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SONGS 宇多田ヒカルに聞きたい6つのこと 糸井重里 井上陽水

人間活動宣言ってなんだ?

糸井:「休みます」っていう時に僕がツイートで「うちに来ないか?」って言った。 覚えてらっしゃると思いますけど。あの時何回かやり取りして、 僕は楽しかったんだけど、どうだったんですか?

宇多田:若い時から音楽ばっかりやってきたし、一旦流れを止めたい、音楽以外のことをして成長したいって発信したのが「人間活動」って言葉だったんですけど。ただそれを批評するでも揶揄するでもなく「ならそうしようか」って、ちょっと遊んでくれる人がいてすごく嬉しかった。

糸井:4割ぐらい本気で「うちで働けばいいのに、バイトすればいいのに」だった
宇多田:ホントに本気でそういうことしたかったんですよね。普通のお仕事をしてみたくて、海外のカフェとかレストランで働いてみたりとかしたくて、本屋さんとかなんでも良かったんです。

糸井:自分がみんなに望まれてることをし続けていくってのは、やっぱり、望まれてる人になるだけのことだから、自分がいなくなりますよね。

宇多田:本来の自分と、あと、自分のイメージだけが随分大きくなって、かけ離れていって、しまいには自分でもどんな状況に置かれてるのか自分のことなのによくわからなくなっている。
糸井:ぼくはあれ、大賛成だったので。
宇多田:ありがとうございます。一旦やめて初めて「私何もできない人だったんだ」とわかったので。生きる術ですよね。移動手段、食べ物の調達とか。社会的に人として生きていく能力が何も身に付かなかったんですね。

休止中は何をしていた?

糸井:そのあいだ歌ってたの?

宇多田:いや、歌うことはほんとなかったです。家で弾き語りの練習して好きな曲歌ったり。自分の曲じゃなく人の歌。仕事のプレッシャーとか、私に求められてたものから逃れて、自分の習いたかった語学とか、図書館に毎日通ったりとか若い友達がなぜか多く縁あってできたので。20歳前後のような遊び方、ノリを体験してなかったので、遅れてやってきたちょっとした青春みたいな感じ。誰も私を知らない、ただの人だと思ってる。「レコード会社で働いてる」って言っちゃったり。

糸井:日常生活も変わったんですか?
宇多田:今までなかったですね、日常というものが。朝のワイドショーが始まるまで曲作ってたり。世間とずれた生活。
糸井:今は逆に変わったってことですか?
宇多田:そうですね。子供できると毎日朝早く起きて規則正しく生活しないと。

母・藤圭子はどんな存在?/

どう向き合った?

糸井:僕らから見てもすごいお母さん

宇多田:ステージ上がると急に戦闘系の漫画のキャラクターみたいに、体が大きくなったりエネルギーのオーラみたいなものがワーっと出る。すごく個性的で純粋で美しい人。

糸井:お母さんが亡くなったのはでかいだろうなあ
宇多田:でかいです。あらゆる事象には母が見えてしまった時期があった。辛い、やだなと思ってた。誰しも原点があって、私の原点は母だった。私の世界、あらゆる現象に母が含まれているのは当然じゃん、と。私の体は親から来てるものですから当然かと思うようになって、それまで悲しいと思ってたけど素晴らしいことだと思えるようになった。
    

花束を君に

宇多田:手紙ですよね
糸井:聴いてて気持ちいいよね。言葉が足りないから、逆に花束にもって行くんですよね。「花束を贈るだけでいいの?」ってのが普通の社会では言うんだけど、そうじゃなくて。
宇多田:日本人はあまり「愛してる」と言わない。その感覚もわかる。英語の「I LOVE YOU」を和訳しても「今日は月が綺麗ですね」って。じんわりくるんですけど、かたちにして伝えないと後悔するのは自分。じゃ言葉で、って言っても、言葉にならないほどの思いが存在したんですよ。

