命の本質であり、編集の起源だと思ってます。

コピーミスが許される世界と、それを生かして美や官能に切り替えられる人為的な能力を
一緒にした編集工学を作りたい。これがスタートです。

多読術 (ちくまプリマー新書)

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知の編集工学 (朝日文庫)

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