井上陽水が選ぶ曲

Automatic

僕のライブに彼女が来て「Automatic」を歌った記憶があるんですけど。あぁ「Automatic」分かる分かる、歌えると思って出たら全然歌えなかったんです(笑)失礼しました。

コンピューターの画面の中で字があって、手をかざすと「Warm」=「温かい」って。だいたい、冷たいとか無機質とか感情がないって代表格のコンピューターなのに、あたたかいって。大多数の人が共感したんじゃないでしょうかね。

宇多田:当時は映像を見て「20代半ばと思いました」って言われたり、苦しそうな歌い方をしてましたね。なんでだろうと。
糸井:響いてる楽器としては人を切なくさせる
宇多田:楽しい歌を歌ってもちょっと悲しいと言われたりもしました
糸井:この寂しさを伝えたくて世に出てきたのではないかと思った。

Traveling

歌い出しが・・仕事にも精が出る、ですとかね(笑)不景気で困ります、なんていう言葉もあるんですよ。僕にとってそれは少し笑えるフレーズなんです。

壊したくなる衝動、なんていうんですかね「破壊的」「過激」「パンク」「現状不満」急ぐことはないけど、虚無的とか刹那とかしらけてる感じもある。

まあいいや、聴きましたみたいにならなくて、もう一度聞くとどうなるんだろうと思わせる数少ないアーティスト。彼女の切なさが多くの日本人を惹きつけると思う
割合特殊な環境で生まれ育ってる気がする。アメリカと日本、どちらにとってもアウトサイダー。<<   
    
宇多田:歌詞でそれ使わないでしょ、っていう。ユーモアを感じたんじゃないですかね。ユーモアって、どうにもならない状況に対して唯一できること。何も変えられないけどユーモアで自分のものにしちゃおう、とか。家族のあり方も周りとは違う、どの面においてもアウトサイダーだと思いました。疎外感は誰でも感じるけど、強く理解できるのであればそこを表現して食い込んでいけるのでは。

休止で作品の何が変わった?

糸井:詞が変わった?
宇多田:ずっと同じ制作チームでやってるんですけど、それすごく言われました。リアリティーみたいなものが増したと思います。今までの曲はどこか空想みたいなものがあった。私が全裸で行って、受け止めてもらえた。水道代払うことにストレス感じたり、ホントに生きてる感じがすごくした。キャラを一旦経由しなくてもいい気持ちにも状況にもなれた。

新曲「ともだち」

同性愛者の、同性愛者ではない方に秘めた思いの歌。ジレンマであったり。恋でなくてもいいんですね。どんなに心許した相手に思ったことをワーッと言えるかというとそうではない。人と人との距離感を歌った歌が多い。

タイトルはフランス語で「気配」「亡霊」を意味する

追記:2016.10.1
繰り返して聴いているのは「道」「荒野の狼」

自ら母になり何が変わった?

母が亡くなった後もし妊娠してなかったら、子供がいなかったら、アルバム作ってなかったと思います。生まれて最初の経験、人格の基礎や世界感が形成されていくのを何も覚えてない。そこからいろんな悩みや不安が出てくる。こんなことを親にしてもらって、とか。自分がどこにいるのか見えた瞬間、それこそいろんなものが腑に落ちた。

率直でないことが不謹慎。自分に対して率直であること。

感想

一番好きで聴いてたのは「COLORS」だったな。秋に向かうこの時期になると無性に聴きたくなる。


宇多田ヒカル - COLORS

TOYOTA WISH CM 2

地上波、誰もが知ってる最大公約数的な選曲で3時間以上だらだらやってる音楽番組が多い。飽きた。新譜+インタビューで2時間以内の番組がもう少しあるとな。この前のMステ「日本人に影響を与えた」って主語がデカすぎ。ヒッキーは非常に頭の回転が速いなと思って見ていたが最後の方、あれ?ってなぐらい文脈がまとまらなくなった。制作側は、おそらく母藤圭子の日常をもっと知りたかったのではないか。